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【箸休め】 〜山田直輝という人①〜
ここまで、夫である山田直輝のサッカー人生について、彼の視点で綴ってきた。思いの外多くの方にお読み頂けているようで、ありがたい限りである。
執筆は、夫のこれまでの言動や、彼の家族との会話を下に、夫を自らに憑依させ書き進めてきた。
そして一通り書いた後に、夫や関係者へ内容に誤りがないか、伝えたい思いはないかを確認し、加筆・修正をした上で投稿している。
ただ、私は元々イタコのような仕事は行っていないので、いくら夫といえども、憑依させるのにはそれなりに体力をつかう。
その為、今回は私の言葉で、夫・山田直輝を語る回とさせて頂きたい。
ちょうど読者の方から、私達の出会いについてのご質問をいくつか頂いていたので、そこにも触れていこう。
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夫との出会いは、小学6年生の冬だった。
その日は体育の授業の一環で、学校対抗のサッカー大会があり、隣の小学校から彼が来ていた。
当時の私は、まるでサッカーに興味がない上に薄情者だったので、「ナオキっていう凄い奴が来る!」と、噂には聞いていたものの、男子の試合にはろくに声援も送らず、砂遊びに夢中だった。
大会終了後、校庭のど真ん中にコートが落ちていた。
どうやらこちらの生徒のものではないと分かり、私は友人と共に「こーれダレの〜!落っとしっもの〜!」と、軽快な歌声とスキップを披露しながら、相手の陣へ派手に登場してみせた。すると、小柄な少年が駆けてきて、慌てて私の手からコートを奪うなり、御礼も言わず去って行ってしまった。
やがて春がきて、私は中学生になった。
すると、隣の小学校から進学してきた女子達に、「A子ちゃんって、あの時山田君にコートを渡していた子だよね?」と、怪訝な顔で聞かれた。
どうやら御礼も言わずに去ったあの少年が山田直輝クンで、運動神経がよければモテるという、小学生のド定番のルートを、そのまま歩んでいたらしい。
親切を働いたのに御礼も言われず、挙句、他校の知らぬ女子達から反感までかうハメになり、入学早々、私は山田直輝クンに苦手意識をもつようになった。
その後も、面倒くさがりの私は朝の全校集会が大嫌いだったのだが、彼は毎回と言っていいほど、サッカーの功績を称えられ表彰されていたので、朝会を長引かせる張本人のようにさえ思っていた。(今振り返ると、私は本当に薄情者だった)
それがどういうわけか、
時を経て結婚相手となったのだから、人生とは分からないものである。
交際を始めると、彼はよく「バレーボールしようよ!」「バトミントンしようよ!」「サッカーしようよ!」と誘ってくれた。
私には男兄弟がいないので、男の子とはそういうものなのかと自分を納得させていたが、偶然その場に居合わせた、阪野豊史選手(レッズユース同期)から、未だにそれをネタにされるので、やはり少し変わっていたのだろう。
なかでもサッカーの頻度は高かった。
私の運動神経は絶望的なソレらしく、「A子はこれを極めろ!」と、彼はひたすら“ペンギン”という、きたボールを両足で挟んで止めるだけの技(?)を私に教え込んだ。
それが出来るようになり、私はなかなか得意気でいたのだが、いざサッカーの試合を観に行くと、誰もそんな足技は使っていないのだった。
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ボールを止める、技とも言えない技
また、夏になり蝉達が騒ぎ出すと、彼は毎年浮き足立つ。
近くに登れる木があれば、彼はすぐに蝉を捕まえに登り出すのだ。やっぱり、少し変わっているのかもしれない。
彼は、やれ、今の鳴き声はなんとかゼミだの、ほにゃららゼミだのと教えてくれる。しかし、興味のない情報は一向に脳へと落とし込まれないもので、蝉に関する私の知識は、全く更新されないままだ。
最近の彼の悲しみは、ヒグラシとツクツクボウシが近所から減っていることらしい。彼によれば、近年はアブラゼミとミンミンゼミとクマゼミの声しか聞こえてこないという。
あれだけ蝉達に会うのを心待ちにしていた彼を想うと、またそのナントカという名の蝉が増えると良いなと、私は無力にも願わずにはいられない。
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そういえば先日、とても大きなカマキリがいたので、夫が喜ぶかなと、息子と一緒にそのカマキリを捕まえて帰った。するとやはり、夫は大喜びで、カマキリの餌となるバッタや蝶を捕まえてくるのが日課となった。
しかし、そのカマキリが2つも卵を産んでしまい、多ければそこから400匹もでてくるというから、私は自分のしたことを心底悔やんでいる。(今更彼がその卵を手放すことはないだろう)
…と、なんだかここまで、夫に対する愚痴のようになってしまった。仕切り直して次回を書こうと思う。
⭐︎また関心のあるテーマがあれば、是非夫のSNSを通じてお知らせください!いつもありがとうございます!⭐︎