強制終了はHappyへの扉
『上の人』のガイダンスは、受け取った当初は喜べなかったり、むしろ試練としか思えないものもある。
例えば、もうずいぶん前の話だけど、何となく依頼されるまま続けていたあるジャンルの仕事で、「すごく面白いわけではないけど実績もできたし、条件的にも悪くないから……」と引き受け続けていたら、突然、道が閉ざされてしまったことがある。
トラブル、そしてまたトラブル……と、次々にシャッターが閉まり、8割方できあがった仕事が実を結ぶ直前にシャットダウンしてしまうのだ。
しかも、それらのトラブルはどれも、私にも依頼者にもどうにもできない内容で、文字通り行き止まり。もう、あきらめるしかなかった。
なんでー!と思ったし、理不尽さに怒ったけれど、心のどこかで「あなた、その仕事にはもはや情熱がないし、喜びも発展性も感じてないでしょう?もう、それはおしまい。そろそろ自分が本当にやりたいことをやりなさい」と言われている気もしたので、重い腰を上げて「人の言葉を伝えること」ではなく「自分の言葉で伝えること」をポツポツと始めてみた。
すると、こちらはいろんな偶然や幸運があってタタタタン♪と展開し――強制終了になった先の仕事より――無理なく楽しく、今まで続いている。
つまり、強制終了で良かったのだ。はっはっは!
私は努力して手に入れたものを手放すのが得意ではなかったし、当時は自分の言葉で伝える自信もなかったから、挑戦することから逃げていた。
でも、大学時代から「幸せの定義は人それぞれ。幸せは人の数だけあるってことを広く伝えたい」とか思っていたのだから、自発的にやればよかったんだよね。
あるアイドルから演技派俳優に転身した俳優さんが「人は過去を見て仕事を依頼してくるから、キャリアを積むとどうしても似たような仕事が多くなる。そこで新しい挑戦をしようと思ったら、自分で脚本を探して企画を売り込むぐらいのことをしないと方向転換は難しい」と語っていたが、ほんとそう。
その人は自分が本当に演じたい本を探して、作者を口説いて、企画を売り込んで、所属事務所を説き伏せて、新たなキャリアを作った。
その話をしていた時の彼は、整った顔のアイドルではなく、腕まくりして熱く語る「勤続17年目ぐらいの中間管理職」っぽく、カッコつける必要がないほど自信のある顔をしていた。
この人は自力で「魂のルート」に乗ったんだな、と思った。眩しかった。
だけどさー、彼にみたいに情熱と勇気をもって一歩を踏み出すのが怖いわけよ、人間は。
なんつってウダウダしていたら、私は「早くやると決めてきたことをやれ」と、ピシャリと厳しく指導されちゃったので、これを読んでいる皆さんはお気をつけくださいね。
『上の人』たちはその辺、ほんと容赦がない。そのまま行くと、アンハッピーな未来が待っているとなれば、躊躇なくバッサリ切ってくる。
でも、必ずHappyな方に導いてくれるから、無駄に抵抗しないほうがいい――これは数々の遠回りを重ねて、私がたどり着いた結論だ。
私が『上の人』のガイダンスを無視して失敗した話はたくさんあるんだけど、失敗話ばかりも飽きるよね?ってことで、次回は従って良かった話を書こう。
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