【参考書レビュー】『英検合格のための要約問題予想問題集』竹岡広信
2024年度からはじまった英検ライティング新形式の要約問題。公式サンプル以外の過去問題がない中対策が難しく、私も受験生と取り組んでいた準1級についてはこちらにnoteしています。
ただその後、つい先日(6/20)に新しい要約対策本が発売されました!
著者は英作文についての学習参考書で名高い予備校講師の竹岡広信先生。以下に本書の特徴を紹介しますと。
◎英検2級(10問)→準1級(10問)→1級(5問)と段階を踏んだ豊富な問題数
過去問がほとんどない中、このボリュームはありがたいところ。受験生は自分の受験する級からで良いと思いますが、指導者側は2級から順に取り組んでみると、英検要約ライティングがどういった力を受験者へ求めているかへの気付きや学びが多いと思います。
◎課題文の質が本番に近い
ChatGPTなどによる生成課題文とはクオリティが明確に違います。AIのそれは抽象的・一般的すぎで、無難だが本試験に比べたら踏み込みが浅い内容になりがち。したがってまずはこちらの竹岡本か各級の旺文社の予想問題集の5題から取り組むことを強くおすすめします。少なくとも今の段階で初手AI生成課題文は危険だと思います。
◎課題文の解説が詳しい
要約ライティングといってもまずは課題文の正確な読み取りは必須。類書に比べて各パラグラフ読解へのサポートが手厚いのが本書の特長。語彙リストも付いているので取り組みやすいと思います。
◎解答例が豊富
各課題文につき、竹岡先生の模範解答、モニター答案2例+添削、ネイティブ模範解答の4つが付いている。これらの質・量ともに類書を大きく越えるものだと言えます。
◯採点基準の明示
本書独自の採点基準を冒頭に明示してあります。各級における、語数・文法・引用・内容を、それぞれの観点から減点法で成績を出していけるスタイルとなっています。
ただこれについては公式の採点基準ではないので、実際のそれとは異なる可能性があると思われます。個人的には、今までの英検ライティング採点の傾向を考えると公式はこれより少し甘めに出るのではないかと思っています。いずれにしても、もう少し採点実績が蓄積してくるまでの一つの目安として参照するにとどめておきましょう。
△添削例をどこまで活用するか
これは竹岡英作文本全般に当てはまる傾向なのですが、たとえ添削するにしても、間違えたあるいは不自然な英文を数多く目にするとそちらに引っ張られる危険性があります。添削される側の表現が印象に残って、そちらをおぼえてしまうと。
なので受験生はモニター答案は飛ばして竹岡先生とネイティヴ模範解答だけ熟読し、要約のコツを体得していく方法もありそうです。自分の答案はできれば信頼できる先生にチェックしてもらえると安心。一方、指導者側にはモニター答案の間違い例は参考になるので、今後の生徒の添削に活かしていけそうです。
◎まとめ
総じて、2024年度第1回一次試験が終わった現段階では、公式問題の次に優先して使える、英検要約対策として強くおすすめできる質・量ともに充実した参考書となっています。受験生、指導者それぞれに合った活用をしていこう!
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