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メタファー:トゥルーエンドに至る
プレイ時間88時間、キャラレベル70前後。長いような短いような旅路であった。
前回、天の巨顔をラストダンジョンかと思ってたがあくまで最後の大ダンジョンというだけでまだまだボス戦も探索も山程あった。
初日に挑んだ天の巨顔
他のサブクエを一通り遊んでから挑んだら楽すぎるのでは?と思って探索可能になった初日に1日でクリアしようと挑む。案の定、最初の大聖堂並みに苦戦を強いられた。しかも「どうせルイの手前で引き返して期日まで待機させられるだろ」と思ってたらボスのゾルバを倒したらルイを前に強制帰還、二度と挑めなくなってしまった。ゾルバ撃破後のセーブポイントでセーブしてしまったので引き返すこともできずに宝箱が回収しきれない羽目に。
逆にここで苦戦しておいたので、このあと真のラストバトルまでの期間のクエストをサクサク進めたとも言える。今作ではこの苦戦とサクサクの塩梅が全体的にいい感じだったと思う。苦戦から成長を実感する機会がちゃんと用意されている。
ゾルバはボス戦おなじみのガリカの援護を頼むと却ってピンチになる場合もあり、ひさびさに苦戦した。ストーリー上でゾルバ仕事し過ぎでは?とは思ってたが死に様がきっかけでルイの人類ニンゲン化計画が露呈して本当に最後までストーリー動かしてるなぁこいつと思った。
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決戦までのサブクエストと後片付け
巨顔1日でクリアしたおかげで最終決戦の地、恐王星に挑むまで1ヶ月くらいの猶予が持てた。全然進んでないジュナとユーファとバジリオのコミュを進めたり賞金首を狩ったり3つの塔に挑んだり闘技場に挑んだり・・・ゲーム中で一番自由だった時間かも知れない。空は真っ赤になってしまってて景観は最悪だが。
3つの塔には世界樹の迷宮でもお馴染みの三竜が出現。ただ属性的には炎、毒、物理という感じになってるしデザインも基本に忠実なドラゴン。最初に挑んだのが南の盲信の塔だったが全体に9999ダメージ与えてくる火炎攻撃のせいで一番苦戦させられたし「日数使ってきたけど最悪勝てずにとんぼ返りか・・・?」と思わされたが、他の竜はそこまででもなかった。
すべての三竜戦ではヒュルケンベルグがめちゃくちゃ活躍した。全体火炎攻撃もジンテーゼによる属性攻撃無効化を毎ターン使って防いだし(ヒントをよく見ると予兆があったようだが)、聖騎士の誓いの防御+挑発効果とカウンターによる一定確率での反射とプレスターン潰しが有効すぎた。属性攻撃無効化については世界樹の迷宮の三竜戦でのブレス対策でもお馴染み。
そして三竜撃破後は最後の竜・・・という名のシャドウ戦。マグラの設定、ほぼペルソナにおけるシャドウじゃんと思ってたが、ここにきてマグラの塊のシャドウとの戦い。名前が「全ての人の魂を喰らう者」でペルソナシリーズでは初代からお馴染みベルベットルームの曲名「全ての人の魂の詩」にかけたものに。世界樹ネタといいアトラスファンは本当にいろんなところでニヤリとさせられる。
そして三竜関連のクエストで出てくる妖精アグリカもアップになるとそのデザインというか髪が世界樹の迷宮に出てくるモリビトのカラーになってたり「守り人」の役割を与えられたとかここでも世界樹ネタ。服が青いのはベルベットルームの住人モチーフ?初代国王の旅を共にしたというがその話もいずれゲームになったりしないかな。
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シャドウ戦もヒュルケンガード戦法でほぼ完封できたし闘技場とか他のサブクエも特に苦戦はしなった。闘技場の30連戦は普通に時間かかってきついので成長してからやって正解だったとは思う。
めっちゃ苦戦した恐王星の決戦
「いうてほぼルイ戦だけやってエンディングやろし隠しボスみたいな三竜やシャドウも楽勝になってたしもうクリア同然やろ」
などと思ってたが普通にザコが格上だし再生ボスラッシュがあるしラスボスもイベント挟んで三連戦だし・・・油断してたというか実際めちゃくちゃ長かった。なんならラスボス手前のセーブポイントからエンディング最後までだけでも3時間近くかかってた。徹夜して一気にクリアするもんではなかった。
この難易度だと三竜やシャドウは余裕が倒せてないと無理ゲーなのでは・・・?ドラゴンを一層した件についてはエンディングとかでも言及されてたとのでサブクエっぽくみせてほぼ必須要素だったのかな?
