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クリエイティブの力で沖縄を変える|チャック山下さん

「クリエイティブな仕事」と聞いて、なんとなくその仕事を想像できる人はまだ少ないんじゃないでしょうか。広告業界などを想像する方もいるかもしれませんが、実はもう少し幅が広く、「課題を見つけ、アイデアの力で解決策を探したり作る仕事」のことです。

例えば、「人手が足りない」と問題を抱えている企業があったときに、なぜ人手が足りていないのか?を問います。企業によっては「効率化が不十分」「人材が定着していない」「採用がうまくいっていない」と課題は様々です。そしてそれに対して「ITの力で効率化を図りましょう」や「社員が定着する施策を考えましょう」と課題に合った解決策を提案します。

今回お話を伺ったのは、そういったクリエイティブの力で沖縄を盛り上げていこうと考えている、チャック山下さん(以下、山下さん)です。

クリエイティブに興味がある方、地方がいかに活路を見出していくかのヒントを探している方、ぜひ読んでみてください!

↓山下さんFacebook

【経歴】
チャック山下
株式会社 D2C dot 取締役
クリエイティブサークル OOKINAWA エヴァンジェリスト
転職8回を経験。小売業、インターネット関連、独立、広告代理店など、経験した業態業種は様々。
神戸出身、現在は東京と沖縄を行き来する生活を送っている。


自由に働く

ーーー早速ですが、転職を何度も経験されていると聞きました。本当ですか?

そうですね。8回転職を経験して、現職で9社目になります。

新卒の時は大手小売業の会社に就職したんですが、その後インターネット関連の仕事に就いて、現在まで続いているという感じです。

それから29の時までずっと出身地の神戸にいたんですが、30手前になってフラッと東京に出ることにしました。

神戸の人って神戸が大好きなんですよ。だから僕もずっと神戸にいたんですけど、「これ以上神戸にいると一生神戸だろうな。とりあえずいったん東京行っとくか」と思って。

東京に来てからもいろんな方に誘っていただいたりで何度か職を変え、今の会社にいるって感じですね。


ーーーすごいですね。ちなみに、読者の大学生や若い人たち向けに世渡り術を教えてもらえますか?

これは新卒採用の面接や入社後の研修とかでも言ってるんですが、「嫌になってまで仕事をする必要はない」です。

日本は幸せな国だから、仕事はたくさんあるし、最悪仕事がなくなっても生活保護を受ければなんとかやっていける。

だから、嫌なことなんて3年どころか3日も我慢しなくていいと思っているんですよ。

で、面白そうなことをしている人がいるならノックして直接聞きに行けばいいんです。興味を持たれて嫌な人なんていないと思うし。

仕事を辞めるときに、何も言わずに辞めるとか、ケンカして退社するとか、そういう不義理さえしなければやっていけると思います。

僕も実際、前職の人と一緒に仕事することがありますし。


ーーーなるほど。義理は果たして、興味のある方向に行くってとても楽しそうですね。山下さんは「自由型サラリーマン」と名乗っていることもあるようですが、これはどういった意味ですか?

数年前から世の中の風潮的に「起業する奴がすごい」ってなっているんですよね。「起業して、やりたいこと叶えているのがすごい」みたいな。

でも、どうしたって社長よりサラリーマンの方が多い世の中だし、サラリーマンだってやりたいことはできるんだぞ!って思います。

例えば、僕が今勤めているD2C dotの沖縄オフィスの立ち上げは、沖縄という場所に関して僕が言い出しました。

もちろん僕が結果を出していたことによる信頼と、会社が進むべき方向性に対して必要性の話をして納得してもらえたからこその沖縄オフィス設立ができました。

結果を出すこと、そして会社の方向性と一致さえしていれば当時部長クラスだった僕でも新規オフィスの立ち上げを主導することさえできるんです。

「起業しなきゃやりたいことができないわけじゃない、サラリーマンでもやりたいことやれるんだ」って意味の「自由型サラリーマン」ですね。

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沖縄オフィス立ち上げ

ーーー山下さんは神戸出身ということでしたが、沖縄に興味を持ち始めたきっかけは何ですか?

実は僕の奥さんが沖縄出身でして。沖縄に初めて来たのも奥さんの実家への挨拶の時が初めてでした。

その後、東京でも沖縄出身のイベンターさんなど、様々な方にお会いするんですが、みんないい人で。

少しずつ沖縄が好きになって行きましたね。


ーーー沖縄にオフィスを立ち上げようと思ったのはなぜですか?

