重さ、長さ、かさの単位QNKS
はじめに
3年生算数「重さ」の単元で学ぶ単位の関係の学習は一般的に暗記のイメージが強い。
昨年6年生を受け持ち、様々な単位を暗記してきたことで、1L=1000mLや1L=10dLなどを忘れ苦しんでいる姿を何度も見てきた。
このような子どもたちには、
生み出せる知識は生み出せばよい
そんな経験や意識を持たせたい。
今回載せる実践はそう考えて行った実践である。この実践は、通常の算数の1時間と探究的活動での1時間を合わせて2時間で行ったものである。
Q1 どんな仲間?
まずはじめに、子どもたちに習った単位を聞くとg kg mL dL L mm cm m km
などの単位が上がった。
そこで、これらの単位とこれらの単位の漢字表記をロイロノートで送り
仲間分けをしよう!(英語と日本語の表記という仲間分けはなしを前提)
と言い、Xチャートを使って仲間分けの活動を行った。
すると子どもたちは、タブレットで単位を表す漢字の読み方を調べ、仲間分けをしはじめた。
NK1タブレットで調べて情報を抜き出す
タブレットで漢字の読み方を調べると
米が付くものが長さを表していること、
瓦が付くものが重さを表していること、
立がつくものがかさを表していること
が分かった。また、国語科の授業で「へん」について学習していたので、何で米が使われるのか、瓦が使われるのかなども調べていた。
子どもたちは、班で考え、仲間分けをすぐに行うことができていた。そのためさらに、
これらの単位を小さいものから大きいものになるように順に並べてみよう
と言うと以下のように全班が並べることができた。(資料1)
S1 まとめると
単位を順にごとに並べてみると
かさと長さには、単位の左側にm(ミリ)があるのに、重さにはない(資料2)
ことに気がついたら。さらに、
重さを表す単位には全て右側にgついているのと同様に重さを表す漢字には左側に瓦がついていたり(資料3)
1kgは1000gとなることに瓩という漢字から気付いたりすることができた。
Q2 他にも単位がある?
長さにはm(ミリ)があるのに、重さにはないから、重さにもm(ミリ)がつく単位がある気がする
瓦に千でkgなら瓦に100もある気がする
並べるとなんか凸凹だからそこに単位があるはず(資料4)
と疑問をたくさん抱き、
他にも単位あるはずと
子どもたちは考えた。
そこで、他の単位の漢字表記のカード(資料5)を子どもたちに送った。
すると、
これも大きさごとに並べれるのかな?
英語で単位が書けないのかな?
と疑問を抱いていた。
NK2 法則から単位を作り出す
子どもたちは瓦や米、立の右側が十、百、千となっていることから、右側に着目して
十、百、千の順に漢字で表された単位が並ぶ
ことを予想することができていた。
また、1kg=1000gということや1km=1000mということから
瓩という漢字は、瓦を千倍してるって意味か
粁という漢字は、米を千倍してるって意味か
と言っていた。
また、別の子は
十、百、千と位が右に行くほど10倍ずつしてる
ということに気づくことができた。
さらに、1L=10dL(竕)ということや1m=100cm(糎)ということを根拠に、
厘と分では分の方が大きいはず
と漢字の単位の順序を考えることができていた。
そして、以下(資料6)のようにどの班も漢字の単位を順番に並べることができた。
さらに、この表を縦に見て、
空いている単位を自分で作れる!
という子が現れた。そこで、どうしてそう思ったか聞くと、
毛が付いていたら左側はm(ミリ)、厘が付いていたら左側はc(センチ)
になっていることに気付き、そのように考えたようだった。この気付きによって自分達で単位を考え以下の表を完成させることができた。(資料7)
S2 表を完成
表を完成させると
位取り表みたい
と、
すべての単位が右に行くにつれて、10倍ずつ上がっている
ことに気づくことができた。
また、漢字の表記では
米が十個分で籵、米が百個分で粨、米が千個分で粁
と表記されていることに気づくことができた。さらに、これは、今まで学習してきた
○がいくつ分(単位のいくつ分)
と同じことだということを発見することができた。これにより、kgやkmのように日常使っている単位の表記はgが1000個分、mが1000個分と○がいくつ分の関係になっていることに気づき、kの表す意味に気作くことができた。
さらに、他の単位でも
単位を表す表記の左側は、何倍という意味を持っている
ということや
hは100倍、daは10倍、dは÷10、cはそのまた÷10
のように数量関係を捉えることができた。(資料8)
Q3 新たな問い
それぞれの記号が持っている意味を整理した後、1t=1000kgなんだよ
と黒板に書くと
tとkgの間に何か単位があるんじゃないか?
と疑問を持ち出した子が何人も出た。その理由を聞くと、
1つ右の単位の部屋へ位が上がると10倍ずつ増えるルールがあった。でも、kgの部屋からtの部屋までは1000倍で、kgからtまで3つ先の部屋と言える
だから、間に2つ違う単位の部屋があるのではないかということだった。(資料9)
この説明を聞くと、他の子どもたちも
絶対にtとkgの部屋の間の2つに別の単位がある
と主張を始め、間の2つの単位をタブレットを用いて調べだした。
NK3 Kgとtの間の単位
結果としてメガMとギガGという単位が入ることを知り、予想が的中したと喜んでいた。
すると、ミリmの前にも何か単位があるのではないかと考え、タブレットで調べてみると、マイクロμやナノnという単位があることがわかった。
S3 まとめ
単位も数と同様に10倍ごとに部屋があり、位取り表のようになっている
ということに子どもたちは気づくことができた。だから、1kmはmの部屋から何部屋動いたかが分かると、1km=1000mだと簡単に答えが出せることに気付くことができた。
さらに漢字での表記では左から米の10倍、米の100倍、米の1000杯と表記されているが、アルファベットを使った日常使う単位の表記では、10倍メートル、100倍メートル、1000倍メートルのようになっており、語順も日本語と逆になっていると言うことに気付くことができた。
最後に
今回は通常の算数の時間から探究的活動に広げて行った2時間であったためたくさんの学びが生まれたと考える。
漢字での単位の表記は
○がいくつ分という単位の考え方
がイメージしやすい。そのため、漢字での単位の表記を用いたことで、
kgのkやcmのcの意味について漢字と関連させて考えることができた
と考える。
さらに、このような学習展開の工夫を行ったことで単位の暗記にならず、構造的な理解になったのではないかと感じた。
この後、
なぜ漢字での表記は瓦1000個分と書くのに、英語だと1000倍のgと
かける数かけられる数が違うのか?
と疑問が上がった。授業ではこれ以上取り上げる時間がなかったが、家で調べた子の分析によると
two apple please と りんご2個ください
でそもそも語順が違うからでないかと言っていた。
本当によく探究した活動となった。