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音楽80s自分史 051 「Band Aid/Do They Know It's Christmas?」

メリークリスマス🎄♬
今日はクリスマス・イブ。
それとともに、046「ブリティッシュ・インベイジョン」で公約した?、ゴールの日でもあります。

1981年のMTVスタートがキッカケで勃発した「第二次ブリティッシュ・インベイジョン(BI2)」および「英米音楽戦争」は、1984年前半までの迎撃戦略が功を奏し、米国が劣勢を跳ね除け、イギリス勢が得意とした「シンセポップ」で、はじめて創設された「MTV 最優秀ビデオ賞」「MTVアウォード」をカーズが受賞したことで、アメリカのリベンジが成功し、米音楽業界に3年ぶりに平和が訪れました… と僕は感じてました。

しかし、それはほんの束の間のことでした。

な、なんと、カーズが受賞したすぐ後に、米側の「夢の共演戦略」をはるかに凌駕するスケールの共演… 「オールスターによる団体戦」を英側が仕掛けることになります。

84年の12/3にリリースした、バンドエイドによる『Do They Know It's Christmas?』がそれです。

そのインパクトは凄まじく、お世辞抜きで、当時は、80年代最大のものでした。

参加したのは、当時のイギリス勢のリーダー的存在だったデュラン・デュランとカルチャークラブを筆頭に、フィル・コリンズ、U2、ワム!、ポリス、クール&ザ・ギャング、スパンダー・バレエ、スタイル・カウンシル、バナナラマ、ビッグ・カントリー、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド、ポール・ヤング、ヘブン17、マリリン(他、もれがあるかも… )という、当時のイギリス音楽シーンのオールキャストに加え、発起人のボブ・ゲルドフとミッジ・ユーロのグループであるブームタウン・ラッツとウルトラヴォックスでした。

レジェンド的存在のポール・マッカートニーとデビット・ボウイもメッセージコメントを寄せました。

マーベル・シネマティック・ユニバースの28年前に、アベンジャーズ(復讐者)がアッセンブルしていたわけです。

悲しいことに、僕が愛するQueenは、このプロジェクトに(この時は)声がかかりませんでした😢

この豪華メンバーが11月のある日集結し、わずか1日で録音されたと言われています。
指揮し、作品としてまとめたプロデューサーは、トレヴァー・ホーン。

042「1979」の回で書きましたが、1979年にピンク・フロイドの『アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール Part2』のヒットとともにプログレッシブ・ロックを含む70sのムーブメントが幕を閉じ、シンセポップである『ラジオスターの悲劇』で新時代の幕をこじ開けたバグルスのメンバーの1人です。

『ラジオスターの悲劇』から1984年の間、彼は、フロントマンの他にアレンジャー、エンジニアとして、プロデューサーとしての仕事もはじめていました。
彼は、ABCの『ルック・オブ・ラブ』、
◯ABC / The Look Of Love(1982)

YESの『ロンリー・ハート』とそれを収録するアルバム「90125」を大ヒットさせました。
◯YES / Owner of a Lonely Heart(1983)

この曲のイントロで聴ける、オーケストラが一斉に楽器を鳴らしたような「ジャン!」というインパクトのある音は、「オーケストラル・ヒット」と呼ばれ、当時の最先端の機材でホーンが作り出し、90年代のJ-POPを含め、長い期間、幅広く、音楽業界で愛用されました。

また、自身のレーベル「ZTT」を立ち上げ、アート・オブ・ノイズやグレイス・ジョーンズ、ドイツ出身のプロパガンダに加え、1983年 にFrankie Goes To Hollywood (FGTH)をプロデュースし、ヒットさせ、一躍、時の人になっていました。

◯ Frankie Goes To Hollywood /Relax(1983)

◯ Frankie Goes To Hollywood /Two Tribes (1984)


発起人のひとり、ボブ・ゲルドフのグループであるブームタウン・ラッツも、同じく1979年に、アメリカで発生した少女による銃乱射事件をモチーフにしたセンセーショナルな話題曲『哀愁のマンデイ』をヒットさせてました。
◯The Boomtown Rats / I Don't Like Mondays(1979)

僕の認識では、ブームタウン・ラッツは一発屋でしたので、なぜ彼らがイギリスの当時のトップアーチストを集められたのか、とても不思議でした😅

もう1人の発起人のミッジ・ユーロに関しては、彼個人としては認識したことがなく、ウルトラヴォックスについては名称こそ知っていましたが、彼らの曲は一曲だけしか知りませんでした。
◯Ultravox / Dancing With Tears In My Eyes(1984)

誰もが知ることですが、バンドエイドは、実際はイギリスによるアメリカへの復讐という俗っぽいものではなく、かつてない規模の飢餓におそわれたエチオピアの人々に対して、世界中の人の力を結集し、募金により食糧を届け、彼らを救済しようという、地球規模のプロジェクトでした。

アメリカを一変させたイギリスは、今度は世界を変えようとしたんですね!

"feed the world"(世界に食糧を)というわかりやすいメッセージが核の『Do They Know It's Christmas?』ですが、歌詞は物議を醸し出すような内容と言われています。

もっとも懸念されたのは、U2のボノが歌い上げる象徴的なパートのフレーズ"Well tonight thanks God it's them instead of you"で、「飢餓の犠牲者が、君ではなく彼らだったことを、今夜、神に感謝しよう」という意味だそうです。

とはいえ、ガチでやるには、建前でなく本音をさらすことと考えたようで、ボブ・ゲルドフが考えた詞がそのまま反映されたそうです。

そんな『Do They Know It's Christmas?』も今年で40周年になるようで、あらたなリミックス版がリリースされたようです。

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