噂に聞く出産って実際どうなの?を実体験した日
ちゃんと書くのは久しぶりになってしまいましたが……産後入院を経て我が家に帰ってきてから1週間。バタバタしつつもなんとかやっております。
初めての出産・産後入院・帰宅後の日々とここまで駆け抜けてきて、それぞれのフェーズで思うことがありすぎるので少しずつ言葉にしていきたいのですが……今回はまず、出産の振り返りを。
「痛かったけど、不思議と忘れちゃうんだよね」と誰もが言い、そんなわけなくない!?と謎に包まれていた出産。その実態についに迫ることができました。
結論、痛いは痛いし、しかもフェーズごとに複数種類の痛みがあって。その言語化が全然されてないじゃない!!誰かもっと細かく教えといてよ!!と思ったので個人差はあると思いますが、私なりの感想を綴っておきますね。
前提として私は計画の無痛分娩を希望していましたが希望叶わず、普通分娩に。絶望するかと思いきや深呼吸と声出しでなんとか乗り切ることができ、結果的に「今回の私の場合は」普通分娩で産むことができてよかったかなあ……と思ってます。
普通か無痛か最後の最後までうじうじ悩んでましたが、きっとどっちもアリで。どっちがよかったのかは最後の最後までわからないし、ある意味賭けなのかもしれません。でも自分が選んだ方が正解になると思って、その日が来るのを待つしかないのかなと。そんな私の「その日」を振り返ります。
ジェットコースターで落ちる前の心の準備と最後の覚悟
いろいろ悩んだ末に計画の無痛分娩を希望することにして、10/14から入院して10/15の出産を目指すかんじかなーなんて思ってたのですが。
結果的に10/11の深夜3時に破水、すぐに病院に駆け込んで。連休初日だったので、無痛対応してもらえないことを確信してひそかに覚悟しつつ。痛みはまだ一切なく、余裕な通常モードで旦那とも病院の方々とも話をしてました。
まだ本陣痛がこないということで旦那は一旦帰宅。朝を迎えて朝食を食べつつ、「赤ちゃんが少し元気がないかもしれないので、念のためエコーで確認しましょう。点滴も打ちましょう。」ということになり。陣痛室でエコーの機械をつけられ、点滴を腕に刺されながらひたすら横になりました。
「もう少し時間かかるかもしれないからお昼ごはん食べたら旦那さんに来てもらって、午後はおやつでも一緒に食べたら?」と助産師さんに提案いただき。
旦那に「リビングにある鳩サブレー持ってきて!」と連絡してのんびり待とうと思っていたら……徐々に生理痛のような痛みの強さは増して、頻度も増えていって。
少し前まで笑顔を見せながら話していた余裕はどこへやら、真顔でしか助産師さんと話せなくなっていました。
「もう分娩室に移動しちゃいましょうか。旦那さんも昼過ぎと言わずに、すぐ来てもらって大丈夫ですよ。」
どうやらお昼ごはんもおやつも食べることなく、このまま出産を迎えることになるらしい……
その少し前に、同じ部屋だった方が先に分娩室に向かっていて。「いたいーーーーーーー!!!!!!!」ととんでもない絶叫が聞こえたことが、頭によぎりました。
まるでジェットコースターで前に乗っていた人が先に落ちていったときのような、恐怖心。私は乗り切れるのだろうか……と不安になりながらも、増していく痛みでそれどころではなくなり、ヨロヨロしながら分娩室に向かうことに。
心の準備が追いつかないほどの状況になったら、あとはもう覚悟を決めるだけ。私はジェットコースターに乗り込み、シートベルトをあらためてしっかりと締める気持ちで本番の舞台へ向かいました。
痛みの中でも求められる「伝えるための言葉選び」
写真や映像でしか見たことのなかった分娩台にいよいよ上がり、生理痛の超痛いバージョンのような痛みに耐えきれなくなってきた私は仰向けになることもままならなくて。左に向いてうずくまる形で、唯一痛みを和らげる方法「深呼吸をする」で格闘しました。
「いいよー上手だよー!」「こんなスピードで進むなんて信じられない!奇跡だよ!」
明らかにシゴデキなオーラ漂う助産師さんがひたすら褒めてモチベーションを高めてくれて。どこまでリップサービスかわからないよな……と謎の冷静さも持ち合わせながら、言葉の力ってすごいなあと感心しつつ。
私もそれに答えるように、「痛みが強くなってきました」「お腹からお尻の方に痛みが移動してきました」と、変わりゆく状況を必死に言葉にし続けました。
そうこうしてるうちに旦那が到着し、助産師さんのレクチャーを受けながら腰のあたりをマッサージしたり、うちわで仰いだり、飲み物をとってくれたりして。これか、たまひよで散々読んだ光景は……!としみじみ。
このときには耐えられる程度に痛みがやわらぐ瞬間と、耐えられないレベルに痛みが増す瞬間の繰り返し。痛みのレベルによって旦那に求める対応も違ったので「(マッサージ)今はいらない!ピークになったらして!」「うちわはもういらない!」と扱いが雑になりつつも、的確な指示を心がけました。察してもらえないって、大変だ……初体験の痛みの中で、こんなに状況を伝えることが難しいとは。
いよいよ「耐えられないレベルの痛み」が本格的になってきて、生理痛的なものから「便秘でいきむときの超絶痛いバージョン」に変わっていき。力の入れ具合も、便秘と格闘するときと同じような形でいいと言われて意外に思いつつ、少しずつコツをつかんでいきました。
痛みの波はじわじわやってきて、ピークを予測できるようになっていたので「ああ……来そう……」という予告からの「痛い痛いいたいーーーーーー!!!!!!」という絶叫の繰り返し。
