マネジメントも支援も相手は「人」だよ
就労支援をしているんですが、僕にとって就労支援というのはどこかマネジメントに近い感覚を持っています。利用者さんを雇用しているわけではないので、 厳密には違うんですが。
僕にとってマネジメント、というのはつまるところ「人の価値の最大化と最適化」です。
こうやって書いてしまうとものすごくドライな感じがしてしまうんですが、要するにその方のことをどれだけよく知り、強みを見つけて引き伸ばし、その強みが生きる役割が果たせる環境を作るか、ということです。
もちろんそれだけじゃなく、本人が社会の中で困らないように必要なものは身につけられるようにお伝えしたり習慣化したり、ということも場合によっては行います。
指導、とか育成、とか言うとちょっと横柄だなと思うのであまりこういう表現は使いたくないな、と思っています。
マネジメント、と言うとえらくかっこいいものに聞こえたり、ビジネスライクな感じに捉えられるかもしれませんが、僕にとってはマネジメントというのは概念的に「支援」とほぼ同義なものです。
つまるところ、相手が一番輝いて生きていくためのサポートをするのがその役割なので、結構近いところにあるんじゃないかなぁと。
いわゆるマネジメント、と呼ばれるものも支援、と呼ばれるものも、突き詰めると人の生き方にある意味関わっていくものです。
何が得意で何が苦手で、何が好きで何が嫌いで、今までどんな経歴を経験してきて、どんなスキルがあって、みたいなことももちろん大事だと思います。でも、そういう表面的なことが本質なのではなく、実は大事なのはその奥にある背景だったりします。
得意なもの苦手なものは「なぜ」得意で「なぜ」苦手なのか、「なぜ」好きで「なぜ」嫌いなのか、今までの経験は「なぜ」その道を歩む事になったのか、みたいな事です。
それぞれいろんな理由や感情を抱きながら今までを生きていて、そして今を生きています。その中には悩みもあれば葛藤もあれば願望もあるし夢もあるわけです。
別にプライベートにどっぷり干渉するという意味ではありませんが、こういう人の感情とか思いみたいなものにも触れていくことが重要になります。
それらを踏まえながら本当に本人が一番いいパフォーマンスを発揮して生きていける、もしくは仕事に従事できるためにはどうしたらいいか、ということを考えます。
仕組みで解決出来うることなら仕組みを組み立てていくでしょうし、問題解決が必要であれば可能な限りでその問題解決の方策を考えたり、場合によってはそれを助けたりもするかもしれません。
シンプルにその人の進む道筋を整えることで迷いや悩みがなくなるのならそうするでしょう。
逆に、間違っていることをその人がしていればきちんと伝えることも必要ですし、それが会社であれば場合によっては必要な賞罰も駆使することもあるかもしれません。
そしてそのひとつひとつのマネジメントのアクションは、相手がきちんと腹落ちして受け取ることができるように伝えながら進めていくものだと僕は思っています。
だからマネジメントと支援というのは共通点が多い概念だな、という理解を僕はしています。
もちろんマネジメントというものの捉え方も考え方も様々だと思うので一概に全てが共通しているわけではありませんが。
そんな仮説を踏まえて、僕にとってはスタッフのマネジメントも利用者さんの支援も、内容はもちろん違いますがそんなに違う感覚では捉えていません。もう少し踏み込んで、誤解を恐れずに言うと、自立されている方のマネジメントやケアすら出来なくて、生きづらさを抱えている人の支援なんてできるわけないじゃん、と思っています。
マネジメントも支援も、人にしっかりと向き合い、人を深く知って、その人を責任もって前に進めることが役割です。特に僕らは人の専門職ですから、少なくとも人を扱う、という事に関しては僕らはプロなので、福祉的な支援に限定してそれが発揮される、というのはなんだかおかしくないですか。
ちょっとおこがましいのかも知れませんが、支援者というのは人のプロでありたいと思っていて、あって欲しいと思っています。
もしそれが叶ったら、もっともっと福祉の経営母体、というのはいいチームがたくさん生まれるのにな、と。