見出し画像

【塾】一人称苗字呼びの奇習について【予備校】

以前に塾・予備校での教師の呼び方に関するnoteを書いたことがあったのですが、今回は教師の一人称に関して投稿してみたいと思います。内容のどうでも良さは前回と同程度ですのでその点はご承知おきください。

日本語は「私」「あたし」「ぼく」「俺」などなど一人称が豊富なことで知られますが、最近個人的に気になっているのが一人称の苗字呼びですね。「あゆは〜」、の名前読みではなく、苗字の方です。

ボクは別にいいんだけど、YAZAWAがなんて言うかな?

このタイプの一人称ですね。タナカはこう考えます。ナガイ的にはそれはなしですね、といった風な。女性タレントだと指原莉乃さんが「さしはらは〜」といった具合に使っているようです。

これはあくまでも個人的な観測範囲での話になりますが、塾・予備校講師は他業種に比べこの一人称苗字派の比率が男女ともに高いような気がしています。高いといっても、あくまでも少数派の中では比較的多い方、くらいの意味ですが。

この一人称苗字呼びは英語だとまず目にしない用法なので、言語事実としても興味深いところです。一人称名前呼びの方なら、幼児には、英語圏でも見られる現象のようですが。Jennie can do it! と自分のことについて言うような。ただ苗字のそれはほとんどないのではと思われます。

一人称苗字呼びと言えばどうしても矢沢永吉さんのイメージが強いですが、実際には矢沢さんも四六時中YAZAWAと名乗っているわけではなく、ここぞ、という文脈でだけ使っています。指原莉乃さんもそうですよね。そこには自らの存在感なりブランドなりを第三者的に示すような意図が感じられます。

ところがある種の人はほぼ常に一人称苗字を使っています。ここにはどのような社会言語学的意味合いがあるのでしょうか?

基本的には名前を連呼することでおぼえてもらうという効能があるのかもしれません。日本の選挙戦術で伝統的に見られるものですね。特に予備校講師はライバルとの競争という側面が強いから、まずは名前だけでもおぼえていってくださいと。

さらには「キャラクター作り」という側面もあるでしょうか?

いるいる~!このタイプは自分のキャラクターを自ら設定して作ってしまっているタイプ。オタオシャレ女子ともカテゴリーが似ていますが、一番の違いは”オタク”に限定せず自分の中で独自のキャラを作っているところ。普通の集団行動で調和がとれていれば、あまりいないタイプかもしれませんが…

こちらの記事は「一人称苗字女子」に関するものですが、「一人称苗字講師」にもある程度当てはまる話なのかもしれません。ただ傾向としては、誰もが知る超有名講師になるとそういう喋り方をする人はあまりおらず、その一歩か二歩手前のキャラクターで人気を獲得しようとするタイプの一形態という気もします。服装、髪型、破天荒エピソード、そういったものの中の一つとして独特な一人称も含まれているのかもしれません。

これは自らを省みてもそう思うのですが、塾・予備校関係者は良くも悪くもいつまでも子どもっぽさの抜けないタイプが多く、この言葉使いにも主客未分の精神的な発達段階と幾分かのナルシシズムが反映しており、しかしさすがに「ともちゃんは〜」といった一人称名前呼びは幼稚すぎるにもほどがあるので、一人称苗字くらいで社会とのバランスをとっているのかもしれません。ただそのくらいの精神年齢の方が若い学生といつまでも近い距離感でいられるのでむしろ美質と取るべきなのかもしれませんが。

そんな風にwisteriaは考えます。

いいなと思ったら応援しよう!