「サニー・スポット」第17回
翌十四日、辺見は支店長室で植田に会い、昨日成立した新調査委員会の名称を12・13調査委員会としたいと伝えた。さらに、植田と相談の上で一月三日の窓口営業開始日付けで岸場の実栗支店出向を解いて支店へ復帰させ、高藤を七郷支店へ一時出向させることにした。
また、弁明と改善策の草稿を植田が作成し、それを元にして辺見が最終文書を仕上げ、特別臨時支店会議の承認を得た上で一月十二日までに吉住取締役に提出する手はずにした。
作業のめどがひととおり立ったところで
「まさか私が、議長を仰せつかるとは思いもしませんでした」
と辺見が半ば愚痴を交えてそう言うと、植田が申し訳なさそうな顔で応じた。
「副支店長には調査委員長を続けてもらわなければならないし、辺見君は、土井上課長よりも、岸場君との普段の接点が少ないから公平性を保てる。なんと言っても土井上君より若いから、頑張りが利く。無理を言って申し訳ないが、激務だけどよろしく頼むよ」
と頭を下げられ、辺見は恐縮した。
年が明けた一月三日、植田は岸場に支店長室で辞令を交付してから、ソファを勧めて、今回の高藤を含む人事異動の背景を説明し、近況を聞いた。
「いろいろと大変でしょうが、もう少し辛抱していただきたい。現在最善を尽くしているところですので、年度末までには最終的な決着を見ることができると考えています」
「ご迷惑をおかけして本当に申し訳ございません。皆様のお力添えのお陰で何とか毎日差し障りなく仕事に取り組んでおります。いつも励ましてくださる田野畑課長が調査委員でいらしたので、とても心強く思いました。調査委員長の山畑副支店長にもいろいろとお気遣いをいただいております。聞き取り調査のあとにもお二人に暖かく励まされたことが何度かありました。田野畑課長が新委員会では交代されてしまいましたのが残念です。
でも、副支店長を通じて、迅速な解決を目指しているので安心して業務に取り組んで欲しいと、吉住取締役からもったいないようなおことばをいただきまして、本当に恐縮しております」
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