雇用や福祉的就労だけが「障がい者の就労」じゃない
今日は朝からほぼ半日、就労移行を卒業して現在一般就労をしている利用者さんの「あるお手伝い」をしていました。
うちから一般就労をして障がい者雇用の中で働いていたのですが、仕事に慣れて来るに従ってしばしば情緒を乱すことがありました。
単純な原因だけを上げれば、「作業内容と本人の個性とのミスマッチが段々生じてきた」事と「そのミスマッチの状態での勤務時間の長さ」です。
就労当初から先々のキャリアアップも考えていこう、という前提で就労させていただいていたので、それはそれである意味想定内のことだったんですが、肝心の次のキャリアアップについての具体的な方向性は長らく定まっていませんでした。
ライフステージの変化があったというところもあって「それが落ち着いてから考えよう」ということにしていたのですが、ご本人の中ではそこを考えるよりも「しんどさ」の方が強くなってしまっていました。
選択肢はいくつもありました。
本人の個性とのマッチングを見直した転職支援、一旦退職して就労移行に戻る、どうにか配慮を得ながら続ける、など。
もちろんどれが正解だなんて言えませんし、選択としてどれが不正解とも言えません。
どの支援もやろうと思えば出来ますし、ご本人もそれを求めていたと思います。
でも、支援者として、それを安易にはできないと思いました。
なぜなら、そこに本人の「生き方」への意向が全く反映されないと思ったからです。
あまり優しくない支援者だと思います、我ながら。
ただ、人生で初めての就労を無為な「失敗体験」に落とし込んでしまうことを支援者としてすべきではない、という風に思ったんです。
このまま安易な手を出すことで目先のしんどさは取り除かれるけれど、「やりきれなくてドロップ・アウトした」という思い残しを必ずすることになると思ったので、どういうカタチが前に向かう足がかりになるだろう、ということを必死で考えました。
なんせ本人は「しんどい」でいっぱいになっていたので、投げかけてはいたけれどとてもじゃないがそんな思考にはなりそうもないので。
改めてご本人と対話をしながら、「仕事」というものに何を求めているのか、ということを伺いました。
その上でひとつの提案をしました。
「自分のやりがい仕事を自分でつくる」という選択肢です。
もちろんやけっぱちで提案したのでもなければ当てずっぽうの苦肉の策でもありません。ご本人に一番フィットするんじゃないか、と考えたからです。
あまりここで詳しくは言えませんが、自分で資格を通信講座で取得し、SNSなどを使って自分で集客をして仕事の依頼を取り付けていく、というスタイルです。
もちろんそれ一本でやっていくわけじゃありません。「生活するための最低限の給料をもらうため」のお仕事は通常の障がい者雇用としてやっていこう、といういわば2足のわらじです。
副業、というほどのものになるのかどうかは分かりません。そもそもお客さんが付く保証もないので。
ただご本人にとっては、自分で切り開きながらスキルアップを目指していくことや、自分の腕がそっくりそのまま稼ぎに反映する、という性質の仕事がおそらくマッチしていると思ってはいます。
支援者として提案したのは自分なので、今日は半日SNS周りのアプリケーションの設定やら使い方やら、どういう風に使っていくかなど、ひとまずの活動のスタートラインは切れるような準備をお手伝いしていた、というわけです。
まだまだどうなるものかは僕にも分かりませんが、それでもどうやら間違いなさそうなのは、障がいを持たれた方の就労って、必ずしも福祉的就労と一般就労というだけの選択肢ではない、ということ。
そして僕ら支援者はその選択肢を排除した支援をしてはいけなさそうだ、という事です。
自分の振り幅ももっともっと広げなきゃいけない。
そんなチャレンジが始まった1日でした。