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小学校の先生をはじめて12年。大学院や研究団体などで算数と子ども理解を中心に学んできま…

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小学校の先生をはじめて12年。大学院や研究団体などで算数と子ども理解を中心に学んできました。研究会の授業協力や学会発表、雑誌に寄稿する機会をいただくなど成長する場をつくってくれた方々、楽しく過ごさせてもらった子どもたちに感謝の気持ちを込めて始めました。

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    5年生の算数の授業についてまとめています。

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最近の記事

思考しつつ、コンパスに慣れ親しむ算数授業の工夫:3年『円と球』

3年生の「円と球」の単元の授業を紹介します。 この単元は円や球の知識を理解することに加え、コンパスの技能を習熟していく必要もあります。私の経験上、コンパスに初めて出会った子どもたちはなかなかうまく使えない子が多くいる印象です。 そこで、ひたすら円を描く練習をするのではなく、子どもたちが考えながらコンパスに慣れ親しむことができないか考えました。 授業には反省点が結構ありますが、それも含めて今回は紹介します。 「何個の円でゴールに行けるかな?」長い辺の長さが15cmの長方

    • カードを使ってドキドキワクワクしながら考える授業:3年『10000より大きい数』の授業

      今回は3年生の授業を紹介します。 単元は「10000より大きい数」です。 この単元は以下のような構成になっています。 「万の位」について理解する 「不等号」「等号」の意味を理解し、大きさを比べる 10倍や10分の1等の大きさの数と表し方を理解する 今回紹介するのは「「不等号」「等号」の意味を理解し、大きさを比べる」といった内容の授業です。 大きさ比べる授業は、よく「数の大きさを比べるときどの位を見ればいいでしょうか?」とよく問いかけたくなります。 その問いかけ

      • 算数とコーヒー/学校に欲しい「特別な経験」

        「なぜ学校へ行くのか?」その問いへの答えを用意することは難しくありません。 「法で定められているから」「学習することが将来のためになるから」「集団の中で社会性を身に付ける必要があるから」など様々な答えが考えられます。しかし、これらの答えは、子どもの立場から考えたときに本当に答えになり得るのだろうか?ここ数年、この問いを抱えながら教師という仕事をしています。 「働き方改革」や「コロナ対応」の基で削減された行事や取組。 それらの中には、子どもにとって楽しみにしていたものも意

        • 教育実習生へ「授業の見方」/授業を観ているあなたにしか話せないこと

          大学によって違うとは思いますが、そろそろ始まる教育実習。 自分が教育実習生だったときを振り返ると、今でも実習先の子どもたちとの出来事を思い出せます。教育実習生の皆さんには子どもたちとの思い出をたくさんつくって欲しいです。 今年度は実習生に対して「授業の見方」というテーマで話をすることになりました。 今日は話す内容の整理するために書こうと思います。 ①「何のために」授業を見るの?「見ろ」って言われたから。 (自分が授業をするために)どんな風に進めるのか知りたいから。

        思考しつつ、コンパスに慣れ親しむ算数授業の工夫:3年『円と球』

        • カードを使ってドキドキワクワクしながら考える授業:3年『10000より大きい数』の授業

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        • 教育実習生へ「授業の見方」/授業を観ているあなたにしか話せないこと

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          論文からつかむ校内研究の課題

          今回は校内研究に関する内容です。 校内研究に関する論文を読んでいて、様々な方法で校内研究が研究されていることがわかりました。その中で、教員に対するアンケートの分析で、課題を明らかにした内容の研究を紹介しようと思います。 校内研究に携わっていると「やっぱりか」と思う内容もあるのですが、意外と新しい発見も多くあります。 姫野完治「校内授業研究及び事後検討会に対する現職教師の意識」この研究は公立の小学校、中学校、高等学校の教師を対象にした校内授業研究及び事後検討会に関する質