沖縄って「東京のローコストセンター」として扱われていることが多いんですよね。

実は前職にも沖縄オフィスがあったのですが、まさにそれで。

例えば東京本社を持つIT企業とかが賃金の安い沖縄にコールセンターを置くことがあるんです。そこで新卒の子は2年ぐらいずっと同じ仕事をさせられる。そして成長を感じられなくて辞めてしまう。そういったことがよくあるんです。

でも僕は沖縄にはすごいチャンスが眠っていると思っていて。

日本で一番子供が生まれている場所だし、今成長しているアジア圏との距離も近い。その上米軍基地の返還などで土地も増え続けている。経済成長の要因が揃っているんですよね。

しかもオフィス立ち上げ前の課題として、会社の永続的な成長を成し遂げるには、もっと多くの人材を継続的に採用し成長させていく仕組みを作る必要がありました。

沖縄にはたくさんの若者がいるんだからその分優秀な人もいるはずで、その人たちを採用できれば、とも考えていました。

そういった考えが重なり、沖縄オフィスの立ち上げを決意するに至ります。

立ち上げに関しては僕の中で条件があって、先ほど言ったような「東京のローコストセンター」にはしないこと。成長環境をきちんと整え、東京と対等な立場で仕事できるようにすることは譲らないようにしていました。


ーーーその条件での沖縄オフィスの立ち上げたって、すごく難しかったんじゃないですか?

もちろんめちゃくちゃ難しかったですよ。

何でわざわざ沖縄に?と思っている人もいたでしょうし、「なんくるないさー」を誤解して沖縄に適当な考え方の人が多いって勘違いされている部分もありました。

でも、1~2年して結果が出始めると少しずつ受け入れられるようになりましたね。

今では「沖縄オフィスがあってよかった」と言ってもらえることもありますし、沖縄オフィスありきの仕事を受けていたりもしますよ。すごく嬉しいです。

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クリエイティブ集団、OOKINAWA

ーーー山下さんはクリエイティブサークルのOOKINAWA(オオキナワ)の立ち上げも携わったとお聞きしていますが、これはどういった経緯で設立したんですか?

以前会社で、県の事業に携わるためにコンペに出たことがあるんです。そのときに県や市町村を巻き込んだコンソーシアム(共同事業体)の存在を知りました。昨今全国的にも問題になったりしていますよね。

特に沖縄は、米軍基地などの関係で国からの補助も多く、予算が潤沢で。その予算を狙っている事業者も多いらしいんです。

そうやって団体などに加盟するだけで仕事やお金を得る事業者が増えると、本当にいいものを作っているクリエイターが育ちません。

だから、県への忖度などはなしで、クリエイティブの力で沖縄を良くしていこうと考える3社が集まって立ち上げたのが、OOKINAWAです。

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ーーーなるほど。実際にはどんなことをされているんですか?

例えば、アイデアソンの開催ですね。いろんな人が集まって丸一日アイデアを出し合って、実現できる形まで話を詰めていきます。4月には、やえやまファームさんが実際に抱えている課題をもとに開催しました。

それから、まだ立ち上げて1年なのでこれからやっていこうと思っていることも多くて。

もうすぐやろうとしているのは、問題を抱えている人を呼んできて、その課題をヒアリングし、解決策を出していくっていう流れを、オンラインで配信してみようかなと思っています。

とにかくどんなコンテンツでも大事にしたいのは、参加した人がインプットとアウトプットを繰り返しやり続ける、やり切れるようにすることです。

オンラインになったことでいろんなセミナーに参加しやすくなりましたが、やっぱり聞いているだけじゃ意味がなくて、ちゃんとアウトプットすることで知識が身に付くんですよね。

このインプットとアウトプットの繰り返しが楽しいと感じてもらえたら、クリエイティブっておもしろいと思ってもらえるんじゃないか、それが沖縄のクリエイティブ事業を盛り上げることにつながるんじゃないかと思っています。

それから、こういったことは必ずビジネスに繋げる、稼ぐということを念頭において実施しています。

やっぱり儲からないと続かないですし、例え僕が沖縄への熱だけで続けられたとしても、沖縄の担当が変わった瞬間にそれは終わってしまうじゃないですか。だから、お金を稼いでいくことは大切にしていきたいです。

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山下さんから見える沖縄

ーーー山下さんは、沖縄のどんなところが好きですか?

