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妊娠・出産を経てコーヒー愛に気づいた9ヶ月の記録
去年2月に妊娠がわかって、10月に娘を出産した私。何もかもが初めてのことで、9ヶ月間にいろんな発見があったけれど……気づいたことが一つある。
私はどうやら、自分が思っていた以上にコーヒーが好きらしい。
真のコーヒー好きの方からしたら「好き」なんて言うのはおこがましいレベルなのは承知している。
家では平気でペットボトルのコーヒーを飲むし、飲んでいるうちの8割はカフェラテだし。コーヒーそのものでなく「コーヒーを飲む時間」も含んで好き……と言ってる気もするし。豆の種類なんて全く詳しくない。
それでも突如カフェインを控えなければいけない身体になり、今までどおりにコーヒーが飲めないことは死活問題だと気づいてしまったのだ。
そこで私がどんな葛藤をしてきて、何を学び、どんなふうにコーヒー愛に気づいていったのかを振り返りたいと思う。
コーヒーを飲みたい妊婦さんや、コーヒーが好きだけどカフェインを控えたい!という方の参考に少しでもなれば嬉しい。(と言いつつ個人のゆるい感想レベルのため、ご了承ください)
長いので興味があるところだけでも、ぜひ。
カフェインは全く摂取しちゃいけないの?
妊娠がわかって、まず頭に思い浮かんだのは「私、明日から何飲めばいいの?」という疑問。いやいや、もっと心配することあるだろ!という気もするが、仕事のお供にお茶やらカフェラテやらを毎日お供にしている私からすれば大問題。
カフェインを控えるということは、ひとまずお茶は「カフェインゼロ」と大きく書かれてる麦茶なら大丈夫そうだ。カフェラテはどうだ?確か会社のカフェもコンビニも、デカフェはなかったはず……
でもそもそもカフェインって完全にNGなんだっけ?なんとなく妊娠したら避けた方が無難なイメージだけど、よくわからない。
ネットやら本やらであれこれ見ると、どれも微妙に言っていることは違うけれど「過剰に摂取しなければOK」という点では共通している。
中にはコーヒーなら一日3〜4杯OKという情報も。それっていつもどおり飲んでても問題ないレベルでは!?
それでも、量を気にするのが逆に面倒に感じてしまった私は、この日を境になるべく摂取しないことに決めて。カフェインを避ける日々が始まった。
カフェインは何に入っているの?
コーヒーやお茶にカフェインが入ってるのはわかる。でも、他にも入ってるものってあるのだろうか?
産婦人科や妊婦向けマッサージで「チョコレートにも入ってるので気をつけてくださいね」とサラッと言われたことが、私には衝撃だった。
そうか……飲み物だけじゃなくチョコレートもなのか……
仕事の合間にちょこっと食べたり、寝る前のアイスに何気なく入っていたり、チョコレートなんて毎日ガンガン摂取してる。その全てにカフェインが入ってるなんて……!
会社でもらうちょっとしたお菓子もチョコ味やコーヒー・紅茶味を避け気味になったのは、今思うと少し過剰だけど。
それくらいカフェインという存在は身近にいるものなんだ、というのはよくわかった。
コーヒーと紅茶ならどちらを選ぶべきなの?
妊娠がわかってから、初めて夫と両親とごはんを食べに行ったときのこと。食後にコーヒーと紅茶どちらにしますか?と聞かれて。
カフェイン恐怖症の私はすかさずノンカフェインの飲み物があるか?と質問。でも、残念ながらなく。コースでついてくるのだから、何も頼まないのも申し訳ないし……と悩みながらふと気になったのが
コーヒーと紅茶に、カフェイン量の違いはあるの?
ということ。ざっくり調べると、紅茶はコーヒーの半分程度という情報を発見。全く摂取しちゃいけないわけじゃないし……と、結局この日は割り切って紅茶を注文した。
この日以来、外出先でどうしてもノンカフェインの飲み物がなく、コーヒーor紅茶の二択を迫られた場合は紅茶を選ぶようになった。
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午後のコーヒーの代替品はあるの?
会社に出社するときは、昼食を食堂で食べてからカフェに立ち寄り、カフェラテを買ってから午後の業務に臨むのが日課だった私。
カフェラテを避けるとなると、代わりに何を飲めばいいのか?これも地味に悩みの種だった。
午後はどうしても眠くなるし、スイッチを入れなおさないと夜まで持たない。そんな気合いが入りつつもおいしい飲み物、他に何があるのだろう。
飲むヨーグルト、ジュース、甘い炭酸水などコンビニを物色してはオーディションしたが、結局ただの炭酸水が優勝という結論に落ち着いた。
これについての詳しい話は、こちらに。
デカフェ・カフェインレス・ノンカフェインの違いって?