          論文からつかむ校内研究の課題

          6年『比』の学習のポイントは1時間目:「2量としてみる経験」が思考のしなやかさを生む

          今回は6年生『比』の内容を紹介します。 学習指導要領では、「二つの数量の大きさを比較しその割合を表す場合に,どちらか一方を基準量とすることなく,簡単な整数などの組を用いて表す方法が比である。(p304)」とあるように割合の学習と関連があります。 この単元は以下のような内容を学習します。(教育出版の単元を参考) 比の意味と表し方 比の値 比の性質 比を使った活用問題(比から部分の数量を求める) 比を使った活用問題(比から全体の数量から部分の数量を求める) 比を使

          6年『比』の学習のポイントは1時間目:「2量としてみる経験」が思考のしなやかさを生む

          5年『四角形と三角形の面積』のデザイン④:ひし形、四角形、およその面積まで学習を進め、子どもたちが見いだしたこと

          5年生「四角形と三角形の面積」の単元の紹介も4回目となりました。 ひし形、一般四角形、およその面積と進める単元終盤の内容です。 これまでの学習で、子どもたちは「公式化をしたい!」という思いをもって面積の求め方を考えることを通して公式化への道筋を学び、そこから「台形の面積の公式が最強だ!三角形にも四角形にも使える!」と公式に対する見方を変化させてきています。 学習の終盤では、以下のような子どもの姿が引き出されました。 ひし形の求積公式と台形の求積公式の関係を考える子

          5年『四角形と三角形の面積』のデザイン④:ひし形、四角形、およその面積まで学習を進め、子どもたちが見いだしたこと

          5年『四角形と三角形の面積』のデザイン③:台形の面積で「求積公式に対する見方」を広げる

          5年生『四角形と三角形の面積』の単元の授業の紹介も3回目になりました。 台形の面積の求め方は、「公式を扱わないのか?」と話題になったこともある内容です。現在は当然指導内容として位置付けられていますが。 「台形の公式は必要か」という議論より、「台形の面積を求める公式によって求積公式の見方に変化が生まれ、そこに面白みを見いだせるか」と考えた方が授業はより豊かに広がっていきます。 「平行四辺形には平行四辺形の公式を使う」「三角形には三角形の公式を使う」というように求積公式全てを

          5年『四角形と三角形の面積』のデザイン③:台形の面積で「求積公式に対する見方」を広げる

          子どもの成長から 集団で学ぶということ

           今年の春から、4歳の息子と一緒にストライダーの練習を始めた。  ストライダーはペダルのない自転車だ。もちろん、付属のペダルを取り付ければ自転車として乗ることもできる。  息子が自転車に乗れるようになり、近い将来、一緒にサイクリングをしたい。その願いを込めてプレゼントした。しかし、3歳の誕生日に買ってからほとんど乗ることはなく、物置の奥にしまったままだった。  そのストライダーを出して、「今年こそは」と息子を誘った。  ストライダーの公式サイトにある「ストライダーはじ

          子どもの成長から 集団で学ぶということ

          5年『四角形と三角形の面積』のデザイン②:三角形の面積で「公式が見えた!」が生まれるまで

           5年生で学習する『四角形と三角形の面積』の単元の紹介です。  前回は「追究する学び」の素地づくりをテーマに実践を紹介しました。  今回の記事では、平行四辺形の求積公式を見いだし、三角形の学習へと進めていきます。三角形の面積の求め方から公式を考えているときに、「あ!」と言いながら前のノートをめくる子がいました。その後、「先生、公式が見えましたよ!」と笑顔で話し始めます。「追究する学び」が少しずつ始まってきました。  前回の記事もよければ御覧ください↓  『四角形と三角

          5年『四角形と三角形の面積』のデザイン②:三角形の面積で「公式が見えた!」が生まれるまで

          5年『四角形と三角形の面積』のデザイン①:平行四辺形の面積で「追究する学び」の素地づくり

           これまでの記事で、5年生『四角形と三角形の面積』の単元での授業協力の準備を紹介してきました。その流れで、今回の記事では私が5年生を担任していた時の『四角形と三角形の面積』の単元の授業の記録について書こうと思います。 ↓これまでの記事はこちらから御覧ください。  ⓪単元のデザイン   多様な考えから公式化を導き、発展的に考える姿へ 『四角形と三角形の面積』の単元は、追究することを楽しみやすい単元です。  理由は、前回の記事でも述べた通り、単元内で「求積問題→公式化」のと

