自転車トレンーニグとデカルト還元主義①
先日、掛米が愛山45の十四代・極上諸白2019BYと同・本丸2021BYを利き比べしていると、Tさんが「僕はレースが終ったあとにもっと頑張らなきゃ、ってやり過ぎちゃうんです。それで続かなくて」という。M氏と自分が脊髄反射のように「それは駄目だ」って声を合わせてしまったけれど、そういう人はきっと多いと思う。
真剣に取組んでいたら、プライドがあれば、結果がどうあれそうはならない。「やれる範囲でがんばりました!」くらいのユルさと甘さを感じて、思わず反応してしまった。
結果が伴わなかった事実に、もっとやらなければ、と奮発することはあるし、自分にもそういった経験がある。しかし、真剣に取り組んでいるならそれはモチベーションではなく、だからフェードアウトするということはないだろう。
もちろん、そんなに真剣にやらなければならない訳ではなくユルく楽しむのも良くて、極上諸白は味わいに深みがあり素晴らしけれど、本丸もフレッシュでとても美味しいように、そこに優劣はない。
また、そのくらいのユルさも楽しく乗り続けるには大切だと思う。でも、レースを終えて、モヤモヤしか残らないというのはどうなのだろうか。結果を出してこそ、ではないだろうか。
(悪い事例みたいに取り上げてごめんね、Tさん)
1,分解して組み立てる①
2,ターゲットの設定が真剣な取組みを
3,行き当たりばったりのトレーニングが行き当たりばったりの結果を
4,分解して組み立てる②
5,自転車トレーニングはプロジェクト・ポートフォリオマネジメント
6,自転車レースは複雑系
1,分解して組み立てる①
レースで結果を出す、と簡単に言ってもそれは漠然としてどう手を付けていいかわからないかも知れない。仏の哲学者ルネ・デカルトの「困難は分割せよ」という言葉が一つのアプローチを示していると思われる。
自分がどんなレースでどんな成績をとるのか、目標を具体的に設定したら、一度そのレースで求められるものの要素、クリティカルパワーとそのインターバルだったり位置取りスキルだったりに分解してみると、やるべきことが見えてくる。
例えば、ハイアマチュアクラス、2時間弱のレースで2分ちょいくらいと7~8分くらいの登坂がある5周回。7分登坂のあとにペダリングできるくらいの下り、登り返しゴール、というレースだったとする。
ここで「勝利とまでいかずともトップテンに入りたい」との目標を掲げたとする。
まず、2分と7分。ハイアマチュアクラスだと、一発ずつならそれぞれPWR8倍、6.5倍くらいでこなすだろうが、5周なら7倍、6倍前後といったところか。エリミネーションのかかり方次第で要求パワーが上下する可能性がある。上位入賞を目指すなら、これを確実にこなして最後に余裕がある、あるいは5周までに自分で人数を絞り込めるくらいのクリティカルパワーとインターバル耐性が求められる。
また、2時間と短く平均パワーが高くなることが予想される。きちんとその時間内に出し切れる短期集中力が必要だ。しかし、45分以上のレースというのは、終盤でも「元気があれば何でもできる!」と心の中で唱えることが出来るくらいの全身持久力も重要だ。
そして、下りで後退すれば、遅れるリスクや落車リスクも高くなる。上位入賞を目指すなら、位置をキープするスキルも必要だ。
一方で15分以上のPWR4.8倍未満で長く登っていくシーンはなく、その能力は求められることがない。また、5~7時間レースのような極限レベルの持久力や胃腸の強さも要らない。あと、エンデューロレースのような平地の長距離独走力も求められない。
と、まぁ、解りやすいケースを想定し、フィジカルなパフォーマンスを中心に一部要素を取り出してみた。実際はパフォーマンスもまだあるし、機材だったりチーム内の協調だったり、もっともっと様々な要素があり、想定されるケースも気候やライバル達などいろんな条件を考慮する必要がある。
現在は様々なメディアから多くの情報が得られる。ある程度のリテラシーがあれば、そのレースでどのくらいのパフォーマンスならどのくらいの結果か、想像がついてしまう時代である。良し悪しもあるが、何かを達成したいという人にはいいことではないだろうか。
必要な要素を見える化出来たなら、それぞれを獲得するなり装備するなりして、連動させられるようにする。つまり、それを一回のレースの中で発揮し活用出来るようになるだけである。
文章だけだと卵かけご飯をつくるくらい簡単なようだが、実際は帝国ホテルのビーフストロガノフくらいに難しい。
To Be Continued