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Case Study -No,27「鬼子」
【スピリチュアル・カルテNo.27】 F・Tさんのケース
科学も医学も、日進月歩で技術革新が起きている。
まだまだ解明できていないこと、不可能なことも多いけれど。
それでも、オカルト的現象や迷信を、
「神の奇跡」だの「天罰」だの「悪魔や魔女のしわざ」のせいにし、
錬金術に頼ったり、なんでもかんでも血を抜いちゃったり、
スケープゴートを作り出す集団ヒステリーを容認していた時代よりは、
天と地ほどの差があるといえるかも知れない。
ドラマ化されて好評だったコミック「JIN-仁」は、作者が、
江戸時代の遊女たちの多くが梅毒(淋病)で命を落とした事実を知り、
今の時代の医学があったなら、彼女たちを助けられたものを・・・
と思った気持ちから着想を得て、生まれた作品だそうだ。
確かにそう。
天然痘もそうだし、肺病(結核)も、ハンセン氏病*も。
白血病やエイズの治療法だって・・・
もう少し早ければ・・・って、思う人は多い。
病気と医学はいつも追いかけっこだ。
さて、「病気」とは違うけれども、
今の私たちの日常では、
周知された「症状」や個人の「特徴」「特性」といったもの、
その代表的なもので精神疾患や心理的外傷など・・・は、
今でこそ、そういう症状、問題もあるのだ、と認知されているけど、
何も最近になって派生したというわけでなく、
過去の時代からも存在していたもので、
(もちろん、現在社会の構図によって生まれたものもあるが)
それを現す「言葉」がないばかりに、
明らかに、人々の無理解(無知)と偏見と差別の対象にされていた。
(※セクシャルハラスメントやパワーハラスメントも、
それを示す言葉が生まれたからこそ、その行為が、
人が人に対して行う、赦されざる罪だと
広く認知されるに至った経緯がある。
月経前症候群や片付けられない症候群もそう)
肉体的なものでいえば、
五体や四肢の障害や麻痺、遺伝的疾患、
その他、うつ病、PTSD、ダウン症や自閉症などなど。
精神医学や心理学という分野が生まれる以前、
狂気や愚鈍、異常という、単純な言葉でひとくくりにされ、
地域社会から隔離・隔絶されて、
家族からも見捨てられてしまった人がどれほどいたことか。
(*とはいうものの、
治療法や病気そのもののことが解明されたといっても、
世間に長く息づいた偏見というのは、なかなか取れるものではない。
例えば、
ハンセン氏病への偏見と差別は残念ながら、未だにあって、
正しい知識が広まらないのが事実。)
数年前に、当方にいらしてくださって以来、
Uさんがセッションを受けるのは久しぶりのこと。
(何かあったときとか、年に数えるほど、なので)
「どうして、
『自分はどうせ人に理解してもらえないのだ』 という思いや、
仲良くなったところで、突き放されて一人ぼっちになってしまう恐怖、
など、必要以上の疎外感や孤独感を覚えてしまうのか、
他人との関係において、近寄りすぎず、すぐ立ち去れる距離を置き、
自分を傷つけないよう、ガードを堅くしてしまうのか・・・」
彼女の中で、そうした思いが表面化して、
しんどくなってしまい、身動きが取れなくなっていたとのこと。
これは、一方的な情報のリーディングより、
本人によりいっそう原因を自覚してもらえる、
過去生退行のほうがいいかな、と・・・
ヒプノセラピーで、記憶の糸をたどることにしたのでした。
時間を遡り、
今抱えている「想い」を抱くことになった原因がある場所へと。
時代は、おおまかだけれど近世に近い中世。
場所は西洋としか。
そのあたり詳しく辿れないのは、
当時の彼女…の知性に難があることも理由のよう。
その人生での彼女の性別は男性。
彼女がまず見たのは
何処か、作業場のようなところで、
親方のような存在の人に怒られながら、複数の他人・・・
大人の中に混じって、働いている少し大きな子供、としての自分。
家族はいず、家から通っているわけでもなく、
そこに住み込みながら、仕事をしているようだった。
とはいうものの、そこは「仕事場」というのではないようで、
彼女いわく、「まるで、職業訓練所のようなとこ」とのこと。
(中世の西欧に、そのようなとこがあったとは知る由もないが)
その時代の彼女・・・というか、その彼は、
「職業訓練所」に、自ら望んできたわけではないようだった。
むしろ、そこで働くのはいやいやで、
他にいくところがないから、渋々いる、という状況。
彼をその場所に連れてきたのは、彼の母親で、
ここに連れてくるほかには、彼に生きる場所はない・・・
というような意図で、
母は、息子を「捨て」に来たのだ。
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