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「はじめての短歌」で短歌は生きる希望をくれるのかもと思った
短歌に興味を持ち始めたのは、いつだろう。
いろいろ自分なりにルーツを辿ってみて思い出したのは、もう亡くなった父方の祖母のこと。短歌ではないけれど俳句の教室に通っていて、寝たきりになっても俳句だけは詠み続けていたなーと……
そういう血筋的なものもあるのかもしれませんが、明確に意識し始めたのはつい最近。
20代の恋愛迷走期を経て、30代の今こそ恋のモヤモヤを成仏できるようなコンテンツを発信してみたいなー!と思い立ち。
企画講座の友人と恋のモヤモヤを語らう「恋の成仏ラジオ」に始まり、そこから「恋の成仏短歌」という企画に派生していきました。
恋の成仏短歌について詳しくは、こちらから
その後も、恋の成仏短歌を始めるきっかけとなった俵万智さんの本を読んだりはしたものの、ちゃんと勉強はしたことがなくて。
こんな独学でいいのだろうか……もっと基礎的なことを学べないだろうか……と思っていたところ知り合いの方におすすめいただき、手に取ったのがこちらでした。
穂村弘さんの「はじめての短歌」。シンプルな表紙から、短歌を詠むためのノウハウが詰まったハウツー本なのかな?と勝手に想像していましたが。
全然違いました。
いや、入門編として読むのにぴったりな本であることは間違いないんです。でも、テクニック的なこと以上に、そもそも短歌の世界独自の「視点」について書かれていて……もうこれがなんとも本質的というか。目から鱗で。思わぬ角度から殴られたような衝撃がありました。
穂村さんが一貫しておっしゃってるのは、日頃私たちが生きている社会で評価される「ビジネス文書的な視点」と、短歌に求められる視点は全く違うということ。
普通に意味が通じて、「そうだよね」とみんなに共感される内容は短歌としてはイマイチ。ビジネス文書としてはとっても重要。
逆に、普段なら「ちょっとやばい人」「怪しい人」「残念な人」「物足りない人」と捉えられかねないような表現が、短歌の世界では逆転してとっっってもいい味になったりする。普段ネガティブなことが、妙にエモくてポジティブなものに変換されてしまう。
私が短歌に魅力を感じる理由はこれかもしれない、と思いました。
恋の成仏短歌で詠んでいる内容は、20代に恋愛で迷走していた頃に感じた、誰にも言うほどでもない惨めな思い出をもとにしていることが多くて。
誰かと付き合うまでの物語や結婚するまでの物語に繋がっていればまだ、社会的な価値もあると思うのですが……付き合うにさえ至らず「あれはなんだったのか?」と思うような一晩だけの記憶とかも、世の中には存在するわけで。
そういうものこそ、妙に心に残り続けていたりもして。
そんな成仏できない、社会的価値を持たないことたちを短歌なら成仏してくれるはず!と無意識に希望を抱いて、私は詠み続けているのかもしれません。
恋愛に限らず、社会的に評価されない残念な思い出や経験って誰にでもあるのでは……と思います。
そんな自分でもいいじゃん。短歌にしちゃえばいいじゃん。惨めな過去もまるっと受け止めた上で、前向きに生きる希望をくれるような本でした。
短歌に興味がある人にもない人にも、ぜひおまもりのようにカバンに忍ばせてほしい1冊です。