まず、家族や親戚を大事にするところですね。

奥さんの家族の集まりなどにも参加するんですが、毎年みんなちゃんと帰ってくるし、何回忌みたいなのもすごく大事にしていて。

しかもみんな、ちゃんと親戚と喋ってから帰っていくんですよね。それが本当にすごいと思います。少なくとも僕の親戚ではそんな壮大に集まったりしないので。

それから、沖縄の人がみんな沖縄のことを好きなところですね。

神戸の人もみんな神戸が好きなんですが、沖縄とはまた少し違うんです。

神戸の人は「神戸のために、神戸を良くしたい」って言う人はあんまりいなくて。でも沖縄には「沖縄を良くしよう、盛り上げていこう」って言いながら仕事したり活動している人がいて、それも本当に素敵だなと思います。

この2つは、外から来たからこそ感じるものかもしれないですね。


ーーー私もすごく納得する2つです。では、山下さんが思う「これから沖縄が盛り上がっていくために必要なもの」ってなんだと思いますか?

教育とビジネスチャンスに気付く力です。

教育っていうのは国数英ではなく、ビジネスやお金の勉強のことですね。

時々、大学や専門学校に行って講義する機会があるのですが、そこで先生たちがビジネスやお金の稼ぎ方をほとんど知らないことに気付きます。

例えばIT学校の先生はプログラムの書き方はわかるけど、どんなプログラムがビジネスでどんな価値を生み出し、お金になるかわからない。だから教えられないんですよね。

ただ、いくら大学生や専門学生にお金やクリエイティブの大切さを話しても、みんなほとんど進路を決めてしまっているので、あまり意味がなくて。

だから、小中学生にビジネスやお金の教育をする必要があるんじゃないかと思います。

特にこれは、子どもが多い沖縄だからこそ、さらにチャンスにつながると思います。


ーーーなるほど。「ひとり親が多い」とネガティブに捉えられがちですが、確かに子どもが多いことはチャンスに変えていけますよね。

そう思います。

ひとり親が多いことが問題なら、ひとり親が集まりやすいビジネスを立ち上げてそのオフィスに託児所を設ければいい。

ネガティブなものをどうポジティブに捉えていくかも大切だと思います。


ーーー確かにそうですね。ビジネスチャンスについても詳しく教えていただけますか?

例えば、宮崎の「太陽のタマゴ」ってマンゴーはすごく有名ですよね?

でも、沖縄のマンゴーも負けず劣らず美味しいじゃないですか。でも宮崎ほどうまくブランディングできていない。

そんな風に、ブランド力に気付けていないこととか、ちゃんとブランディングできていないものってたくさんあると思います。

そして、よくわからない人がそれをうまく利用して横取りしていくんです。

だから沖縄のブランドについて知って、それを発信していくことの大切さに気付くことが必要だと思いますね。


ーーー最後に、山下さん自身の今後の展望などをお聞かせください。

少し遠い話になってしまうんですけど、沖縄に学校を作りたいなと思っています。

さっき話した、お金やビジネスを学べる場所を作っていきたいなって。

対象は、小学生以上にしたいです。とにかく早いうちから触れてもらえた方が絶対いいので。

そこで、毎週企業や世の中の課題を持ってきて、企画して。実際にお金を稼いで、それをどう運用していくかも考えたりして。とにかく実践的にやりたいと思っています。

大人もマネジメント研修の一環として参加できるようになると、よりおもしろいかもなと考えています。

そうやって沖縄の子達が、ビジネスに早いうちから触れられる場を作りたいです。

ーーーありがとうございました。社会経験を積むまで県外で過ごしてきた山下さんだからこその話を聞けて、とても面白かったです。クリエイティブが今後どう沖縄を盛り上げていくのか、ワクワクしながら見ていきたいと思います。

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おわりに

最後の「山下さんから見える沖縄」の章で「ひとり親が多いことが問題にあげられがちだが、ポジティブに捉えることもできる」と書きました。

沖縄には、他にも子どもの貧困や観光公害など、たくさんの問題があります。私も移住して、ここは明るいニュースばかりの土地ではないと気付きました。

根本的な解決がすぐには難しいものが多いです。ただ、「それの何に困っているんだろう?」を突き詰めて考えると、過ごしやすい世の中を作ることは可能です。

文中にでたひとり親の例であれば、「仕事と育児の両立が難しい」ことへの対策になっています。

問題は解決できなくても、そこから生まれてくる課題には対処できる。それをボランティアではなくお金を稼ぎながら続けていく。

そのための一つのヒントになるのが、クリエイティブの考え方ではないかと私は思います。

世の中の多くの仕事が「課題解決」につながります。あとは考え方次第。

今回のnoteが課題解決の考え方やクリエイティブの可能性を感じるものになっていればと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

with OKINAWAは、沖縄のために活動されている方や沖縄で活躍されている方へのインタビューを通して、沖縄の学生たちがもっと沖縄を好きになってもらえるよう活動しています。

ライター:さむ


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キーワード:県外出身・社会人


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