ラスボスのルイ戦、全滅こそしなかったもののかつてない長期戦の上に普通に苦戦させられたし、プレスターンバトルがめちゃくちゃいい具合に仕事しており、肝心なところでミスしたり不安になったりして立て直しにすごく時間と気を使った。
仲間のMVPは自力で物理弱点を作って殴り続けられるバジリオ。ヒュルケンベルグの挑発も三竜から引き続いて役立ったが全体攻撃や防御ダウン効果付きの攻撃のせいもあり三竜戦のようにこれだけで余裕とはならなかった。ジュナに風弱点付与してもらって風強化武器もった主人公で攻撃力ダウン付きの風魔法で殴る連携も楽に1000超えダメージ出しつつデクンダを誘発するので役立ってくれた。ハイザメにもたせておいたアイテム効果2倍のスキルも長期戦の中で料理による全体HP回復やMP回復が役立ったし数に余裕のある蘇生薬でHP全快で復帰もできて予想外の活躍。そもそも主人公に全体回復のメディカを持たせ忘れてたのも苦戦の原因である。
回復面で苦戦したおかげでユーファはほぼメディカ係になってたし、各種ブースタ+クリティカル威力アップ+チャージ&セリフ攻撃力三段アップで最大火力の高かったストロールは準備ができずになかなか活躍させられなかった。
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ねんがんのトゥルーエンドを迎えて
そんなわけでなんとか無事にトゥルーエンドは迎えられた。トロフィーの内容がそう書かれてたのでノーマルかバッドもあるのかな。明らかにそれっぽい選択肢もたびたびあったけど初見プレイだし真面目に選んでおいた。
クリアした段階でトロフィーは残り6個。1つはコンプなので実質は5個。
・黙示録の竜を倒す
・真の破滅王を倒す
・主人公で全アーキタイプ取得
・全てのディベートで勝利する
・黄金蟲をすべて集める
最初のは2周目要素かな。2つ目は恐王星で再生ボス倒さずにおけば良さそう。3つ目も今回の自分のプレイで50%程度なので1周目だときつそう。ディベートもなるべく挑んでたつもりだが見逃しがあったか。黄金蟲は自力ですべてはちょっと2周目でも集めきれるかわからんし攻略情報頼りかな。攻略本が出たら買って2周目やってみるか。
エンディングは「伝説はここからはじまる・・・」という感じでまぁ大変なのはここからだよなという中で導き手であるプレイヤーの手から離れていった感じ。この数百年後とかに伝説の王と六本槍として語られる様がありありと想像できるというか。このままサガフロ2みたいな年代記っぽいゲームで遊んでみたい気もする。
ガリカは最悪消え去るんじゃないかと思ってたので最後まで消えなくてよかったです。ペルソナシリーズと違い明確な恋愛要素はなかったけどユーファは初手水浴び覗き、握手(意味深)、気に入られる兄と、めちゃくちゃ丁寧かつ順調に外堀が埋められていて、もう逃げられんでしょこれ。
仲間は誰も彼もいいキャラ揃いだった。ストロールは友人ポジでありつつ事ある毎にはっきりと意見するもう一人の主人公だったし覚醒機での宣誓シーンも一番(というか唯一?)様になってた。あの爆発まで含めた覚醒のフォーマットが全員同じなのはやや謎い。ヒュルケンベルグは若き王子の指南と守護を体現した王道の騎士を貫いてたし、ハイザメも外見のことなんか吹き飛ぶくらい老獪としてたし(CV大塚明夫さんだもん)、ジュナも主人公と対等な女性主人公という雰囲気だったし、ユーファも後半になって圧倒的なヒロイン力を見せてくれるし、バジリオも道中、兄弟で仲間になってくれと思うほどの気分のいい男だったし(割とホントに仲間になるとは思ってなかった)、ニューラスも冒険モノに欠かせない科学者キャラとして最高の仕上がりだった。
