見出し画像

'in 30 minutes' と'30 minutes in'の違い ━米大統領選関連のX(twitter)より

前置詞絡みの文法問題でよく問われるものに、

このテープは5秒に自動的に消滅する。
This tape will self-destruct (          ) 5 seconds.

といった用法があって、日本語が5秒とあるからといって、afterを入れないように、「今から〜後に」の意味ではinですよ!というのがあります。

ところが、これと似た感じなのに、「in +期間」ではなくて「期間+in」の語順になるものがあります。以下は、米大統領選関連で見かけたX(twitter)での投稿です。

Kamala Harris is right, Trump’s supporters get bored and leave his speeches 30 minutes in.
(カマラ・ハリスは正しい。トランプ支持者たちは彼の演説を30分で飽きて立ち去る。)

うーん、この文の意味は分かるのだけど、自分で使うときにはin 30 minutiesってやっちゃいそうだなあ。それじゃ駄目なのかしら?

ChatGPTに訊いてみました。

確かに、“leave his speeches in 30 minutes” でも、「30分後に彼の演説を去る」という意味にはなります。文法的には正しいのですが、この表現は少し異なるニュアンスになります。

• “leave his speeches in 30 minutes” は、時間の正確さを意識させるフレーズで、「30分経ったら彼の演説を去る」といった感じで、あらかじめ決められたかのようなニュアンスを感じさせます。
• 一方、“leave his speeches 30 minutes in” は、もう少し自然な言い方で、演説が進んでいる中で「30分が経過した時点で(途中で)去る」というニュアンスです。演説の流れの中で徐々に飽きてきて、30分が経つ頃に去るという感覚が伝わります。

要するに、“in 30 minutes” はやや機械的・事前に決まったような感じで、“30 minutes in” の方が、話し手が自然に感じた状況を表現する場合に好まれることが多いです。

なるほど、'30 minutes in'には「期間の経過」のニュアンスが強いのか。

実はこの用法を最近はっきり意識するようになったのは、『大学入試 飛躍のフレーズ IDIOMATIC 300』に載っていたからなんですよね。

167: The actor undertook full responsibility for what she had been told was a charity project, but only 10 months in did she realize it was a total fraud. When the truth was brought to light, though she narrowly escaped arrest, her reputation was severly damaged.

(その俳優は慈善活動だと言われたプロジェクトの全責任を引き受けたが、10カ月たってようやくそれが完全な詐欺だと知った。事実が明るみに出た時、逮捕はぎりぎり免れたものの、彼女の名声はひどく傷ついた。)

〈期間 in〉は「〔始まってから〕期間が経過して」の意味のフレーズ。

pp197-198

いやー、これはほんとに凄いフレーズ集だと思います!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?