《現代詩》夕立が来る前に
夕立が来る前に
早く家に着かなきゃ
昼間あんなに
日射しが強くて
肌がちりちり ちりちり
痛い程の熱を帯びてたのに
遠いあの夏の日
学校は夏休みに入ったが
嫌々ながら通っていた
プールの塩素の匂い
背中に日焼けの痛みを感じながら
ふらつきながら帰って
畳の上でうたた寝した
ふいに来る
あの金縛りを
思い出した
生き急ぐなよ
己の若さに警告を込めて
夕立が来る前に
早く家に着かなきゃ
もしかしたら
洗濯物は干しっぱなし
もしかしたら
部屋のクーラーつけっぱなし
もしかしたら
洗い物途中で水流しっぱなし
ここまで来ると
どうしようもない
ああ
夕立よ
来るなら来い
早く来い
出来れば
来ないでくれ
夕立よ
行き急ぐなよ