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52話 信じていたもの

「統一神様、お客様がお見えでございます」
「お!誰が来たんじゃ?」
「アイザワ様という方です」
「通せ!」
「かしこまりました」
「どうぞ!お入りください」メイドの指示に従った僕は統一神アルラの部屋へ行った。
「おぉ!待っておった、、てか、お主誰じゃ?」
「僕だよ!アイザワだよ」
「本当にともきかえ?」
「そうだよ。訳あって今は性別が反転してるんだ」
「そうじゃったか」
「それで、統一神様に聞きたいことがあって来たんだけど、どうすれば元に戻るかな?」
「そんなのは簡単じゃよ」
「本当に?」
「あぁ、我がお主に嘘をついてメリットなどなかろう」
「確かに!それで、その方法って」
「お主、好きな人はおるか?」
「なんだよ急に!」
「いるかどうか聞いてるんじゃよ!」
「いる!いるよ」
「なら、その者と交わるのじゃ。繋がるとも言える」
「交わる?繋がる?僕には何のことだかさっぱり分からないよ」
「これだから近頃の若造は。要はキスすればいいんじゃ!そうすれば性別反転の術式は解ける」
「待ってよ!術式ってなに?」
「なんじゃ!術式も知らんのか」
「知らなくて悪かったね」
「せっかくの機会じゃし教えるか」
「うん!お願い」
「術式にはいくつか種類があって今分かっているのは呪術、魔術、妖術といったところじゃ。性別反転は魔術じゃな!」
「聞いたことないものばかりだな」
「無理もない!お主の世界に術式など存在せんからな」
「え、なんで存在しないの?」
「それは、世界代理遊戯で負けたからじゃよ」
「世界代理遊戯?」
「各世界で代表を何人か決めて行われるゲームのことじゃ」
「そんなゲームがあったのか」
「だいたい今から3000年前かの。世界がまだ3つだった頃の話じゃ!これは我も母上から聞いた話じゃし何年も経ってるからうる覚えだが3000年前は今の世界よりも遥かに文明が発達していたようじゃ!差別などの問題もなくまさに完全無欠。それが3000年前の世界じゃった。問題が起こるまでは」
「なにかあったんだね」
「あぁ、当時は今ほど種族がいた訳では無い。3種類じゃったかの」
「3種類?」
「人類。それに悪魔と天使じゃ」
「天使は今で言う神様のことかな?」
「神と天使は似てるようで非なるものじゃな」
「3000年前に神はいなかったの?」
「そこら辺はよく覚えてないんじゃけど存在自体は別物じゃよ」
「根本的なところは違うんだね」
「あぁ、天使は誰からも好かれるアイドルのような存在じゃったらしいよ。じゃから当時の神もそれが気に入らなかったんじゃろうな」統一神は一旦、1呼吸ついてから話を再開した。
「神は人類、悪魔、天使達にあるゲームを持ち掛けた」
「そういうことか!1位と2位は報酬が貰えたけど3位の人類はビリだから貰えなかったのか」
「そうじゃ、それにもしかしたら天使はお主の世界に渡っているかもしれん」
「どういうこと!?」
「やつらは人に化けるのが上手かったからじゃよ。我ら神や悪魔よりも」
「それで話は戻るがお主の好きな人は誰なのじゃ?」
「そりゃ、もちろん椎名紅葉さんだよ!」
「やはりそう来たか」
「どういうこと?」
「彼女、椎名紅葉とは距離を置いた方がいいじゃろうな」
「どうして?」
「そんなの決まっておろう!彼女は本物の椎名紅葉じゃないからじゃよ
「そんな、まさか」
「お主に本物の彼女を探す覚悟はあるか?」
「もちろん!あるに決まってる!」アルラと話していると警報音が鳴り響いた。
「統一神様!侵入者です!」
「なんじゃと!?我のねぐらに足を踏み入れるとは!敵は何人じゃ?」
「1人です!」
「まさか」すると背後から女性の声が聞こえた。
「久しぶりね、統一神アルラ」
「久しぶりじゃの、母上」
「紹介しようか。このお方が我の母上こと先代の統一神リディアじゃ」
「若いですね」
「ありがとう!あなたは?」
「私は今の統一神様と契約させて貰ってるアイザワトモキといいます」
「そう、娘と契約を!それでどこまで進んだの?子どもは出来た?」
「人間との間に子どもなんて作れるんですか?」
「理論上無理では無いわ」
「それで母上。今日は何しに来たのじゃ?」
「私が話すよりテレビも見てもらった方が分かりやすいと思うわ」
『速報です!今日未明、天使と悪魔が結婚して人間界の日本で暮らしているということが明らかになりました。2人には16歳になる娘さんがいるそうなのですが依然その正体は謎に包まれています』
「たしかに、騒ぎになるわよね」
「それで、トモキくんにお願いなんだけどこの子達見張って貰えない?」
「僕がこんな危ないことをするわけが、、」
「もちろん報酬も出しますよ!」
「引き受けさせていただきます!」
「ありがとう!詳細を話すわね。見張って欲しいのは八神咲未ちゃん。椎名紅葉ちゃん。戸島陽太くんの3人よ」
「分かりました」 
「八神ちゃんと戸島くんは少し話を聞くだけでいいからさ。私たちの本命は椎名紅葉ちゃんだからね」
「もみじがターゲットなんですか?」
「えぇ、私は立場上下界には行けないからお願いできるかしら」
「お願いするも何もないじゃろ!だってこいつは椎名紅葉と付き合っておるんじゃからな!」
「え、そうなの?」リディアさんがただならぬ表情でこちらを見てくる。
「はい。お付き合いさせてもらってます」
「そうなのね。付き合うな、とは言わないけど気をつけなさい彼女には」
「分かりました」2人の話を聞いた僕は明日から3人の身辺を調べあげることにした。
「お願いね!ともきくん」2人にお礼を言われる僕。
「任せてください!それじゃあ、今日はこの辺で失礼します」
「また遊びに来るんじゃぞ!トモキ!」
「うん!また遊びに来るね」アルラと別れた僕は日本へ戻った。


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