『怨霊が棲む屋敷 呪われた旧家に嫁いだ花嫁』 第9話
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第2章 押し入れにひそむ多佳子2 跡継ぎを産むだけの女
離れの部屋で眠っていた雪子は、ふと、何かの気配を感じて目を覚ました。枕元に置いた時計を見ると、午前二時を過ぎている。
辺りは静かで、物音どころか虫の声ひとつ聞こえない。
どこからともなく、ひやりとした冷たい風が流れ込み、雪子は両腕で自分の肩を抱き身を震わせた。
季節はそろそろ初秋。
山奥にある孤月村も、かなり冷え込むようになってきた。だが、冷たさは気温のものとは別のような気がして、雪子は