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【内省】執着にさようなら

私はたぶん、人より執着心の強い人間だった。
それが生まれ持ってのものか、育つ過程で培ったものかどうかはわからない。

子供の時の話。
出先の大きな公園できれいな葉っぱを大量に集めた。
私はそれを家に持って帰りたくなって、母にお願いして、葉っぱを持って車に乗った。

車が出発する。

同乗していた親戚のお姉ちゃんが、私が大切そうに眺める葉っぱの中から1枚取って、「捨てていい?」と言って捨ててしまった。
黄色い、小さな葉っぱだったと思う。

彼女が葉っぱを捨てた瞬間、私は絶望感を覚えた。
走る車から落ちた小さな葉っぱなんて、もう探しても出会えない。
泣いたかどうかは覚えてないが、葉っぱが彼女の手から離れる瞬間は覚えている。

子どもだったら、そういうこだわりみたいなものがあって当然ではあるかもしれないが、私が思い出せる1番古い執着の思い出だ。


大人になってからは、葉っぱよりもずっと大切な、人間関係というもの持つ。
だけど私は何度も、この後ろ向きな性格のせいで、せっかく育んだ人間関係を壊してきた。

それなのに、もしかしたらいつかまた会えるのかもしれない、と虫のいい期待をする。
もう何年も、思い出に執着し続けている。

もちろん、連絡をとったりなんかはしない。
相手もきっと、私がそんなことを思っていると知ったとしても迷惑だろう。


また虫のいいことを思ったとき、私は「さようなら」ととにかく心の中で唱え続ける。
過去の友人たちに執着し続ける限り、私の内省は意味を成さない。

まずは、一番古い執着の思い出から。
黄色い小さな葉っぱくん、さようなら。

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