フランク永井 - 君恋し - 1961
最近の歌ではなく、昭和の香りたっぷりなムード歌謡。
いやさ、この頃の日本の歌って、歌詞が素敵なんですよ。
言葉が美しいの。とにかく表現が実に豊かで、想いや情景を表すさまが、日本語特有の美学があって…実に味わい深く奥ゆかしい。繊細かつ麗しい。
今の日本の歌にはない、表現の幽玄な世界なんです。
確かに古いですけどね。
「君恋し」1961
1961年ですけど、実は大正時代の歌のカバー。なので、この歌詞、文学的な言い回しなんですね、そこがたまりません。
もう滅びてしまった、純文学的な表現というか~言葉でもありますから。
そして、オリジナルの音源が聞けるのはありがたいというか、とても幸せなこと。動画でupしてくれる方に感謝ですね。
二村定一「君恋し」1922 時雨音羽作詞・佐々紅華作曲
フランク永井さんとはまた違った魅力というか、オリジナリティならではの良さがありますね。大正浪漫の香りがする。
そして、やはり上品なんですよね~当時の言葉って。日本には、和歌や短歌や俳句の文化がありますから、比喩や短い文の中にすべてを込めるのが得意で…ストレートな物言いは下品だから、しないっていう文化と国民性がある。
想いを季語などに例えて、言葉の奥に隠すっていうかね。
最近の歌にもそれは残っているけれども、ほとんどと言っていいほど話し言葉が主流になりました。手紙や恋文文化が廃れて失われたせいかもだけど、言葉が貧しくなったというのかなあ…和製英語が増えただけでなく、単純な解りやすい語句の繰り返しばかりでつまんないですな。
・・・とオバサンは思ったりする。
美しい言葉、古式ゆかしい大和言葉で綴られる歌は、過去の歌に求めるしかないのかもですね。
あ、そういえば椎名林檎ちゃんがいたか・・・彼女も好きですよ。そのうちそのうちと思いつつ、まだ出していないなあ。
で、フランク永井さん。
この頃って、ディック・ミネさんとか、マイク真木さんとか
ジェリー藤尾さんとか…外人なの?ハーフなの? どっちなの??っていう…外国かぶれな芸名が多かったですよねっっ
ジャズ系の人が、とくにその手のネーミングにしているようでしたが。
フランク永井さんももち芸名です。フランク・シナトラから取ったのかなあ?? もともとジャズ系ということですが。
さて、今はもう閉店してなくなってしまったけれど、有楽町そごうのテーマソング。
「有楽町で逢いましょう」1957
なんてったってウッシッシ(死語) フランクさんと言えばこの歌のイメージです。ご当地ソングではなくて、こちらは企業イメージソング。
ちなみに有楽町は千代田区で、銀座は中央区なので、有楽町vs銀座という構図がいつもあるのでした(地方の人は知らないでしょうが、有楽町は銀座からハブられているのですw)。
「東京ナイトクラブ」1959
松尾和子さんとのデュエット。松尾さんと言えばマヒナスターズ、マヒナスターズと言えば「誰よりも君を愛す」
松尾和子&マヒナスターズ「誰よりも君を愛す」1959
「おまえに」1977
「妻を恋うる唄」1965
低音ボイスの魅力。なんていうのかな、今の歌と違って、抑揚の少ない単調で語り口調なメロディラインの歌が、この頃は多いのですけど…だからこそ下手したら念仏になってしまうわけですよ。
声だけで…声のトーンと響きだけで、歌を伝えることができる良さ。それが当時の歌い手さんのすごさ。歌を物語として伝えられる。この表現力の豊かさ、素晴らしさ。
だから、自殺未遂をされて、命は助かったものの、歌手生命が断たれてしまった事実は悲劇としかいいようがなくて、残念なことでしたね。まあ、そこに至った理由が理由なので、アレですけど…ごにょごにょ。
当時の歌番組って必ず曲紹介があったわけですが、当時はうざかったなあww 曲の冒頭にかかっちゃったりして。
あれって、弁士がトーキー時代に映画の解説をしていた名残なのか、エド・サリバンショーとか、海外の音楽番組の真似からなのか…今となると、玉置宏さんの語りも懐かしいし味があると思うけど。時代を感じさせるという意味で、ハイ。
「Woman 」1982
この歌の作詞作曲は何と山下達郎さん!
晩年亡くなる前の少し前の歌ですが、こういうのもいいですね。なんかいい味出てるし…
他blogに書いたものを、訂正・加筆・リンク修正の上、こちらに再度マガジンとしてまとめてUPしています。
「My Favorites〜音楽のある風景」
2021/03/14 掲載記事より転載
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