          5年『四角形と三角形の面積』のデザイン①:平行四辺形の面積で「追究する学び」の素地づくり

          授業検討会を経て:『平面図形の面積(四角形と三角形の面積)』の授業を考えるときに大切にしたいこと /単元を貫いて子どもの「〜したい」を思い描く

           以前書いた記事の続きです。もしよろしければ御覧ください。  とある研究会に向けた授業づくりのグループと1回目の授業検討が終わりました。  授業者の先生、サポートの先生との顔合わせの意味合いもあった会なので、まずは授業者の先生の授業に対する願いや思いを聞き、感じたことを伝えました。  今回はその伝えたことをベースとして『平面図形の面積(四角形と三角形の面積)』の授業を考える上で大切にしたいことをお伝えしたいと思います。 授業者の先生の願い:0から考えることに敬意をもっ

          授業検討会を経て:『平面図形の面積(四角形と三角形の面積)』の授業を考えるときに大切にしたいこと /単元を貫いて子どもの「〜したい」を思い描く

          1年生『ひき算』(『のこりはいくつ』『どれだけおおい』)のデザイン②  おはなしづくり/図の指導/子どもの言葉でつくる算数授業

           前回の記事の続きとなります。前回の『のこりはいくつ』の授業については、こちらをご覧ください。↓  『どれだけおおい』の単元では「求差」と「異種のものの数量の減法」を扱います。短い単元なので、「この2つの何が違うのか」と「求残との違い」を子どもたちが意識できるような授業にしたいと考えていました。  それでは、紹介していきます。 ⓪単元のデザイン:求残と求差の違いを焦点化 教育出版の教科書では以下のような問題の順番になっています。  問題文の答えの単位に注目すると、どん

          1年生『ひき算』(『のこりはいくつ』『どれだけおおい』)のデザイン②  おはなしづくり/図の指導/子どもの言葉でつくる算数授業

          授業協力への準備『平面図形の面積(四角形と三角形の面積)』:教材研究編

           今年度も他校の研究授業の授業協力を引き受けることになりました。  毎年、どこかで授業協力をさせていただく機会をもらえることがとてもありがたいですし、授業協力する授業づくりに参加することによって自分自身も学びを深めていきたいと思っています。  授業協力する授業のうち、1つが5年生『四角形と三角形の面積』の単元だと聞きました。  『四角形と三角形の面積』の単元は、研究授業にも選びやすい場所だと思います。この単元の内容、ポイントを改めて整理して、授業公開する先生のやりたいこ

          授業協力への準備『平面図形の面積(四角形と三角形の面積)』:教材研究編

          1年生『ひき算』(『のこりはいくつ』『どれだけおおい』)のデザイン  おはなしづくり/図の指導/子どもの言葉でつくる算数授業

           今回は1年生のひき算の単元『のこりはいくつ』『どれだけおおい』の単元を紹介します。主に紹介するのは、ひき算の意味を理解する単元前半が中心です。  ひき算の単元に入る頃は、おそらく1年生も入学して3ヶ月弱。きっと学習に慣れてきた頃ではないでしょうか。板書を子どもたちと一緒に作っていきたいと思ったり、ノートの指導も本格的に始めていたりするなど、子どもたちと授業をつくるために様々な取り組みをしていることと思います。  今回紹介する板書を振り返っても、この頃には子どもたちは黒板

          1年生『ひき算』(『のこりはいくつ』『どれだけおおい』)のデザイン  おはなしづくり/図の指導/子どもの言葉でつくる算数授業

          4年生『2けたの数のわり算』のデザイン②

           前回の「4年生『2けたの数のわり算』のデザインの続きです。1・2時間目でわり算ができる位を拡張していきました。その都度、子どもたちに生まれる疑問(「?」と表現)を一緒に考え、解決していきました。前回の記事はこちら↓ 3・4時間目:図から筆算へ  …「図は最終手段」と思えるように 図で考えることのメリットは、図に印をつけることで具体的になり操作がしやすく根拠をイメージしやすい点です。では、デメリットは何かというと「時間がかかること」です。算数の問題を解くときに全ての問題を図

          4年生『2けたの数のわり算』のデザイン②