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誰だったのか・・・

つい先日、昼の13時頃に家の近くを歩いていた。真夏のこの時間は肌が痛いほど日差しが刺さる。目的地はさほど家から離れていない場所なので車を使って移動するほどでも無いので軽い運動もかねて歩く事にしたのだ。

暑さに顔をしかめながら歩いているとちょうど電車の高架下に差し掛かかろうとしていた。あそこまで歩けば影がある、多少暑さが凌げると思いながら少し小走りで歩いていた。

すると少し左前からTシャツを着た陽に焼けた真っ暗な男性のような人が黒い自転車に乗ってこっちに向かってくるのが見えた。近くなるにつれおそらく短髪の白髪混じりの年齢は50代ぐらいなのが何となくわかった。

なぜ、なんとなくかと言うと私が直視してなかったからである。ただ気になっただけの見知らぬ通行人。その人をジロジロ見るのも変な事だし、それになんとなく直感で見てはいけないような気がした。

それにその男性が近づいてくるにつれ、妙な違和感を覚えた。

その男性の顔の肌がなんだか蝋細工で作ったようなのっぺりとした質感だった

あれ・・・なんかおかしいかも・・・

私がそう思った瞬間、その男性はすれ違いざまに私の方を見て

お前、見えてるんやろ?

と言って通り過ぎて言った。

え?

私はどう言う意味だろうと思い一瞬間を置いて振り返ると、私の背後には自転車に乗った男性の姿はどこにもいなかった・・・

わけが分からずしばらく呆然としながら辺りを見回していたがそんな自転車が突然曲がれるような道も無く、あの一瞬で走り去る事が出来る自体不可能だと分かった。

お前、見えてるんやろ?

あの言葉の意味はなんだったのか・・・

もし、この世のモノで無かったとしたらあんな真昼間にあんなにもはっきりと現れるのか。それも自転車に乗って。

また、今度会える事があれば色々聞いてみようと思う。


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