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【読書記録】ライファーズ / 坂上香

人間には、他者の存在がなくてはならない。単に一緒にいるためだけではなく、サポート、理解、そして光を与えてくれる存在が必要だからだ。例えば、ある人がストレスを抱え、他者を最も必要としているときに、恥の意識や罪悪感、恐怖心を植え付けられてしまうことはよくある。多くの親、教員、宗教者、そして一人の人間として接するべきそれ以外の人々が、痛みを伴う語りを、あまりにも無関心に聞き流してしまうからだ。
回復共同体という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
回復共同体は、ずっと抱えてきた苦しみや痛み、人に言えなかった真実や秘密を安心して語り合うことのできる場であり、自分自身と向き合って受け止める場です。
精神的サンクチュアリという表現がしっくりくる。
この本には、アメリカの民間団体アミティが行う回復共同体によって、殺人などの重い罪を犯した人や再犯を繰り返している人が、まるで生まれ変わったような人間的成長を遂げる様子が書かれています。
刑罰や矯正によってではなく、自分の人生をさらけ出し語り合うことによって、生き方そのものが変わっていく。
そしてサンクチュアリは、司法の領域だけでなく、社会の色々な場所に作っていく必要があると著者は言います。
私も強く共感します。
社会はそう変化していかなければならないと思う。
学校、企業、病院などの社会の様々な場所に、サンクチュアリが遍在するようになれば、それ社会にとって大きな前進であるように思います。