
伴走できなかった後悔
昨年、ある後輩がいた。
彼女は、私の直下で(私が直接指導する後輩で)、
私がこれまで行ってきた研究の続きをしてもらって、
さらに、発展させてほしかった。
しかし、その想いは夢と消えた。
彼女は、非常にルーズな性格だった。
締切は、守らない。
遅刻する。
片付け/整理整頓しない。
勉強・研究/実験よりも、アルバイト優先で、研究室にも来ない。
ミーティングにも参加しない。
何か尋ねても、笑って、言葉を濁すか、黙秘。
私とほぼ正反対だった。
だから、私は、そんな彼女の行動・言動の一つ一つに、
腹立たしさしか感じなかった。
そして、ある日。
彼女が、彼女自身の研究の要を、彼女自身で、壊した。
それはかつて私が使っていたものでもあった。
それにもかかわらず、
ごめんなさい、の一言もなかった。
その研究の要と同様、
私たちの関係にも、ヒビが入り、砕けた。
それから、彼女のことを、信じられなくなり、
これ以上、私と関わってもお互いのためにならないと思い、
私とは少し系統の違う性格をもつ同期に託した。
少しは、違う先輩になって、変わるのかなと思ったが、
微々たるものだった。
一緒に、実験して、研究して、高め合いたかった。
だから、私なりに、彼女の性格を踏まえて、
手を変え品を変え、教えてきたつもりだった。
だけど、彼女には、最後まで、届かなかった。
彼女の性格と私の性格、
そして、彼女の熱量と私の熱量が、
あまりにもかけ離れ過ぎていた。
私なりに歩み寄ったつもりだったが、そうでなかったのかもしれない。
今思えば、彼女は私では無いし、私は彼女では無い。
この小さくも大きい点を考えられていなかった。
寄り添って、一緒に歩こうとしていなかった。
きっと、必要だったのは、歩み寄り、ではなく、一緒に歩く/走ることだったのだ。
この出来事を"失敗"と表現するのは、
ある意味では、良くないのかもしれないが、
私にとっては、大いなる失敗だと考えている。
彼女と伴走しているつもりが、
いつの間にか、彼女と歩調が合わなくなり、
彼女と最後まで歩くことができなかった。
今年、彼女と同様、私に、直下の後輩がついた。
彼の性格は、まだ把握しきれていないが、
彼にとって初めての発表資料の添削を、私がするのだが、
予定よりも約1週間遅れで提出してきた。
私は、内心すごく焦っていたが、
昨年のことを思い出して、
彼のペースで、彼の歩調に併せて、
走っていこうと決めた。
私の熱量の赴くままではなく、
彼の熱量に併せないといけない。
慌てても良い資料は完成しないし、
彼なりに考えて、構成を組んだスライドでないと、意味がない。
彼は、私よりも、先が見えていないのだから、
私が、彼の目となって、伴走しなければ、
彼と一緒にゴールできない。
まだ、走り始めたばかり。
ゆっくり、焦らず、歩調を合わせていこう。
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