この辺の仲間キャラの良さを感じれたの、ペルソナシリーズだと初見プレイで全コミュ見れずにキャラが深堀りしきれないままエンディングを迎えることが多かったのとは違って余裕を持って最後までサブストーリー見れたのもある気がする。選択肢によって期間が伸びないシステムはホント良かった。
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ストーリー全体振り返って
みると構成的にはほぼほぼペルソナ5と同じだったなと。発売前は「実質ペルソナ6では?」と思って実際に遊びだすと「アルカナや学生生活の縛りから開放されたペルソナ」という感想になったけど。
「南の島まで仲間が覚醒していき一通り揃う」
「主要人物がどんどん人が死んで不穏な空気になってく」
「主人公に関わるメタなトリックを込めた急展開」
「空が真っ赤になって民衆が手の平ドリルする」
「主人公が真の力に目覚めてラスボス倒してハッピーエンド」
と、流れだけ見るとほぼP5。なんならP3も?不穏な空気続きのところで気が滅入ったり主人公に関わるメタ的なトリックの説明パートが長すぎない?と思ったあたりで「これP5でも味わったな」と気付いた。覚醒シーンのフォーマットといいそのまんますぎるかなとちょっと思う。
そういう見方をすると、最初から最後まで宿敵であったルイの存在が特異で今作の最大の特徴だったな。
ルイのやり方があまりに混沌と暴力に満ちすぎていてアレだが、漫画エクソシストが堕とせない(エクおと)でちょうど今戦ってる敵がお出しした「全人類が死ぬまで寝て夢の世界で過ごせばこれ以上不幸も生まれない」論の方がだいぶ平和的だなと思った。どちらも問題は「全人類に強制してる」点だと思うが、これに関してはだいたいどんな物語でもラスボスが少なからず共感できる思想しててもそれを望まない人々にも強制しようとして主人公に殴り飛ばされる理由になる、というストーリー上の都合・必要性からそうなってしまうよな。逆にどんなイカれた尖った思想だろうとそれに共感するグループ内で完結していれば、それはそこまでの話ではある。要はゾーニング。それが一切の拒絶にならないかどうかの塩梅が肝要なんだろう。
中盤でルイがやった、宗教と政治の繋がりで強い権力を持つ人物に半ば個人的怨恨込みで暗殺してる展開は、現実の日本で起きた事を想起させるが果たして狙ったのか偶然似通っただけなのか。実際問題、そのテロリズムで時代や民衆の意識が動いたというか、それぐらいでないと動かないというか、平穏による停滞と腐敗は如何ともしがたいというか。繊細で難しい話だ。
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JRPGとしては大満足
さすがアトラス35周年作品、長すぎず短すぎずに密度高めのJRPG体験ができた。ほどほどにサクサク進めつつ苦戦もしつつ、ノーマル難易度でいい塩梅の歯ごたえと自由度が味わえた。フィールドで格上に殴られたときのストレスがかなりデカかったけど。一旦逃げて殴り直した方が早いのは変なシステムだな。プレスターンの新要素の不安状態、今まで以上に一気にピンチになることはあったけど全滅することはなかったあたり内部的に手加減されてたのかな?それはそれで接待プレイみたいで嫌だけど。
音楽も相変わらず目黒大明神、すごい良い。マジで念仏を洋ファンタジー世界に持ってくるセンスよ。音だけで言うと敵全滅させた時のキィィィーンという音とスローになる演出も癖になる。
プレイ時間約90時間で100時間切ってるのもいい塩梅だったと思う。今の時代に50時間前後だとやや足りない気もするし100時間超えだとよほど完成度高いゲームで無い限りダレる期間も割とあるし。
操作は最初けっこう戸惑ったけど最後の方はだいたい慣れた。クラスや継承スキル、さらに後半は装備の自由度が高い一方で使えるジンテーゼの重要性も高かったので、その辺りの試行錯誤がもう少しやりやすいとよかったかも。このスキルどのクラスが使えたっけとなったり、自由度の高さ故に編成事故で苦戦することもしばしばあったので。戦闘が始まってしまうとクラスや継承スキル変えれないからね・・・。
