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たまには質より量を取るのも悪くはない

夜7時過ぎピンポーンとチャイムが鳴ったので玄関の扉を開ける。寒そうにしつつも配達員さんが正方形の白い箱を2つ届けてくれた。それは本日の主役であるケーキだ。前々から配送予約を頼んでいたので中身は確実にそうでだ。ようやく主役が来たのだと昂る気持ちを抑えきれないままリビングに運ぶ。席に着いてすぐさま箱についているシールを剥がした。慎重に蓋を取ると色鮮やかなケーキが箱の大きさピッタリに収納されている。数種類入っているが普段ケーキ屋さんで売っているそれより一回りか二回りほど小さい。だがこれでいいのだ。なにせクリスマスなのだから夕食はチキンや寿司があった。満腹感の中で大きいケーキを食べるのはちょっときつい。だが少量タイプであれば例えお腹いっぱいでも最低一つは胃に入ってしまうサイズなのは程よい。すぐに味をきめ抹茶、紅芋、チョコの3種類を皿に取り分けフォークで切り分ける。大きさがそれ程でもないので、一口でいけなくはないが一応クリスマスなので礼儀正しく食べようと気を引き締める。一口ケーキを口に運べばパラダイス。名の知られているデパ地下店のケーキなのでやはり味が違う。高級感が溢れる後味は滅多に感じ取れるものではない。普段僕の食事は質より量の派閥だが、たまには質を取っても良いかもしれない。派閥を容易く覆そうとするデザートに驚愕しつつも、僕はフォークの動きは一切止めなかった。


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