伊月一空の心霊奇話 ーそのいわく付きの品、浄化しますー 第47話
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第3章 呪い人形11 人間国宝が手がけた
骨董屋『縁』に以前やってきたあの母娘が再び訪れたのは、藤白五十浪の工房から帰ってきてから五日後のことであった。
もう来ることはないだろうと思っていただけに、店に現れたときは驚いた。
母親の方もあの時、娘の手を引きそそくさと店から去って行ったことに対して何かしらの感情があるのか、紗紀の顔を見るなり苦い笑いを浮かべ会釈してきた。しかし、子どもの方は、そんなことなどまったくおかまいなしに、
「よかった。まだお人形