終わってみてやっぱりこのファンタジー世界をもっと見てみたい、自由に制限ない旅をしたいという気持ちは強く湧いてきたなー。続編・・・というよりは完全版やらIFやら外伝やらスピンオフやらが見てみたい。今作だけでは物足りないとも言えるし、新規IPとしては大成功とも言える。
世界樹の迷宮みたいなシンプルな形でもいいし、クリア後で時間の制約無く気まま自由な旅するモードとか欲しかったな。まだまだダンジョンも増やせそうだし、賞金首は意外と少なかったし(というか賞金首=ほぼミニダンジョンとセットだった)、闘技場も割と最低限といった具合。黄金蟲も自由探索ができないと探し直すのほとんど無理だし。これからの展開に期待。あと世界樹の迷宮の新作にも。
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幻想と現実の双方を抱えて生きるニンゲン
幻想、理想、現実、不安・・・明確なテーマで語られた本作は、プレイヤーの心をほんの少人数でも、ほんの少しでも動かせただろうか?哲学的な思考や想像力を少しでも刺激したり芽生えさせる手助けになっただろうか?といえば間違いなくYESだろう。逆に言えば空想の物語の影響なんてその程度で十二分だと思う。
個人的には要約すると「SFとか読んで手の届かないくらい未来のこともちょっとは考えなさい。あとそんな遠くなくていいから旅行とか度々するといいよ」くらいに受け取った。まぁ自分は既にそうして生きてるつもりだが。
メガテンVVを遊んだときも思ったけど、今の時代の閉塞感、現実の抱える課題はだいたい「増えすぎた人口に対して土地とか資源とかが枯渇してる」が根本的な問題だと思ってる。それを解決したとて新たな問題は当然上がるだろうが(1stガンダムとかみたいな)、解決しないまま足踏みし続けてる印象。スペースコロニーでも月や火星でも海上や海中でも、あるいはBLAME!みたいな都市構造体でもマトリックスみたいな仮想現実空間でもいいけど、そういった解決策が為されるのは果たしていつになるか。個人的にはやっぱりVR空間が一番手頃で現実的な理想な気はする。神経をネットに繋げとまで言わなければ。
前回の日記でも書いたように自分は「現実は退屈なくらい平穏であってほしい、刺激や冒険は空想の中で満たされれば良い」と考えてるのでVRで生活というのはその実現にもっとも近い。個々人の手に余るほどの広い空間を好きな用にカスタマイズでき、自由に走り回ることができ、飛ぶことができて怪我を恐れる必要もない。病気の感染もなく、人の数だけ世界が切り取られて存在し、自分だけの世界に留まらず何処かの誰かが作った世界に自由に行き来できる。機械的な不具合が致命的になることもあろうが、それは現代の現実でも割とそうと言えるし安全対策はいくらでも取れるだろう。メタファーの世界でも不安を燃料とした何でもできる魔法で結果的に世界が滅んでるしニューラスも新しい技術の安全対策はかなり気を使ってる。危機管理、大事。
自分の究極的な理想、幻想世界はそんなところ。いつか生きてるうちに辿り着いてほしいのでVR界隈は割と注視してるし多少は経済的に回すようにしてる。
メタファーを遊んだ他のプレイヤー達も、こんな感じで理想の世界を想像して現実と向き合っているだろうか。欲を言えば、仮想世界で生きたい人間は仮想世界で生き、今の時代で満足している人間は今の時代の中で生き、外宇宙へ旅立ちたい人間は旅立てるような、様々な理想を持った人間すべてが己の理想世界で生きられたらいいのかもしれない。
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つづき(たぶん本当に最後)