【参考書レビュー】『関正生のThe Essentials 英語長文必修英文100』関正生・桑原雅弘 ━入試英語長文への新しいアプローチ!
初版発行は2023年7月ということで、約1年半前。気になってはいたものの後回しになっていたのですが、一旦手をつけると面白くて一気に最後まで読み終えました!
本書のコンセプトとしては、大学入試で最も配点の高い長文読解問題で繰り返し問われているポイント、さらに今後より問われるようになるであろうポイントを抜粋して100の英文に凝縮したもの。
場当たり的な小手先の問題解法の紹介ではなく、正しく要点をおさえつつ英文を読むことが入試問題においても重要だという姿勢で作られています。関先生の長文問題集『The Rules』シリーズを読んだことがあれば、「this +名詞はまとめ」であるとか「消えるbut」など重複する内容もありますが、こちらにしか載っていない項目もかなりあります。
読んでいて、昨年私のnoteでもレビューした、テッド寺倉先生の『TOEIC L&R TEST 速読特急 正解のサイン』のアプローチと近いものがあるように感じました。
実際、Look no further than 〜「〜をおいて他にない」とかbe subject to change「変更の可能性あり」といったフレーズから、newという何気ない単語の働きを意識した読み方まで共通する内容も少なくありません。
当然、大学入試とTOEICの違いはあるのでそれぞれに固有の項目はあるのですが、The Essentialsの方で個人的に驚いたのは、例えば31番の英文でThat's all there is to it.「それだけの話だ。」のようなフレーズまで取り上げられたりしていたことで、従来の受験参考書ではあまり見かけたことがありません。
私は、繰り返し観ている大好きな映画『パルプ・フィクション』の中の、例の有名なバーガー問答付近で使われていたことでおぼえたフレーズなのですが、
その後、Peggy LeeやPJ Harveyの歌唱で知られる、'Is That All There Is?'という曲名がこのフレーズそのものの名曲を知り印象を深めました。ここでは「それだけなの?」という疑問文の形で使われてますね。(語りが基調の曲なのでリスニングの良い練習にもなります。)
このように英語講師の私でも思わず、なるほど!言われてみると確かによく見るわ!と膝を打ちたくなる内容も多く含まれているこの参考書。100の見出しの英文は、すべて著者オリジナルの英文(「入試問題ではこう出た!」のコーナーは別にありますが)で、使われている語彙も教育的配慮が行き届いていてレベルも高いです。
おすすめとしては、難関国公立、MARCH関関同立以上を目指す生徒で、ある程度長文は読めるレベルになっているはずだけど実際に解いてみると正解率がどうも低い、そう感じている人にぴったりかと。正解へのアプローチ法が効率良く学べる類書のあまりない本だと思います。逆に、実際にある程度長文を読んで苦労した経験がないとこの本の良さは伝わりにくいかもしれません。
また英語を理解する力全体を底上げするものでもあるので、受験生に限らず社会人学習者にもきっと学びの多いものとなるでしょう。英検2級-準1級以上、TOEIC学習者などにも有効。旺文社の英語の友アプリで音声読み上げもついています!