見出し画像

【5/13 加筆・訂正】猫のシェディング対策

 少し間が空いてしまいましたが、猫のシェディング対策として私がおすすめする方法を、予防と症状が出た場合の対応の二つに分けて記載します。
 猫の新型コロナ症状やシェディング症状がどんなものかは前回の記事に書いていますので、ご参照ください。
 原因不明の猫の不調に悩んでいる方の参考になれば幸いです。


猫のシェディングの予防法

 コロナウイルスもシェディングも、基本的に家の外から持ち込まれます。
 ですから屋外に出ている猫の場合、どこへ行ってどんな人と接触するか分からないため予防は難しいのですが、室内飼いの場合は、人間が気を付けることでかなりシェディングを防げます。

室内飼い猫向け 七つのシェディング予防

  1. 猫をできるだけ屋外(または自宅敷地外)へ出さない

  2. 猫の免疫力を高める

    • 猫用乳酸菌サプリなどを与える(その猫に相性の良いものを選ぶ)

    • ブラッシングやマッサージなどのボディケアをこまめに行う

  3. 人間(飼い主とその家族)は外出着と室内着を分け、猫が普段いる部屋に外出着を持ち込まない。バッグ、帽子等も同様。

  4. 人間は、外出時は髪をまとめ、帽子をかぶって、頭髪にウイルスやシェディングの残留物が付着しないようにする。

  5. 人間は外出から帰宅したら、猫と接触する前にすぐに着替えをし、手洗い、うがい、洗面をする。(私は洗面の際に眼鏡も洗います)

  6. 買い物袋等は猫のいる場所に持ちこまない。購入品は念のため3~7日放置してから使用する。

  7. 外出した日は必ず入浴し、洗髪するように心がける

 これを毎日全て行うのは難しいかもしれませんが、普段から気を配るだけでもかなり違います。
 特にマッサージは血行をよくしますし、日常的に飼い主との触れ合いがある猫は長命になるというデータがあることは有名ですよね。

 昨年、うちの猫は食事も食べられなくなって体重が半分ほどになってしまい、その際にはいろいろと覚悟をしたほどでしたが、こうした対策をするようになってからは症状をぶり返すことがなくなって、かなり元気になっています。

屋外へ出る猫の場合

 シェディング予防のためには室内飼いにすることをお勧めしますが、どうしても外に出たがる猫もいるかと思います。

 屋外に出る猫の場合、猫自身の体にウイルスやシェデイングの原因物質が付いていることが考えられます。
 猫が家に戻ったら、ぬらして絞ったタオルで足裏と全身を拭いてあげると、ある程度の予防になるのではないかと思います。

 また、犬の場合も同じように、散歩から戻ったら体を拭いてあげるようにするといいのではなでしょうか。
 ブラッシング(マッサージ)や犬用乳酸菌なども免疫アップ効果があると思います。

予防的にイベルメクチンを与える

 ここでは寄生虫予防に使うときのイベルメクチンの与え方を参考にして、予防的にイベルメクチンを与える方法をご紹介します。
 猫にも個体差があります。特に子猫に薬を与えるときは十分に注意をしてください。
※生後9週までの幼猫にイベルメクチンは禁忌とされています。

<投与量>

  • 猫の体重1kgにつき24μg(体重4kgの猫で約0.1mg(0.096mg))を月に1回与える

 よくイベルメクチンはほとんど副作用がないと言わますが、猫や犬の場合、イベルメクチンを大量に飲ませると、下に挙げたような副作用を起こします。
 自宅で飲ませる場合、特に人間用を細かく割って使用しなくてはならない場合は、与える量に注意してください。

 ※人間用の薬量自体が多く、割って与えるとしても計量が難しかったり、薬に使われている添加剤が猫・犬に合わないことも考えられます。猫用、犬用のイベルメクチンを購入しておくことをお勧めします。

<副作用>

 以下の症状が出た場合、すぐにイベルメクチンの投与を中止して、信頼できる動物病院へ連れて行ってください。
 運動失調とは、歩いたり走ったりがうまくできなくなったり、ふらつきがあったりと、体を動かすときのバランスが取れなくなることを言います。

イベルメクチン中毒症
ほとんどの猫は高用量のイベルメクチンにうまく対処しますが、2.5 mg/kg を超えると通常の健康な猫でも臨床症状が見られることがあります。 運動失調、散瞳、嘔吐の臨床症状が見られる一方、5 mg/kg を超える高用量では、震え、失明、発作、呼吸不全、昏睡が見られることがあります。

