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「サニー・スポット」第13回

 この岸場による経過説明について、その真否を問われた高藤は、個人のプライバシーとして黙秘する一方で、セクハラの事実については否定した。しかし、三回目の聞き取り調査では岸場の主張の細部にわたる描写が示され、それらに相応の合理性と整合性が認められるとする調査委員会の見解が伝えられた。さらに四回目では、岸場の要望に応じて、調査委員会が任意での事情聴取の協力を求めた彼女の友人の話から、岸場の話に信憑性があることが伝えられた。
 その友人は二月の寒い日に、スターバックスで岸場と彼女の同僚らしき男性が、何やら熱心に話し込んでいるところを偶然見かけたと述べた。そして五回目の調査で山畑委員長が、セクハラではないという自分の主張を証明するためにも、プライバシーをあえて話してはくれないかと説得すると、高藤は岸場の言うことを否定しないと答えた。
 これで事実経過については、双方ともほぼ間違いないと認めたことになる。ただ、このような経緯をたどった理由については、二人の弁明には食い違いがある。最後に一緒に映画を観た日の行動は合意の上かという委員会の質問に、岸場は
「拒否できませんでした」
と答え、高藤の行動をセクシュアル・ハラスメントとして非難し、謝罪と職場規定に基づく懲罰を求めた。
 一方、高藤はそのような岸場の主張について
「私にはセクハラという認識はありませんでしたが、そう解釈されても反論できないということは理解できます。軽率な行動でした。後悔しています」と述べて、自己弁護はしていない。双方の聞き取り調査に臨んだ辺見は、出会い頭の不倫事故ではないかと内心直観したが、それは胸にしまい込んだ。

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