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イメージとして分数を捉える〜分数 第1時〜

はじめに

3年生分数では、初めて量分数を学ぶ。2年生までは分割分数と言って、いくつに分けたうちのいくつ分かと言うことを考えていくが、3年生では普遍単位を用いて大きさを表していく。
第1時では、量分数の見方の導入としてピザを使ったゲーム的導入を行った。

ゲームのルール〜1つのゲームで4回楽しむ〜

第1回戦 個人戦

ゲームを始める前には3分の1枚が1枚集まると3分の1枚、3分の1枚が2枚集まると3分の2枚、3分の1枚が3枚集まると…?のように、3分の1枚が6枚集まるとのところまでピザの絵と量分数を結びつけていった。

ゲームを始める前に

その後ゲームの説明を始めた。
今回行ったのは、ピザ王というゲーム。
ここではまず簡単にルールの説明をしていく。

ゲームの説明
1.ピザ1枚を3つに分けたうちの1つ分を3分の1枚と呼ぶことをおさえる

2.ピザは1人につき3分の1枚が3枚配られる。ゲーム終了時にピザが手元に1番多い人がピザ王となる。

3.制限時間5分の中で、2人1組で何度も色々な人とじゃんけんをする。じゃんけんをして、勝った場合「ピザ3分の1枚ください」と言い、負けた友達からピザを3分の1枚もらう。

4.手持ちのピザがなくなった時は、教師の所へ行き、「ピザ3分の1枚ください」と言うことで3分の1枚のピザを追加する。

5.じゃんけんに仮に勝つことができても、間違えてピザ1枚くださいと言ってしまった場合には、「1枚もあげられません」と言って、3分の1枚のピザを1枚を支給しなくてもよい

第1回戦 個人戦ルール
ピザ3分の1枚を3枚ずつ分配する
じゃんけんをして勝った…
もし、手持ちのピザがなくなったら?
先生からもらう


このように、ゲームの説明をして、ピザ王決定戦を行った。

第1回戦 個人戦をやってみて

ゲームは単純明快で、子供たちからはとても評判がよかった。また3分の1枚がいくつ集まったかを意識することによって簡単に量分数に表すことができ、イメージと量分数が接地するというよさがあると思った。
ピザ王を決めるときに、まず、グループ内ピザ王を決めたのち、クラスピザ王を決めた。
この意図は、まずグループで行ったことで、一人一人の対話が増え、量分数3分の1枚がいくつあるから3分のいくつだねと発話する機会が増えて定着にも繋ると考えたからだ。実際にこのねらいは達成できていた。
さらに、1枚と3分の2枚あるから3分の5枚だねなどと帯分数のように言っている子供が多くいた。実際に紙という動かしやすい具体物、円という欠けてるイメージのもちやすい具体物を用いて行ったことで1枚のピザのイメージを持てたのだと思う。
このゲームを行い、仮分数を帯分数にするイメージ化にもつながるため4年生にもお勧めしたいゲームだと感じた。

第2回戦 個人戦

次の第2回戦では、
3等分以外でもこのゲームはできるのかな?
と子供に問いかけると、
6分の1枚だったらすぐにできるよ
と言っていた。そこで
どうやって6分の1枚を作る?
と問いかけたところ
3分の1枚を2つに分ければよい
と言っていたので、みんなでやって実際に切って作ってみることにした。すると、ちょうどきっとピース6枚で一枚がのピザが出来上がったことから6分の1枚ピザ王のゲームを行った。

第2回戦 個人戦ルール

ゲームは第1回戦と同じように流れていった。
しかし、ピザの数も最後に確認し、ピザ王を決めるときに、第1回戦とは少し違った様子が見られた。
その違いは、ピザの数を数えるときに、第1回戦では1枚のホールのようにして数えていたにも関わらず、第2回戦では1枚のホールのように並べる子はいなかった。
この6分の1枚ピザ王の活動はピザの枚数が多くなるため、子供たちはピザ1枚の形に並べることが大変となり並べなかったのだろう。これにより1枚と何分の何と帯分数のように言う子はいなかったと考える。少しの教材の工夫でこれだけ状況が変わると言うことを改めて学んだ瞬間だった。

第3回戦 団体戦

第3回戦は第2回戦で持っている自分のピザと班の友達のピザを集結させ、自分のピザ屋のピザ資金とした。ルールは第1回戦第2回戦とほぼ同じが、
違いは、班を一つのピザ屋として考え(ドレミピザ、ピザーニャなど名前をつけていた)班の人たちは同じピザ屋で働く従業員としてじゃんけんをし、ピザ資金を獲得するというものである。
最終的にピザを多く持っていたピザ屋が売上高1位となり勝利となる。その時、当然ピザ資金がなくなってしまうことも考えられるため、資金がなくなってしまったときには先生バンクから融資を受けることとなる。当然この融資は5分終わった後に返済をしなければならないというルールで行った。
子供たちはピザ王になるため、じゃんけんをたくさん行い、ピザ資金の獲得に励んでいた。
5分が過ぎると、子供たちはピザの枚数を数えていた。
当然、分担作業で数えることが考えられるため、分数+分数の考え方のイメージをここで持って処理するのではないかと考えてこの活動を仕込んでいた。
実際に子供たちは、4人で数えたピザの数を合算し、
6分の71枚のピザを獲得!絶対にチャンピオンだ!
となどと言っていた。
子供たちは、この活動を終えると、
分数って足し算ができるんだ
足し算ができるって事は引き算もできるんじゃない?

など、この後の学習の見通しについて話している児童が多く見られた。
あえて枚数を多く設定して、班で協力する活動を行うことで、ねらい通り分数の足し算のイメージ化を図ることができたと考える。

団体戦1回戦のルール

第4回戦 団体戦

第4回戦団体戦では、第3回戦団体で勝ち取ったピザをそのまま第4回戦でも使うこととした。第4回戦も、今までとルールはほぼ変わらないが、1カ所だけルールを変えた。
それは、グーで勝ったら6分の1枚のピザを1つ分あげ、チョキ勝ったら6分の1枚のピザを2つ分あげ、パーで勝ったら6分の1枚のピザを3つ分あげないといけないというルールを加えた。
すると、
パーで勝ったら半分もらえるってすごい!
2分1枚もらえるってことか!
チョキで勝ったら、初めにやった、3分の1枚と同じサイズもらえるのか!
と6分の2枚や6分の3枚を他の分数で表現しだした。まさにねらった通りであった。

団体戦2回戦のルール

このように活動を行い、子供たちは楽しんで量分数をイメージできるようになっていった。

まとめ

単元の導入は、今後の学びにつながるような導入の工夫がとても大切だと感じた。
活動あって、学びなしとならないように今回は活動を5分に区切り、ピザ王を決めるときに、
どのように数えたか
足し算は本当にこれで合っているのか
分母は足さなくていいのか
など、考える場を設けながら行った。
活動後に振り返ったりフィードバックをしたりすることが楽しかったで終わらない秘訣ではないかと感じた。

参考文献
「算数授業研究 VOL.101」樋口万太郎氏の実践(東洋館出版社)

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