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読書記録#6「赤と青とエスキース」
「赤と青とエスキース」青山美智子
人の心は複雑。
行動や言動と、そこに隠された想いが一致していないことなんてざらにある。
そんな、簡単で当たり前でわかりきっていることを、どうしてつい忘れてしまうのだろう。
私は、人の思いを、心の揺らぎを、どれほど見逃してきたんだろう。
この本を読んでいる途中、ある人のことがずっと頭の中にあった。
大好きな人。
大好きだった人。
伏せてしまった目や、何かを
読書記録#5夜空に泳ぐチョコレートグラミー
「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」町田そのこ
人は、自分が命ある間に受け取ることができる、1番の愛を求めてこの世の中をもがき泳いでいる。
陽の光を受けてキラキラと輝く、暖かな水の中を行くものもあれば、濁流に呑まれ、ひっそりと消滅するものもある。
まやかしの愛に溶かされるもの、愛に擬態した歪な縄にがんじがらめにされるものもある。
でも、それで良いのかもしれない。
しっかりと、えらで呼吸して
読書記録#4試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。
「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」
尾形真理子
「試着室って複雑な気持ちなるものなのよ。ああ、私も老けたなぁなんて思って、そこから昔のことを思ったりしちゃうものなのよ。」
そんな母の言葉を、思い出した。
試着室はたしかに、自分の姿以上のものと向き合わざるを得ない場所なのかもしれない。
強めの照明で照らされた広くはないスペースで、大きな鏡と1対1で対峙する。自分と、自分。
そうな
読書記録#2 コンビニたそがれ堂
コンビニたそがれ堂〈祝福の庭〉 村山早紀
温かいスープが入った木のボウルに木のスプーンが当たった時のなんとも素敵な丸っこい音。
村山早紀さんが綴った文章を読んでいると、言葉が紡がれてこの世に誕生するときはそんな温度の高い音が聞こえるんだろうなと思う。
いつからおとぎ話を鼻で笑ってしまうようになったんだろう。
昔は妖精や、魔法使いやサンタクロースが友達だった。私はどこでたくさんの愉快な友達とは
オリンピックの魔者ならぬ幼稚園の追い剥ぎ
幼稚園に初めて登園した日のことを今でも割とはっきり覚えている。
父親の仕事関係で、幼稚園には途中入園をした。
それまで大人としか関わったことのなかった私は、初めて自分と同じくらいの背丈の、やけにうるさい人間たちの中に放り込まれて、非常に戸惑った。あまりの音の多さに頭がぼやや〜んとして、(お母さんいつ迎えにきてくれるのかな)とほとんど泣きそうになった。
その日は雨が降っていて外はグレーだった。そ