見出し画像

オフコース アルバム「I LOVE YOU」 きっと同じ 三角関数的人生論

古代中国で始まった思想に陰陽論というのがあります。

突然コイツは何を言い出しとるねん!と思われた方もいらっしゃるでしょう。お時間がお有りの方はお付き合いください。

私がこの陰陽論に惹かれるところは、善悪の二元論のような対立構造ではないところです。有名な図に太極図があります。


太極図

陽が極まったら陰につながり、陰が極まったら陽につながるという、それぞれがそれぞれを内包しているわけですね。

で、中学のときに習った三角関数ですが、

(マジでコイツは何が言いたいねん!)もうしばらくお付き合いください(汗)

サイン・コサイン・タンジェントと言うやつです。サインカーブのグラフはこれです。


サインカーブ

中坊の時は単純に「きれいなグラフだな」としか思っていなかったのですが、後に陰陽論を知って「このグラフって太極図を図式化したものかも!」と思ったんです。

プラスの局面が極まったらマイナスに転じ、マイナスの局面が極まったらプラスに転じるって感じです。

で、この横軸ですが、カーブが横軸と交わった点はゼロです。このゼロの概念を発見した人も凄いと思います。何もないのに「有る」という数字1・2・3…と同列に並べたのですから。

「ないけど有る」って仏教思想の「色即是空・空即是色」そのものですよね。「色」とは実体があるものです。それが「=空(ゼロ)」であり「空(ゼロ)=色(実体)」

確かにサインカーブが横軸と交わった点って、ある意味、プラスもマイナスも内在していると考えられます。実際にグラフではちゃんとゼロは表現されてますし。「無いけど有る」んですよね。

横軸を時間ととらえると、交点より左は過去で右は未来、交点は現在。ということは、交点には現在・過去・未来が内在してるわけで、これって物理学の量子力学に通じるかもしれないと思うわけです。

で、小田さんの「きっと同じ」ですが(ようやく曲のレヴューかよ!)


始まることも
終ることも
きっと同じだね
きっと同じだね
きっと同じだね

と、歌っているわけですが、この歌詞から私は前述の陰陽論からサインカーブなどの事を連想してしまうのです。

人生も同じで、プラスが「生」でマイナスが「死」。生が極まったら死、死が極まったら生。これは輪廻転生そのものでしょう。そうであるなら、生き急ぐこともなければ死に急ぐこともない。あとはどういう波形を描くかです。小さな波形もあれば大きな波形もある。人それぞれですよね。

宇宙も同じかもしれませんね。今の宇宙がいずれ収束したと同時に新たなビッグバンが起こり新たな宇宙がはじまる。

短い歌です。文字数も般若心経の260字の半分以下です。でも般若心経と同様に宇宙の本質が表現されていると思えてなりません。


昨日のことは誰れもきかない
変わってゆくのは心も同じ
走り疲れてふり返れば
何もない今は
誰もいない今は
僕はここにいて
まるで飾り気のない
明日を待っている
始まることも終ることも
きっと同じだね
きっと同じだね
きっと同じだね


過去

「昨日のことは誰れもきかない
変わってゆくのは心も同じ
走り疲れてふり返れば
何もない今は
誰もいない今は」
→グラフの左=過去=「色即是空」

現在


「僕はここにいて」
→グラフの交点(現在)

未来

「まるで飾り気のない
明日を待っている」
→グラフの右=未来=「空即是色」

「始まることも終ることも」

「きっと同じだね」→過去
「きっと同じだね」→現在
「きっと同じだね」→未来

という感じです。

特に「飾り気のない明日を待っている」という表現が秀逸です。

未来に対して、誰しも現時点ではデッサン的なものしかありません。まだ実体がない状態です。それを「飾り気のない」という言葉で表しているわけで、まさに「空即是色」です。これからどう色付けしていくかは人それぞれです。

必要以上に過去を気にすることもなければ、どんな未来も描いていけるということですね。

長々とヘンテコリンな事を書き散らかしてきました。ここまで読んでいただいた方、ありがとうございました。

結論としては、この小田さんの「きっと同じ」という曲は、私にとっては般若心経に匹敵するくらい「有難い」曲ということです。

ちなみに、伴奏のギターは鈴木さんが演奏されたとのこと。最初は小田さんが自分で弾いたけど上手くいかず鈴木さんに頼んだら上手く演奏してくれたとのこと。

オフコースの終わりに、この二人の合作。

「始まることも終ることも きっと同じだね」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?