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オフコース 「We are」その6 いくつもの星の下で
アルバム「We are」のA面の最後を飾るのが鈴木作品「いくつもの星の下で」です。
私は鈴木さんのバラードが大好きなのですが、この曲も珠玉の逸品となっています。絶不調の中、よくもまあこんな名曲を作り上げたものだと感心するばかりです。
「おまえもひとり」では、とことんまで自問自答し内省していった鈴木さんです。
♪
さよならを二回
言えばいいだけさ
あとは振り返るな
もう二度と
♪
と、自分を問い詰めていきました。
人って、悩み事があって何らかの結論に辿り着いたら、次は誰かに聞いてほしくなるものです。アドバイスなんか要らない。ただただ聞いて欲しいだけなんですよね。
実生活において、鈴木さんがいつ頃御結婚されたかどうか記憶が曖昧なのですが、この頃パートナーがいらっしゃったような気もします。実生活でこの曲の情景に似たような事もあったのでしょうね。
♪
今夜はありがとう
ここまでついてきてくれて
話したいことがあるから
もう少しいてよ
♪
鈴木さんの優しくて温かい声が響きます。この第一声で痺れます。
♪
あなたの前だけは
僕は素直でいたい
信じてほしいから
せつない思い 打ちあける
♪
うーん、思いを打ち明ける相手は小田さんやオフコースのメンバーではないのですね。それがより一層の切なさを呼び起こしますね。
♪
いつもひとり
くやし涙流してきた男のことを
あなたに聞かせたい
僕のすべて教えたい
そばに来て
♪
ここでハッとさせられます。話の内容が「くやし涙」に関することならば、話し相手は仕事の仲間であるオフコースのメンバーでは駄目ですよね。話し相手は、信頼したパートナーしかありえません。
パートナーもただ話を聞くだけですよね。それで話ししている本人は安心するわけです。
♪
長い夜が明ける頃
星がいくつも消えてゆく
ただひとつ輝いて残るのは
ああ
♪
夜明けに残る星は明けの明星の金星でしょうか。金星、別名、ヴィーナス、美と愛の女神。西洋占星術では、妻・財産・愛・芸術を示すとのこと。
夜明けにきらめく金星に誓うのでしょう。信頼するパートナーと自分にとっての芸術である音楽のことを。とてもロマンチックな歌詞です。
♪
僕のことわかるだろう
うまくは言えないけど
それでも それでもいいなら
ひとことで答えて
♪
この答えは「あなたは信じる道を行って、私はついていくわ」でしょうね。明けの明星の下で、こんな歌を歌われたら…
うーん、鈴木さんのバラードの中でも最もロマンチックな歌と言えるでしょうね。
最後に鈴木さんは歌います。
♪そばにいて♪
と。
この時、そばにいてほしかったのはパートナーだったわけですね。鈴木さんは小田さんの問いかけに答えることなく、その心情をパートナーへと打ち明けたのです。
このアルバム「We are」のA面はこうして終わります。当時、私はこの甘いバラードにただ感動していました。この曲の奥底に秘められた思いを知ることもなく。
アルバム「We are」、B面ではどのような展開が待っているのでしょうか…