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オフコース アルバム「over」その1 心はなれ(Instrumental) 

鈴木さんの脱退宣言に端を発したオフコースの解散騒動。この解散を巡っても鈴木さんと小田さんの性格の違いが色濃く反映していたと思います。

職人気質の鈴木さんは自分が脱退したあとは誰か新しいメンバーを入れればいいと考えていたようで、自分は自分の道を行くだけと極めてシンプルだった感じです。

小田さんは、ヤス(鈴木さんのこと)がいないオフコースは考えられないということで、オフコースの「解散」を意識するようになっていきます。リーダーである小田さんの意向は無視できず、スタッフたちもオフコースの解散に向けて動いていきました。

これは私の個人的な思いですが、「企画」好きの小田さんはオフコースの解散ということも一つの「企画」として考えるようになっていたのではないかということです。

解散プロジェクトの青写真はできています。それはレコード会社との契約です。契約期間は81年6月1日から82年12月31日までで、オリジナルアルバムを2枚、ベストアルバムを1枚、武道館ライブもしくはそれに代わるものを1枚、シングルを3枚出すこと。

これを骨格として、小田さんはオフコースを如何にして見送るかという視点に立ったのではないでしょうか。自分の苦悩や悲しみも全部ひっくるめて、解散プロジェクトを遂行していったと思ってしまいます。

映像としてNHKに取材を許可し、BGMはアルバム「over 」。クライマックスは武道館10日間ライブ。その内幕のドキュメントは山際淳司氏の「Give up」。

この時期の一連の動きを振り返ると、オフコースというバンドを如何に葬送していくかという動きだったと思わずにはいられません。

したがって、アルバム「over 」のテーマは「心はなれて」です。鈴木さんがオフコースから心はなれて、小田さんと鈴木さんが心はなれて、オフコースが崩壊していくレクイエムです。

アルバム「over 」には、前作「We are」で感じた高揚感はありません。前にも述べましたが、「We are」の核は「僕等の時代」です。一体感です。「over 」は悲壮感です。

アルバム「over 」のA面1曲めは「心はなれ」(Instrumental) です。消えゆくオフコースの壮大なドラマの幕開けにふさわしいです。敢えてInstrumentalにしたのは、やはり、プロローグとして言葉にできないということだったのだろうと思ってしまいます。









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