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【詩】弱点

僕はA Iの弱点を知っている
 
ここに僕が一つの図形を描く
フリーハンドで
 
それは 滑らかでないし
色もチグハグだ
 
上手く描けるまで
いつまでかかるか 分からない
 
一生 描き続けても
終われないかも知れない
 
AIなら
 
瞬時に百個描いて
コピペすれば
一万個になる
(綺麗に 完璧に)
 
ここに弱点がある
 
AIにゆっくりはできない
 
僕   は
ゆ   っ   く    り    と
描   く
 
想像した君の息と
眼差しを 感じながら
 
図形は 
膨らんだり 縮んだり
開いたり 閉じたり
する

何かになろうと動き回るけど
寄り道して 戻って
また進んで また戻って

と つ ぜ ん 
しゃがんで跳ねたり

空を見上げて ぼうっと
する すると
  
途中で
蝶が飛んできて 留まったり
古代の月が 光らせたり
 
老人が杖を動かして
解読しようと覗き込んだり
 
子供が拾い上げて 
人差し指で くるくる回したりする
 
赤ん坊は きっと
涎を垂らして 舐めるし
 
女の子は ブローチにして
モヘアのセーターに着け
 
お婆さんは 小さな木の箱に入れて
占いの道具に
 
尺取り虫は 
その上を歩こうとし
 
出来立ての国の王様は
自国の紋章に決め
 
クリエーターは
ゲームの武器のアイデアに
 
嵐で地中に埋もれ
何世紀も経ち
 
ある日 誰かが発掘して
異星人との交信の記録だと
証明するかも知れない
 
でも 
僕は 信じている
 
図形は
いつかきっと
完成する 
(それは夢だ)
(それは歓喜だ)
 
だ ろ う

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