カフェインをなるべく避けよう。そう心に誓ったものの、やっぱりコーヒーは飲みたい。平日はお茶と炭酸水で乗り切るとして、休日くらいデカフェコーヒーを飲みたい。
ひとまずデカフェコーヒーが飲める場所を検索してみるか……あれ?そもそも「デカフェ」でいいんだっけ?カフェインレスとかノンカフェインとか似たような言葉がいろいろあるけど、どう違うの?
詳細はこちらの鈴木コーヒーさんやデリッシュキッチンさんが解説してくださってるので、ぜひ見てみてほしい。
ノンカフェインはその名のとおり、カフェインが全く含まれないもの。これはわかりやすい。
ややこしいのはデカフェとカフェインレス。カフェインレスは、カフェインの含有率が(もともと)少ないもの。デカフェは本来カフェインを含んでるものからカフェインを取り除いたもの。どちらも完全に0ではなく、若干は含まれてる可能性がある……とのこと。
ひとまず、本来カフェインを含むコーヒーからカフェインを除いた「デカフェコーヒー」を探そうとしていたのは、どうやら間違いではないらしい。
少しは含まれてるかも、という前提をちゃんと理解しておくことが大事ということね。なるほど。
ここから私はデカフェコーヒーを探す旅に出ることになった。
デカフェコーヒーが飲める場所(チェーン店編)
コーヒーチェーン店はたくさんあるけれど、デカフェコーヒーの有り無しなんて今まで一度も気にしたことがなかった。
出先で「コーヒーでも飲もうか?」という流れになってからデカフェの有り無しを気にしてドキドキする……場合によってはあきらめる……というのが妊娠初期は続いた(ちゃんと調べればわかる話なのだけれど)どこでもいいから近場で!とふらっと入れたあの頃が懐かしい……
お世話になったのはこの2店舗。
スターバックスコーヒー
コーヒーチェーンといえばスタバははずせない!ということで。もともとスタバに行くときはほぼホワイトモカ一択で、これをデカフェにすることなんてできるのか?と疑問だったけれど……結論、できた。
レジで「ホワイトモカのデカフェ変更で」といえばOK。もちろんホワイトモカ以外でも同じように言えばデカフェにできる。(追加料金は多少かかる)
で、味のほうはというと……私の舌で味わう限りは、味にまったく遜色ない!いつもどおりおいしいホワイトモカだ!!!
ただ、私が利用した店舗ではモバイルオーダーでのデカフェ変更ができず、毎回レジ列に並んでいた。他の店舗ならできたのか……これだけは今でも謎だけれど、レジで頼めば間違いないので利用したい方はぜひ。
ちなみに、ずっとホワイトモカ派だった私が妊娠してから突如ハマったおすすめメニューがこちら。
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アイスカプチーノのデカフェ変更。これまたデカフェとは思えない深い味わいで、ふわふわのミルクとの相性も抜群で。とにかく最高なのでぜひ飲んでみてほしい。
タリーズコーヒー
タリーズは通っていた産婦人科の最寄駅の中にあったので、とにかくよく通った。タリーズもスタバと同じように、頼みたいメニューと共にデカフェ変更で……と伝え、追加料金を払えば問題なく変更できた。
私はもともとよく頼んでいたハニーミルクラテでいつもお願いしていたが、これまた味わいはまったく遜色なく大満足。
モーニングでいろんなメニューが選べるのも嬉しくて、フレンチトーストやらサンドイッチやら、毎回あれこれ迷いながら頼んでいた思い出。
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デカフェコーヒーが飲める場所(カフェ、コーヒースタンド編)
チェーン店以外にも、去年はデカフェという新たな軸でいくつものおしゃれカフェやコーヒースタンドに出会うことができた。
水天宮に安産祈願に行ったときに立ち寄ったカフェ。シドニー発のコーヒーロースターがオープンしたカフェで、海外気分に浸ることができる。
各種メニューにオプションでデカフェ変更可能で、私はエスプレッソのホワイト(ミルク)を注文。グラノーラ&ヨーグルトにキャロットケーキまで頼んで、これぞ理想のモーニング。水天宮に行かれた際はぜひ。
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横浜市の東横線沿線に展開するコーヒースタンド。カフェラテはデカフェにできるか?と確認すると、できないことがわかったのでアイスコーヒーをデカフェで何度か注文。すると「ミルク多めにしておきますね」とラテを飲みたい私の気持ちに寄り添ってくださり、感動してしまって。以来、ファンになり本格的なコーヒーが飲みたくなるとおじゃましている。
