映画『仄暗い水の底から』感想

映画『仄暗い水の底から』

2002年
序盤にストレス、後半に恐怖を丁寧に与えてくる良作品。

主人公が子持ち離婚調停中の社会的に弱い立場かつあまり強く主張しない性格の女性ということで登場人物の男大半が舐め腐った態度で接するので見ていて気持ちの良いものではない。主人公も伝えると不利な部分を隠すので相手に深掘りされると論理的な返答でなく感情的な言い返しをするので、この時代の男、女の悪い特徴が詰まっていた。登場人物一人一人に精神的に余裕が無かった。



夫…
娘を大切にしている?娘も慕っている?ような演出はあるので子育ては妻に任せ仕事を優先し続けた結果離婚に至ったのか?終始口調は冷たいがまだ娘を思いやる気持ちがありそうなのでマシな方。

マンションの紹介?業者…
この時代の女性が嫌う男性像パート1
親切丁寧とは程遠い存在。責任に関して強めに追及されてやっと対応に回っていて頼りがいもない。

マンションの管理人…
この時代の女性が嫌う男性像パート2
要望出しても動かない、のらりくらりとかわし続けていい歳な感じやのに頼りがいも無い、後半指摘されてキレていたので登場人物の中でも特に嫌い。こういう男になりたくないと昔思っていた。

園長…
この時代の女性が嫌う男性像パート3
母親に強く園の体制を疑問視されてキレて離婚について言い返した悲しい存在
子供と接する職業は大変。

弁護士?…
この時代の女性が憧れる男性像
マンション関連の頼りない男共がこの人登場してからヘラヘラ言い返さんくなったのが見ていてキツかった。自分は弱者男性側なので。映画ではとても良い人だったので小説版はどんな感じか気になる。頼りにしたい時に繋がらんのはまぁ分かってた。結局って感じであのあと金額的なのはどれくらい貰うつもりやったんやろ。



全体的に水から感じる不快感、負のイメージの演出が多くてある程度作品として認識できる体力ないと疲れる。それだけ完成度が高かった。
幼い頃、母親に待たされた悲しい経験から自分はそんな想いはさせないと奮闘するも子持ちの女性だけでは上手くいかない姿のみせ方が分かりやすかった。母親の愛だけで子供を守り抜くシーンは死霊館シリーズみてると一人では対処できない絶望感もあるが同時に母親として見て見ぬふりが出来なかったのではと思った。エレベーターで我が娘を想い自分を犠牲にしても助けたい気持ち半分、無残な死に方をしてしまった少女に同情してしまいそれで持っていかれたで半分であの結末になったと思っている。両親に会えず一人寂しく苦しく死んでしまった少女にとっては救いだった。

少女には探してくれる家族も近くにおらずあの暗くて寂しい空間で一人彷徨うだけだったのが遊び相手が見つかって、母親が見つかって嬉しかったんやろうなという気持ちになった。
恐怖より哀しい作品。小説読みたくなりました。


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