「教科書の問題で算数の授業を一緒につくろうワークショップ」を終えて①
2025年になって1本目のnoteとなります。
今回は校内で自主的に開催した研修についてまとめます。
「教科書の問題で算数の授業を一緒につくろうワークショップ」という研修です。
参加してくれた先生方のおかげで無事開催することができ、一安心です。
そして、研修に参加してくれた先生方のやり取りから私も学ぶことができました。
その中で「なるほど!」と思い、研修の最後に伝えた内容を改めて整理したものが今回のnoteになります。
⒈研修の構成
今回の研修は日々の授業に直結する内容がよいと思って準備をしました。
研修の内容は以下のとおりです。
「教科書アレンジ7つの方法(仮)」の提案
授業づくり(グループワーク)
作成した板書案のプレゼン
方法の提案から実際にその方法を使って実践してみるという構成です。
1時間程度の研修です。
⒉先生方が悩みどころに気付く
今回の研修では私が選んだ授業の場面(3学期に実施する単元)を準備し、その中からランダムで選んだ場面の板書をつくるという流れでした。先生方が選んだのは「数と計算」領域の以下の2つでした。
3年「12×23」の場面
4年「3.6÷3」の場面
授業づくりの話し合いを聞いていると、先生方が確認し合う場面があり、そのいくつかの内容は共通しているものでした。
それが、
既習と何がつながるの?
数直線ってどこで使うの?立式?考え方?
交流場面では筆算は出す?図を出すのは先?後?
まとめはどうすればいいんだろう?
という内容です。
この点について簡単に私の考えをまとめていきます。
⒊「立ち止まって考えるところ」は「大切なところ」
「既習と何がつながるの?」について
ワークショップの冒頭「教科書アレンジ7つの方法」では、問題文の数をマスキング(□)にすることで未習と既習の違いを明確にする方法を伝えました。その話を参考に先生方は教科書の問題の数をマスキングし、既習と未習の違いから課題を作っていきます。
<「12×23」の場面>
「12×23」の場面を考えた先生方はしばらく相談し、乗数(かける数)が前時は「20」、本時は「23」ということに着目していました。それが「図に現れているかな?」「20と3に分けて考える図とつながるね。」と確認を進めていきます。
12×□の提示(問題文あり)
12×30等の提示(既習)
12×23の提示(未習)
「かける数に0が付いていないから計算できない!?」という思いを生む
<「3.6÷3」の場面>
一方、「3.6÷3」の場面は、小数のわり算の1時間目なので「わられる数が小数が新しいから、マスキングに入れるのは最初整数だよね。」と簡単に違いが明確になっていきます。
□÷3の提示(問題文あり)
3÷3、36÷3の提示(既習)
3.6÷3の提示(未習)
「わられる数が小数って計算できる!?」という思いを生む
「数と計算」領域では、マスキングによって「未習に出会わせる」手だては、最後に出す数に必然的に着目するので違いが明確になります。最後の交流で「どっちも数と計算で両方マスキングだね。」とつぶやいていた先生がいた通り、どの学年でも簡単にできる方法でもあります。
授業づくりのときに「数と計算ではとりあえずマスキングするとして…」と考え始めたことで、「奇襲との違いはなんだっけ?」と必然的に思考が流れます。そうすることで、先生方もその既習を意識して授業づくりに臨むことができるのかもしれません。
「既習を生かす」ことは大切です。
大人も子どもも日常的に既習を意識して授業をつくれるといいですよね。
「数直線ってどこで使うの?立式?考え方?」について
教科書を見ると、2つの場面には数直線が出てきます。
特に、「3.6÷3」の場面の先生方からは以下のような話題が出ていました。
数直線は教科書にあるから書くか、でもこれって書きたいと思うかな?
数直線で計算方法って説明できるの?つながるのかな?
数直線は式の理由ってことだから、全体交流では位置付けなくてもいいんじゃない?
「数と計算領域」ではついてまわる数直線。
しかし、「数直線って何のためにあるの?」「どう使えばいいの?」という数直線の役割ははっきりしないものです。
教育出版では、この「数直線の役割」を「数直線の機能」として以下のように整理しています。
この内容を参考にすると、
「12×23」はa,b,d
「3.6÷3」はa,b,c,d
となり数直線が大活躍!…とはなりませんよね。
機能が多岐にわたるということは「子どもも大人も扱いにくい」のです。
そのため、まずは「b.演算決定の根拠」として扱うことをお勧めします。
大人も子どもも慣れていけば、他の機能へと広げていけば良いです。
これぐらいの問題では式に表現するのは簡単ですので、数直線を描く必要感は薄いですが、「この式で本当に正しいのかな?」問い返したり、「問題文を違う形で表して正しいと更にはっきりさせよう」などと促したりして、「問題・式・数直線」の3つをつなげていくとよいです。
高学年になると式に迷う場面が出てくるので、「困ったら数直線!」がキーワードにうなるように価値付けていくと子どもたちが自身をもって立式できるようになります。
長くなってきてたので、ひとまず今回のnoteは終わります。
「交流場面では筆算は出す?図を出すのは先?後?」
「まとめはどうすればいいんだろう?」
については次回まとめていこうと思います。
「教科書アレンジ7つの方法(仮)」も形にしてnoteで投稿することができればと思っています。
最後まで読んでくださりありがとうございました。