【詩】雨
雨が喧騒で滲んだ街を洗い流す
雨は周りを音だけにして
音が静寂を消し
負を等間隔に並べる
絵画のように単調な風景
単調とは短調でできていて
少しも綺麗でないのに
決して近づかない怖さと背中合わせだ
さまざまに語るその場所が 一と終わりのあいだに間を作る
泡のように揺れて 透明な感情 そして歌が戻ってくる
雨のリズム 不躾で冷たくて
土足で輪を 街というカンバスに
刻印してゆく
無限に続く縁を描く円のサークルは
儚くてすぐ消えるが
誰も しばらくは忘れない
跳ねて静かに眠る雨
服も心も濡らす雫