メタファー:ルイと本作の恋愛要素について
ゲームクリアから1週間、ネタバレの恐怖から解放されたのでDX版の特典の冊子とか他の人の感想をチラホラ見れるように。冊子には公式サイトでも書かれてないバジリオがはっきりと仲間として記載されていたので読んでなくてよかった。サプライズ!
いろいろと自分でも振り返ってみていくつか気になったり深読みしたりした中で、特にルイと今作や過去作での恋愛要素についていろいろ思ったことをまとめてみる。
宿敵ルイ・グイアベルンのバックボーン
昨今では割と珍しい最初から最後まで宿敵であり続けたルイだが、決戦の地でいろいろ明かされると思っていたバックボーンは意外となかった。決戦前は概ね仲間(主にストロール)からフルボッコで説き伏せられてもはや言葉は不要と戦うも玉座に続いて二度目の逃走、そして自身がニンゲン化という悲しい末路。
その最大のバックボーンは実は主人公と同じエルダ族だった!ということで元の姿を明かす魔法の角飾りを取るシーンはあったのだが、その前にエルダの郷の婆さんが過去世界の真実のついでくらいのノリで語ってしまったのであまりインパクトがなかった。この婆さん、本当に一から十まで全部さらっと語るので内心ではネタバレババアと呼んでいる。真実を知るまでの体験や経緯が除かれて情報だけあっさり伝えられたら、それはもうネタバレと変わらんのよ。
ルイ自身はエルダ族には失望しており理想に燃えていた過去の王に憧れもしていたが、焼き討ちがきっかけで当人は地獄を味わい王は妻を失って絶望したためルイもまたその姿に失望するという最悪のコンボ。だがルイのバックボーンとしてはこれが全てのようで思ったよりは物足りないというか、もうちょっとサプライズが欲しかった。プリンス・ハイネルみたいな見た目だし「実はエルダの主人公(王子)と異父もしくは異母兄弟だった!」とか、同じく最後は怪物化したイケメンラスボスのデスピサロみたく「想い人がいたが故郷の焼き討ちで殺されてしまった!」とか。でも考えてみたらそのどちらも含んでいると言えるかも知れない。主人公とは兄弟ではないけど同じ種族で同じ小説を愛読してたし、想い人ではないが理想としていた人物は焼き討ちで死んだようになってたわけだし。
まぁそんなルイがラスボスになるきっかけとなったエルダの郷の焼き討ちを実行した挙げ句に、軍に来たルイを危険視して子供を暗殺するのに子供を脅迫して遣わせてその罪を子供に被せるというストーリー全体でみても最大級のド外道の極み、諸悪の根源のフォーデンが話の半ばであっけなく死んだので、なんかこう最終的な怒りの矛先が行き場を失くしてしまった感じはある。最後に突然ニンゲン化して蘇ったフォーデンをルイとぶん殴るぐらいしたかった。
フォーデンの治世を望む声が存外残っててマグラが結集した結果、人々の望む形のフォーデンが形作られて復活。主人公がルイをアカデメイアに連れてってかつての理想を追っていた頃の王と会わせたことで態度が軟化して人類ニンゲン化計画を中止、皇帝あるいは暴君のアーキタイプに覚醒して主人公の王者のアーキタイプと共闘してフォーデンを倒す・・・みたいなIFルートがあってもよかったかもしれない。
メタファーやペルソナで恋愛要素
「ルイが想い人でも殺されてたらもうちょっと感情移入できたかな」などと考える中で思ったが、本作ではストーリー中で恋愛要素ってほぼなかったような?なんならパッと思いつくのがグライアスとファビアンヌさんくらい・・・?恋愛と言うには成熟しすぎかもしれないが。あとはジュナ姉妹に対してバジリオ兄弟が憧れめいたものを持ってたくらいのような気がする。しいて言うなら王と女王もか。
それぐらい本作ではストーリー中で恋愛要素はなかった。3以降のペルソナシリーズでは主人公と仲間やコミュで恋愛する要素があったが、本筋とは無関係であり恋愛要素というよりはギャルゲー要素という印象。ストーリーはあるけど基本的に主人公側が薄い人格なので感情が一方的でまた同時交際も半ばネタにされてるので恋愛要素とはちょっと違う。またそのせいもあってか仲間同士(美鶴と真田とか完二と直斗とか)の恋愛はハッキリと描かれなかった部分もある。
そう考えるとペルソナでも本筋の中で恋愛していたのは順平とチドリとか花村と小西先輩とかくらいじゃなかったか?後者はともかく前者はかなりじっくり描かれてたし印象深い。と、ここでふと思ったが、先に挙げたメタファーでの恋愛要素を醸し出してた人達、グライアスとファビアンヌさん、ジュナ姉妹とバジリオ兄弟、王と王女、そしてペルソナ・・・漏れなく全員片方を亡くしている・・・。チドリは後の追加要素で生存ルートもできたけど。正直、ここまで徹底されていると橋野Dの趣味というか癖なんじゃないかと思えてくる。なんなら同じ橋野Dはキャサリンも作ってるので「この人の恋愛観どうなってんの・・・?」と思ってしまった。
特にストーリー評価高くて自分も好きだったアトラスとヴァニラウェアによる十三機兵防衛圏は、メインストーリー1から10までほぼほぼ恋愛要素といってもいいくらい。その中での人同士の関係や掛け合いに魅力を感じていたので意外と恋愛要素強めの方が自分の好みなのかもしれない。同じくオーディンスフィアも愛憎交錯していて、どちらも自分の中で歴代遊んだゲームの中で未だにトップのストーリー。
ということで意外とメタファー(しいてはペルソナ)に恋愛要素がなかったことと、自分のストーリー的な趣向では恋愛要素がもっとあった方が良いと気付かされた。