不思議なことが起きている―今が変わると未来も過去も変わる話

現在も公開中の『エブリシング・エブリウエア・オール・アット・ワンス』という映画をご覧になった方はいらっしゃるだろうか。

アメリカのとある街で、父親を介護しながら、潰れそうなコインランドリーを切り盛りする中華系移民の中年女性が、マルチバース(多元宇宙)からやってきた夫そっくりな別人に促されて、別の宇宙に存在する様々な自分にアクセスするようになる……という、SFアクションドラマだ。(ヒューマンコメディか?)

マルチバースがテーマの映画だけど、過去生や未来生、パラレルワールド(並行現実)の話と捉えてもよい内容で、直線的でない時間軸の中で「魂が経験するあらゆるパターンの人生が、この瞬間に同時に存在する」という概念を笑いながら理解できる。
宇宙や輪廻転生に興味がある方にはぜひお勧めしたい。

少々ネタバレになるが、私がこの映画を見て一番「そう!そう!」と膝を打ったのは、「今ここ」にいる主人公が意識や行動を変えると、別次元に存在する「別の人生を生きている彼女」のシナリオも変わってしまうこと。

宇宙における時間はリニア(直線)ではないので、自分が波動(心の状態)と意識を変えると、その前後のシナリオも変わり、未来だけでなく、過去のシナリオも変わってしまう、実は。

そんな抽象的な真理を、うま~くエンタメに仕立ててあって、この映画の製作陣はすごいなぁと心から舌を巻きました。

時間とは直線的なものではなく「今ここ」の一瞬が、
「今ここ」
次の「今ここ」
その次の「今ここ」
そのまた次の「今ここ」と、
アニメのコマのように並んでいて、「今ここ」にいる自分が選択を変えると、次のコマも別バージョンのシナリオに変わるという説は本当だ。

私も以前は「本当ですかぁ?」と斜に構えていたが、ここ2~3年、その説を信じざるを得ない体験が続き、ついに「時間はこの一瞬しかなくて、今を変えると未来も過去も変わる説」を信じるようになった。

そして、それが腑に落ちたら、いろんなことがラクになってしまって、今まで悩み続けた時間は何だったんだろうって感じ。

私の波動と意識が変わって、選ぶストーリーが変わると、当然、登場人物たちも変わるようで、私の現実に頻繁に登場していた人が消えて行ったり、「この人、最悪」と嫌っていた人が、「クセはあるけど普通な人」に変わってしまったことも……。

特に一番変わったのはうちの両親で、ここ1~2年、私は実家を訪れるたびに、一人だけ別の台本を暗記して、撮影のセットに入った俳優のような気持ちになっている。


うちの母は昔から社交的かつ面倒見がよい人で、近所の人々や親せきからは「頼りになるいいひと」と目されてきた。

ところが、家の中では娘が思い通りにならないと「あんたなんか死んでしまえばいい。あんたさえいなければ」などと口走り、私のすることなすことにいちいちケチをつけ、あれをやれこれをしろと、あらゆることに干渉してくる人だった。

そして、家の中では近所の人や親戚の悪口を言いまくり、それなのに彼女らや父からも尊敬される存在であろうと頑張りすぎてよく体調を崩し、気づくと救急車で運ばれているという……。子供の目にも、人格的にバラバラというか、信用が置けないというか、母のことを考えると溜息しか出ない感じで、私は10代の頃には完全に母から気持ちが離れてしまった。

そうはいっても、養われている子供の身ですべての支配をかいくぐることはできず、体調が悪くなるほど窮屈な日々。母はそんな自分の二面性を巧妙に隠し続けたため、私のSОSは父にも親戚にも聞き入れられず、私がいい加減いやになって「家族、やめる」と脱退宣言をするまで、彼らには「献身的なお母さんと我儘な娘」と映っていたらしい。

そして、私が両親との関わりを断った後、母の毒は伴侶に向かい、父は「俺が死んでも、絶対にお母さんと同居しようと思うな。人生が崩壊するぞ」と連絡してくるようになった。はっはっは、今ごろ分かったか!

というわけで、両親と私という「我が家族」はずいぶん前から崩壊していたのだが、日本の法制度上、両親の老い問題や実家の片づけ問題は、いずれ一人娘である私にやってくる。

そんなありがたさより迷惑な記憶の方が多い親の「お荷物」が、年をとってから襲い掛かってきたら、今度こそ本当に生きていきたくなくなっちゃうかもなー。そう感じたため、体力があるうちに手を打てることを打ち、片付けられることはなるべく片付けておこうと思って昨年、実家のある街に引っ越してきた。

そして、会うたびに腹が立つ両親へのネガティブな感情を繰り返し、繰り返し、繰り返し手放していったら…………………?

あら?あなたたち、バージョンが変わったわね⁉
という事態が起きてきた。平たく言うと「悪くないかも」という人々になってきたのだ。

過去が過去なので、私もそう簡単に彼ら(特に母)の言うことを信用しないのだが、最近は「信用に足るデータ」がたまってきて、だんだん「まあ、別バージョンの人間になったということを、信じてあげてみてもよくってよ」という気持ちになっている。

それくらい、今までと全然違うのだ。

長くなったので具体的な話は次回にするが、ここまで劇的に身近な人たちが変わると、自分の波動と意識が変わり、選択するシナリオが変わると、未来だけでなく過去のシナリオも変わるという説を信じないわけにはいかない。

これは自分という人間のキャラ設定(アイデンティティ)まで変わってしまう大きな変化だ!

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