跳び箱指導で絶対に言う事
月・火曜は学校教育話。今回は、ちょうど今(この記事を作成した令和6年8月1日現在)オリンピックをやっているので、それに関連した話を。
小学校で跳び箱を指導していると、必ず言われる言葉があります。言い方は色々ですし、内容的には何種類かあるのですが、大雑把に言うと以下の様な感じでしょうか。
「今回は何段までいいの?」
「8段はやりますか?」
「もっと高くしてください」
「8段にしてください」
「こんな低いのは、もう跳べます」
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これ、言いたい事は1つです。
「8段を跳びたい(8段を跳ばせて!)」
因みに、8段というのは、小学校にある大きめの跳び箱セットで最も高い段数の事です。つまり、「1番高い跳び箱を跳びたい」と言ってる訳です。
もちろん私は、そんな事は絶対に認めません。安全面から言っても危ないですし、小学校の学習指導要領でも必要が認められていません。
でも、それ以前の問題があります。子供たちは、跳び箱の本質が分かっていないのです。
跳び箱の本質は、「少しでも高く跳ぶ」ではないのです。私としては、その事を子供たちに伝えたい。
だから、跳び箱の授業の最初、私は必ず言います。
「みんな、知ってますか?
跳び箱って、実は、オリンピックの種目になってるんですよ。
もちろん、こんな木の箱を使ってはいません。
分かる人はいますか?」
ここで質問すると、「もしかして…体操?」とか、「知ってる! 跳馬でしょ?」とか、答えてくれる子が(時々)います。
「オリンピックの花形種目の1つ、体操の跳馬です。
跳馬を子供向けにしたのが跳び箱なんですよ。
ところで、オリンピックの跳馬の話です。
どうやったら優勝するか知ってますか?」
この質問にも、「技の種類」などと答えてくれる子が(たまに)います。
「難しい技を美しく演じた人が優勝します。
決して、高い跳馬を跳んだから優勝する訳ではありません。
つまり、跳び箱だって同じ…って事です。
7段跳ぼうが、8段跳ぼうが、格好悪い跳び方なら意味ありません。
逆に4段でも完璧に美しく跳べば、それは最高の『跳び箱名人』です。
だから今回の跳び箱の授業…何を目指すか分かりましたね。
ぜひ、完璧で美しい技を目指して頑張ってください」
こうやって、授業の最初に跳び箱の本質を伝える訳です。
その結果、「8段を跳びたい」って気持ちを潰す事にはなりますが…まぁ、それでも、「8段を跳びたい」って思ってる子はいますけどね。