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信用の価値

今って史上まれに見るくらい複雑な時代だと思います。
よく分からないウィルスが蔓延し、リアルな世界だけではなくってインターネットという仮想空間で人がつながることができるようになり、価値観は多様化して、多様化した分複雑化していってて、でもそこに拗れが生まれて。
 
 
難解な世の中になっているんだろうなぁ、という感覚を憶えながらもそれでもその中で生きていかなきゃならないので、乗りこなし方を考えながらそれぞれが生きている、みたいな。
 
 
そんな時代にこれが正解、なんて言えるものはなくって、ここでは正解と言われるけれど向こうでは不正解と言われる、みたいな中で、一体何を信じて生きていけばいいか分からなくなる。
そんな感覚ってもはや誰の気持ちの中にもうっすらとあるんじゃないかと思います。
 
 
 
その「一体何を信じて生きていけばいいのか」という事についての話です。
 
 

昨日までの正解が今日は不正解になってしまうスピードの時代に、僕らの判断軸に「絶対」というものはどんどん少なくなっていって、あらゆることが「相対的」になってしまっています。
ちょっとネガティブに言うと保証がないんです。
 
 
そんな中で「信用」ってものの意味はすごく大きく重くなっているように感じてならないんです。
「正解」に保証がなくなったんだから、僕らは何に依っていくかというと、もはや「自分にとって信じられるかどうか」という感覚でしかないというのはそんなに間違っていないと思います。つまり信用です。
 
 
でもその信用、というのも難しい。
だって、真実すらも見えにくいんですもん。
写真すら加工できる時代です、匿名で誰だか分からない人だけど実在はしている人がネットの世界でものを言っていたりする時代です。VRなんか持ち出された日には実在と仮想の区別すら曖昧になってしまいます。
 
 
そんな中じゃ誰だっておいそれと何でも信用はしにくいに決まっています。だからこそ信用の価値が高まっているんだろうなぁ、と思っていて。
 
 
正解というものがはっきりとなくって、真実が何なのかも分かりにくい中で僕らは一体何を根拠に信用をするのか、というと、見栄えの良さでもなく耳障りのいい謳い文句でもなく、もはや良し悪しですらないのかもしれないです。
つまり、
 
 
嘘がないこと
約束や期待が裏切られないこと
矛盾がないこと
 
 
くらいなんじゃないでしょうか。
  
 
 
これは人においても同じです。

 
利用者さんの支援の受け入れをさせてもらった時、新しいスタッフさんの採用に関わる時、外部で仕事のお付き合いをさせていただく時最近得に痛感することがあります。
 
 
最初から完璧に信用がない人なんていないんです。
逆に最初から信用がめちゃくちゃある人もいないんです。
 
 
印象や先入観はあるので、好き嫌いは生まれるでしょうが、信用については大体半信半疑なところから始まります。
信用できそう、できなさそう、くらいですよね、最初は。
 
 
僕らの信用の有無を決めていくのってその後の行動です。 
 
 
嘘がなく、約束している期待を裏切らず、矛盾のないことをしていたら、その結果がどうであれ人の信用は増えます。
逆に、嘘ばかりで、約束している期待は叶わず、言動に矛盾ばかり生じていたら、その結果がどうであれ人の信用は下がります。
 
 
 
僕がきちんとできているなんて思いませんが、利用者さんの支援に関わっていくときに、いきなり支援って始まりません。まずは信用を得ることから始めます。
つまり、嘘なく、約束していることを守り、矛盾を生じないように努めること。
もちろん最初だけやればいいものではなくて、これはずっと続くことです。
 
 
どんなにいい支援ができるとしても、利用者さんが信用していない限り何も伝わりません。
支援者の言動に嘘や矛盾が多くあればそこに説得力が生まれないからです。そして約束を守らなければこれも結局嘘になります。
 
 

余談ですが、就労移行に見学に来られたときに僕は「就職させます」なんて約束はしません。僕だけの努力で負えるものではないからです。
営業としては下手くそなのかもしれませんが、耳障りのいいだけの謳い文句は言わない事にしています。
自分が嘘も矛盾もなく、本当に負える約束を提示します。 
決してバンバン一般就労に送り出せている事業所でもないし、福祉的就労に進路を向ける方もいる事業所なのでそれもお話しします。
 
 
マネジメントをしていく上でも同じです。
信用を得ることがまずやらなきゃいけないことです。
やると言ったら必ずやる。逆に確約も責任も持てないことを言わない。
自分が間違っていれば謝るし、耳障りが良くないことも表現は考えますが言う。
 
 
嘘なく、約束を守り、矛盾を生じさせない。
 
 
どんなに優秀なマネジャーでも、スタッフに信用されていない限り耳も心も傾けてくれません。
だから戦略よりも戦術よりも何よりもまず自分が信用されるように振る舞うということが結局全てに影響するものになるんだと思います。
 
 
よく、「能書き垂れる前に行動しろ」的な指摘がありますが、これって意味は「行動しろ」じゃなくて、「信用を増やせ」という意味なんだと思います。口ばかりでは信用は上がらない、むしろ行動が伴わなかったら信用は減るから、行動して信用を上げなさい、と言われているような気がします。
 
 
ちょっと長くなってしまいましたが、正解も真実も見えにくい時代だからこそ、「信用できるかどうか」というものの価値が今とても急騰しています。なぜなら、嘘や矛盾のなさや約束を守る、ということの積み重ねが、相手の選択の正解になり限りなく真実に近いものに感じられるようになるからなんだと思います。
 
 
信用というものを積み上げているかどうか。僕自身も振り返らないといけないな、と思います。

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