あの日は、雨が降っていたと思う。 定食屋天晴亭の玄関先で、私が煙草を吸っていると人を引き摺りながら車が目の前に停車した。 引き摺られているのは君だった。 運転手が車から降りると君を何度も蹴り罵声をあびせ車に乗り走り去っていく。 その車のナンバープレートを眺めながら煙をはいた。 私のまたぐらの間から目と口が大きく発達して顔の大半の面積を目と口に占領されているミイラのような猿が顔を出す。 名前をポゥという。 ポゥはいつだって私の傍にいてまたぐらから時たまに這い出てきては何か