33.ペイオフマトリクス
33.ペイオフマトリクス
ペイオフマトリクスは、ビジネスの意思決定プロセスを支援するために使用されるフレームワークです。
このフレームワークは、特に多くのアイデアや選択肢がある場合に、それらを効率的に評価し、優先順位を決定するのに役立ちます。
ペイオフマトリクスを使用する際の基本的なステップは以下の通りです
①アイデア出し
問題解決に向けて、可能な限り多くのアイデアを出します。
②評価軸の設定
アイデアを評価するための2つの基準を設定します。
一般的には「実効性」と「実現性」が用いられます。
⚫︎実効性
アイデアがもたらす効果の大きさ(例:売上増加、コスト削減など)
⚫︎実現性
アイデアを実行するための難易度(例:コスト、時間、リソースなど)
③マトリクスの作成
縦軸に実効性、横軸に実現性を配置し、四つの象限を作ります。
④アイデアのマッピング
各アイデアをマトリクス上に配置し、その位置に基づいて優先順位を決定します。
四つの象限は以下のように分類されます:
★第一象限
実効性が高く、実現性も高いアイデア。これらは最優先で実行すべきです。
★第二象限
実効性が高いが、実現性が低いアイデア。リソースを確保し、計画的に実行する必要があります。
★第三象限
実効性が低いが、実現性が高いアイデア。簡単に実行できるが、効果は限定的です。
★第四象限
実効性も実現性も低いアイデア。これらは避けるべきです。
ペイオフマトリクスは、アイデアの評価基準が2つに絞り込めるときに特に有効です。
基準が3つ以上ある場合は、他のフレームワークを使用することが推奨されます。
注意点として、アイデアを出す作業とペイオフマトリクスを使って優先順位をつける作業は同時に行わないことが重要です。
同時に行うと、効果が大きくて簡単にできる方法を必死に考えようとしてしまい、アイデアが広がらなくなってしまいます。
また、各解決策は、なるべく具体的に表現することが求められます。
以下に具体的な事例を示します。
事例
新商品の開発プロジェクト
①アイデアの提案
チームメンバーから「新しい健康飲料を開発し、市場に投入する」というアイデアが出されました。
このアイデアは、健康志向の消費者層にアピールする可能性があります。
②ペイオフマトリクスの適用
効果
健康飲料市場は成長しており、需要が高まっています。
健康飲料の売上げが伸びれば、収益性が向上する可能性があります。
実現性
開発には専門知識とリソースが必要です。
競合他社も同様の商品を開発している可能性があります。
③評価結果
効果は高いが、実現性には課題があると判断されました。
プロジェクトの実行にはリソースと時間がかかるため、他のアイデアと比較して実現性が低いと言えます。
④結論
ペイオフマトリクスに基づいて、他のアイデアと比較して優先度をつけることができます。
他のアイデアと比較して、効果が高くて実現性が高いアイデアを選択することが望ましいです。
このように、ペイオフマトリクスを使ってアイデアを評価し、優先順位をつけることで、効率的な意思決定ができます。
事例
新商品のプロモーション戦略
ある企業が新商品のプロモーション戦略を立てる際に、ペイオフマトリクスを使用しました。
彼らは市場に打ち出す様々なアイデアを持っていましたが、どれを優先すべきかを決める必要がありました。
①アイデア出し
まず、SNSキャンペーン、割引クーポン、インフルエンサーとのコラボレーション、ポップアップストアの開設など、多岐にわたるプロモーションアイデアを出しました。
②評価軸の設定
次に、これらのアイデアを評価するために「コスト」と「影響力」の2つの軸を設定しました。
コスト
アイデアを実行するために必要な予算の大きさ
影響力
アイデアがもたらすであろう市場への影響の大きさ
③マトリクスの作成
コストを縦軸、影響力を横軸に設定し、四つの象限を作成しました。
④アイデアのマッピング
各アイデアをマトリクス上に配置しました。
結果、以下のような優先順位が決定されました。
★第一象限
(低コスト・高影響力)
SNSキャンペーン。コストは低いが、大きな市場への影響が期待できるため、最優先で実行することにしました。
★第二象限
(高コスト・高影響力)
インフルエンサーとのコラボレーション。コストは高いが、ブランド認知度の向上と大きな市場への影響が見込めるため、予算を確保して計画的に実行することにしました。
★第三象限
(低コスト・低影響力)
割引クーポン。実行は容易だが、影響力は限定的なため、他のアイデアと組み合わせて使用することにしました。
★第四象限
(高コスト・低影響力)
ポップアップストアの開設。コストと労力がかかる割には影響力が低いと判断されたため、このアイデアは見送られました。
このようにペイオフマトリクスを使用することで、企業は限られたリソースを最も効果的に活用するアイデアに焦点を当てることができました。
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