さっき陣痛室で聞こえてきた声はこれだったのか……と数時間前の答え合わせをしつつ。自分でも驚くほど、喉が枯れるまで絶叫したり唸ったりしていました。
今思えば痛いから絶叫したというよりかは、「痛さを少しでも緩和するために絶叫した」という感覚かもしれません。声に出して発散すると少し痛みが紛れる気がして、みんな身を守るために思わず叫んじゃうんだろうなあ……と。ジェットコースターの怖さを紛らわすために大声を出すのと同じだな、と絶叫の秘密を暴けたような気がしました。
感想を聞かれて口にしたのはシンプルな「感動してる」の一言
何度かいきむのを繰り返すうちに、いよいよラストスパートに入って。それまで助産師さんだけだったところに先生が登場。「もう出てきますよー」という予告と共に、取り上げるためのシートが準備されて。
もうすぐお腹の中の子に会える!という喜びではなく「ああ……あと何回いきめばいいんだろう……」と、痛みから解放されたい気持ちでいっぱいな自分にすいませんと思いつつ。
もうこれで最後だ!と力を振り絞った瞬間、「おぎゃあ」と赤ちゃんの泣き声が聞こえたときにはなんとも不思議な気持ちに包まれました。
ドラマでよくあるシーンではありつつも、それまで静かだった部屋にいきなり泣き声が響き渡るというのはなんとも神秘的で……
夫に「どんな気持ち?」と感想を求められたときには「なんか……感動してる」と、理屈抜きに涙を浮かべながらそう言っていました。
一生に一度になるかもしれない奇跡的な体験のわりに、なんて安易な言葉選びなんだとも思いますが。何周もして、それしか言葉が出てこなくて。他の感情は、涙の中に全て詰め込まれていたのかなあと……
出産の痛みは産む瞬間だけじゃない
「鼻からスイカ」とか「交通事故」とか、出産の痛みを表現する言葉はいくつかあるのにその後の処置の痛みが表現されていないのはなぜなのだろう?
そう不思議に思うほど、子どもが出てきたあとの裂けた股を縫われる痛みが地味に辛かったです。この辛さは絶対もっと世の中で取り上げられるべき……!
産む瞬間とは違って、夫が外に一旦出させられてから受ける処置なのもまた悔しくて。産んだ後にこんな別の種類の痛みがあるってことを、あなたが知ることがないなんて!こっちは赤ちゃんの可愛さと向き合う以前に、自分の痛みとまだ向き合ってるんですけど!!!と妙に夫に当たりたくもなりました……
生理痛の痛さ、便秘でいきむときの痛さに加えて待っている第3の痛み。それまでの痛さとは違ってシンプルな傷のチクチクとしたようなしみるようなもので……これを乗り越えたことはちゃんと褒めてほしいなと!この事実が埋もれてしまわないように、書き残しておきたいと思います。
娘は母乳を私はミックスサンドを
出産を終えて、2時間横になって安静にしてくださいとのことでゆっくりできるかと思いきや……「おっぱいあげてみます?」と助産師さんから提案が。
「えっ、もう!?」と戸惑いつつ、実は母乳はすぐ出るわけではなく、2〜3日かかるという事実を初めて知り。出るようになるには地道に吸わせるしかないとのことで、助産師さんに言われるがままに早速吸わせてみると……まあびっくりするほどに吸っている!ちゅぱちゅぱと無心で吸っている!!!
産まれたてなのにすごい生命力だなあと、娘というよりも未知の生命体の力強さに感心しつつ。「二人とも上手ねえ!!!!これなら何も心配ないわ!!!!」とここでもベタ褒めしてくれるシゴデキ助産師さんの言葉に、ついつい嬉しくなるのでした。
私も娘に負けず劣らず、昼ごはん抜きでお腹がぺこぺこだったので夫に買ってきてもらったコンビニ飯を食べて。ついさっき出産を終えた分娩室で食べるというなんともシュールな図でしたが……あのローソンのミックスサンドとサーモンのおにぎりの味は、きっとずっと忘れないんだろうなあと。
「言語化」で辿る道のりは変わる
結果、約5時間という分娩時間で爆速の安産認定をいただいた私。「次はこの半分の時間になるのでもっと早いですよ!」と、産後すぐにコメントする助産師さんに圧倒されつつ(今それ言いますか!?)無痛分娩も、個室への入院も叶わなかったけど……結果オーライだったなと娘に感謝できました。節約できたお金は、自分たちのご褒美に使おうね。。
今回初めての出産を経験して学んだのは、どれだけソワソワドキドキしても、予習したり計画したりしようとしても、「その日」の「その瞬間」になるまでどうなるかわからないのが出産だということ。
そんな中でできることは、自分の状況を言葉にすることをあきらめないこと。「自分は何が不安なの?何で苦しいの?どんな痛みと戦ってるの?」をまずは自分の中で、ハッキリさせること。それを今度は、病院の方々や夫にできる限り正確に伝えること。
これを丁寧にできれば、待っている結果は同じだとしても辿る道のりは少しだけ楽になるかもしれない。言語化することの大切さを、実感する時間になりました。
この「言語化」が、この後の産後入院で大きな大きな課題になるとは……このときの私はまだ知る由もないのでした。
出産よりも大変かも!?と思うほど、予想外にスパルタで驚いた産後入院の話はまた次回。
長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。
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