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hungとhanged ━━『CNN EE 9月号』とドラマ『SHERLOCK』より
今月のCNN EEの特集は「ネイティブもはまる落とし穴」という英文法・語法に関するものなのですが、その中の「まぎらわしい単語・フレーズ集」でhungとhangedの使い分けが取り上げられていました。
hangには2つの活用があって、「(ものを)掛ける」とか熟語hang out「ぶらつく」の意味の時は、hang-hung-hungという活用となります。
We hung out at the Aeon Mall until it closed.
(私たちはイオンモールで閉店まで遊んだ。)
個人的にはそもそもこの活用がおぼえにくく感じたもの。run-ran-run、swim-swam-swumのようにaが過去形になるイメージがあって、hangが過去形のような気がしちゃうんですよね。。
さらにややこしいことに、hangにはもう一つ、「首をつる、絞首刑にする」という物騒な意味のhang-hanged-hangedの活用もあるのです。タロットカードの「吊された男」(The Hanged Man)がhungではなくhangedなのはこれが理由。
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「ネイティブもはまる落とし穴」ということで私がここで思い出すのはベネディクト・カンバーバッチが名探偵シャーロック・ホームズを演じるドラマ『SHERLOCK』の次の場面。
依頼に来た男の事件の話の凡庸さにうんざりしたホームズは、無教養な相手の話す言葉の文法的間違い(be動詞の単複とか二重否定)を矢継ぎ早に指摘しまくったあげく(笑)、最後のやりとりが、
男:Without you, l'll get hung for this.
とget hungと言う男に対して、
No, no no Mr Berwick, not at all.
Hanged, yes.
hanged「絞首刑」になら、される、と正す場面で締めると。カンバーバッチ=ホームズのキャラクターを強く印象付けるシーンでした。
ちなみにこのドラマにはバイリンガル漫画版もあって、
そちらではget hungの部分に「コーシ刑」という訳語を与えていて、なるほど!、確かに絞首コウシュって、手術シュジュツみたいに日本人でも発音が難しい言葉だから、面白い訳だなあと膝を打ったものでした。
この「ネイティブもはまる落とし穴」特集には、他にも先日私がnoteに書いたlieとlay(でlayを自動詞に使う用法)のことも書いてあって、個人的にとても興味深いものでした。