感動エピソードの詳細はこちらに
こちらも横浜の方(東白楽・白楽)にあるカフェ。「ベビーカー歓迎」的なことが外の看板に書いてあり、なんて優しいお店なんだ……と感激しつつ。静かでおしゃれで落ち着いた雰囲気がありつつ、アットホームで、何よりコーヒーと焼き菓子がとってもおいしい。
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デカフェのドリップコーヒーもシンプルにおいしかったし、期間限定のアイスカプチーノ(デカフェ変更)もリッチな味わいでとても好み。
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「ジャパン ハンドドリップ チャンピオンシップ」で優勝した本格派のコーヒーが飲みたい方も、ただただまったり癒されたい人も、ぜひ。
家で飲んだデカフェコーヒーたち
今となってはスーパーなどでもデカフェコーヒーは簡単に手に入る。妊娠中はありがたいことに友人たちからプレゼントしてもらう機会もあり、家でデカフェコーヒーを楽しむこともしばしばあった。
特に印象的だった自宅用デカフェコーヒーたちを紹介したい。
猫珈のドリップコーヒー
友人がくれた猫珈のコーヒー。(デカフェとカフェインレス両方の表記があるのでここでの正確な意味合いは不明)
深い味わいで、パッケージもかわいく、ブレンドにエチオピアモカ、コロンビア、ブラジル……などなど種類も豊富ですっかりお気に入りに。
しかも売上の一部は寄付されて、猫の殺処分ゼロ活動実現に役立てられるとか。自分用にもギフト用にも嬉しいコーヒーだ。
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割るだけ ボスカフェ 贅沢カフェインレス
スーパーで手軽に変える、コーヒー飲料。ミルクで割るだけで、手軽にカフェインレスなラテが楽しめる。無糖派の私には少し甘いが、おいしさも手軽さも申し分なし。無糖版もぜひ商品化してほしいなあ……詳細はこちらへ。
ちなみに私がいつも買っていたのはオーケー。取り扱いのないスーパーもあるかもしれないが、ぜひ。
2024年最も感動した1杯
9ヶ月間にわたり、デカフェコーヒー探しの旅を続けてきた私。
では2024年に最もおいしい!と感動した1杯は何か?と聞かれたら、ここまで書いておいてなんだが……産後に飲んだ「カフェインあり」のホットコーヒーだ。これはもう、コーヒーそのものの味以上に「久しぶりの通常コーヒーとの再会」というエモさが乗っかるので、仕方ない。許してほしい。
娘と2人きりで過ごした、産後の入院生活。身体はボロボロ、慣れないことばかりでパニックになるし、目の前には守るべき娘がいるしで心身共に限界を迎えていた。
そんな毎日を乗り越えて、入院最終日に病院が出してくれたお祝い膳。ステーキにスモークサーモンなど豪華な食事が並び、なんとポットに入った、あたたかいホットコーヒーまでついていたのだ。
一口飲んで、私はぽつり「おいしい」と、誰にも聞こえないくらいの今にも泣きそうな声でつぶやいた。
全身に沁み渡る、あたたかくて味わい深いコーヒー。香ばしい香りを嗅いでいるだけでも幸せで、いつまでも部屋に置いておきたいほどだった。
ああ、私はやっぱりコーヒーが好きだ。
この先の人生でもたくさんのおいしいコーヒーに出会うと思うけれど、この日のコーヒーだけはきっと一生忘れられない。
豪華なステーキよりもたった1杯のコーヒーが、9ヶ月間を乗り越えてきた私にはごちそうだった。
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これからもコーヒーと共に
繰り返しになるが、妊娠してもカフェインを全く摂取してはいけないわけではない。
通っていた産婦人科では毎週土曜日にコーヒーのサービスがあったほどだ。デカフェではない普通のコーヒーで、「あ、いいんだ?」と過剰に気にする自分が少し恥ずかしくもなった。
でも、今まで気にも留めていなかったデカフェという新たな視点で、よく知るカフェと出会いなおすことができた。人の優しさに触れることもできた。
コーヒーはカフェインを気にする人・気にしない人、仕事を頑張りたい人、育児中に癒されたい人……どんな人にも寄り添ってくれるものだと思うから。
これからもコーヒーそのものと、コーヒーを飲む時間のどちらも楽しんでいきたい。
夫に娘を見てもらいつつカフェに駆け込んで飲んでいるこの1杯も、いつかきっと思い出の味になることだろう。
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