夜の散歩がやめられない
2年前から夜の散歩を続けている。
我が家は小高い山の中腹にある。
丁度、スタジオジブリの【耳をすませば】に出てきたアトリエ【地球屋】と同じくらいの標高だろうか。
坂のカーブも少し雰囲気が似ている(と勝手に思っている)。
散歩コースはこの山を下りて行き、一番下の交差点で折り返して、また家まで坂を上って行くという感じで、大体往復20分弱だ。
夕食を食べた後、一人で歩きに行く。
敢えて昼間に行かないのは、夜の方が人通りが少なくて良いからだ。
いつも私は音楽を聴きながら歩いていて、人が居ないところではついつい口パクで歌う真似をしてしまう癖がある。
見られると恥ずかしいことこの上ないので、明るい時間より暗い時間の方が安心感があるのだ。
と言っても、全く人通りがないわけではないので、たまに口パクに集中していると、暗い夜道からすれ違う人が急に現れたりする事もある。
そういう時は驚きつつも、会釈したり、挨拶したりして、何事も無かったかの様に通り過ぎるようにしている。
音楽はその日の気分や季節によって選ぶジャンルが変わる事が多い。
夕食の片付けが終わった頃、イヤホンを装着して1曲目を再生する。
夜の散歩のスタートだ。
この日一曲目にかけたのはMrs. GREEN APPLEの【ケセラセラ】だ。
私は流行りに疎いのだけれど、彼らの曲は聞いていて前向きになれる歌詞が多いので、最近よく聴いている。
今日一日の色々な事を1つづつ手放して行くかのように、一歩づつ歩みを進めて行く。
家を出て少しすると、長い階段が待っている。
この曲を聴きながら下りる階段は、とても足取りが軽く、ちょっとウキウキする位だ。
調子に乗って勢いよく降りていくと、四十路のかすみ目では、暗闇で踏み外してしまうことがあるので注意が必要だ。
しばらくして、散歩コースはカーブに差し掛かる。
丁度【耳をすませば】で雫が忘れたお弁当を天沢君から受け取るシーンで出てくる様なカーブだ。
この辺りで2曲目、Keiko Leeの【星たちの距離】が始まる。
丁度空が開けて、星空と雲の中を突き進む飛行機が見えたりする。
夜の星空は、三日月に腰かけた少年が釣りをしているDreamWorksのタイトルシークエンス並に美しい。
この曲を聴きながら美しい星空を見上げる時、いつも英会話でお世話になっている世界中の先生達を思い出す。
いつかあの空を行く飛行機に乗って、また違う国に行ってみたいと物思いにふける瞬間が訪れる。
この曲の最後のメロディーが近づく頃、丁度散歩も交差点に差し掛かり、折り返しを迎える。
帰りは傾斜のキツイ上り坂だ。
坂を上りながら頭の中に残る雑念と少し向き合う。
この坂を上るにあたって、自分を鼓舞する曲をかける。
DREAMS COME TRUEの【 SNOW DANCE 】は傾斜を上るのにピッタリの曲だ。
ウィンター・ソングなのだけれど、軽快なリズムのこの曲は、この散歩の一番の難所を上るのを少しだけ楽しくしてくれるので、ついつい冬以外の季節でも聴いてしまう。
PVの中で軽快に街を歩く吉田美和のように、一番の難所を軽快に上る事ができる。
曲が終わりを迎える頃、丁度行きに下ったカーブに差し掛かる。
この日の散歩を締めくくるのは、
Michael Jacksonの【Man in the mirror】だ。
世界をより良くするような大きなことはできないけれど、せめて明日をより良くしたいと、前向きな気持ちにさせてくれる。
お陰で、70段の階段も上ることができる。
階段はライトで照らされ、まるでスポットライトのようだ。
マイケルと一緒に歌っているかのように、
サイーダ・ギャレットのパートを口パクで歌いながら、一歩一歩踏みしめていく。
最後のコーラス部分に入ると、散歩はエンディングを迎える。
上り終えた坂の上で、両手を広げたい気持ちをぐっとこらえ、何事もなかったかの様に静かに家路に着く。
たった20分の夜の散歩。
でもそれは、
色々あった一日を少しクリアにしてくれる。
私が私になれる幸せな時間なのです。
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