猫におけるイベルメクチンの毒性 | VETgirl 獣医継続教育ブログ/

副作用
運動失調、行動障害、脱力、元気消失
振戦
散瞳、失明
流涎
下痢
昏睡、死亡
コリー種(MDR1遺伝子変異をもつ個体※)では特に副作用がおきやすい

薬物相互作用
高用量イベルメクチンとスピノサドの併用で重度の副作用が報告されている。

主な注意事項
犬糸状虫成虫が感染している状態で投与すると、ショックを起こすことがある。

3カ月未満の子犬への投与は避ける。
コリー種(MDR1遺伝子変異をもつ個体)では遺伝的に副作用が起きやすいため、注意が必要である。

ペットのお薬ノート イベルメクチン

ボーダーコリーやシェットランドシープドッグ、オーストラリアンシェパードなどは特に注意

猫のシェデイング症状の対策

 もしシェディング症状が出てしまったら、次のことを試してみてください。
 ※病院で他の病気ではないことを確認してもらうことも大切です。

  1. マッサージやブラッシングで血行をよくする

  2. 食べやすく消化しやすい餌を用意する(カリカリは粒を砕く、ウェットフードは乳酸菌入りを選ぶなど)

  3. 食事を摂らない場合、ミキサー等で作ったペースト食(市販品もあり)を与えてみる

  4. 十分な水を用意する(シェディングを受けると、大量に水を飲むようです。毒素を排泄するため?)

  5. イベルメクチンを飲ませる

    • 猫の体重1kgにつき200~300μg(体重4kgの猫で1~1.5mg)を1回与え、1週間ほど様子を見る

    • 症状によって、再度飲ませる(治っていたら不要)

    • 用量が多すぎなければ、翌日、または1、2日あけて飲ませても副作用はほぼ出ない(ただし、個体差に注意)

    • 上記のとおり、大量に飲ませると副作用が出るので、量と頻度に注意してください

  6. お灸をする(haumeaさんより情報をお寄せいただきました)

 haumeaさんのお話では、飼っておられる猫さんが血栓を排泄した後に、日をあけて二回ほど、腰骨のあたりにお灸をしたところ、元気を取り戻したとのことです。

膀胱炎かもしれませんと言われたが 熱はないので それも どうかと思った。抗生物質が処方され帰宅した。
それから 2日後 15cmぐらいの長さの血栓が 吸収パッドの上にあった。
おしっこをしたときに出てきたらしかった。が その長さに 驚いた。
そして 寒そうにしているので 仕事で使っているお灸を 二日ぐらい してあげた。
すると その後 食欲が増し、具合の悪い時は 足腰もふらついていたのに
走り回って おしっこをしたのを知らせたり 台所のテーブルの上にもジャンプできるようになった。毛艶も良くなり 毛量も増え あの具合の悪かった時が 嘘のように 活発になった。

猫の血尿と血栓

 意外と猫はお灸が好きなようです。
 個人的見解ですが、猫は植物の毒に弱いイメージがあります。様子を見ながら、安全に配慮してやってあげるといいかなと思います。

 高齢猫にマッサージとお灸の施術をしている動物病院の動画と、ペットのお灸について書いているブログがありましたので、こちらもご紹介します。


【加筆と訂正】イベルメクチン投与について

*複数回投与の期間(日数)について

 最初にイベルメクチンの再投与を1週間あけると書いたのは、疥癬治療時の投与方法を参考にしてそのまま記載してしまったためです。

 確認しなおしたところ、健康な成猫の場合、体重1kgあたり2.5mg以上の投与で副作用が出るということでした。
 ということは、体重4キロの健康な成猫では、10mg以下なら副作用が出ないことになります。
 もちろん猫それぞれに個体差がありますし、病気の時は体全体が弱っているので、10mgもの量を飲ませるのは現実的ではありません。
 ですが、1回の投与量を倍にする(体重4~5㎏で1.5mgのところを3mgなど)とか、少し薬の量を減らして翌日も与えるとか、その程度であれば安全だと考えられます。

 私の経験では、一度1mgを飲ませた翌日と翌々日に、再度1mg程度を飲ませても、副作用は出ませんでした。
 2~3日程度であれば、連続で飲ませても大丈夫ではないかと思います。
量には注意してください。

*幼猫への影響/生後9週までは使用不可

 また、猫用イベルメクチンの医師向け説明文書では、生後9週までの幼猫の場合、薬の成分が脳関門を通る可能性があるため、使用不可とのことでした。

 イベルメクチンと同じマクロライド系で幼猫にも使える駆虫薬があり、動物病院でもよく幼猫に使われているようです。
 しかし、こちらの薬のシェディングへの効果は不明なため、ここでの紹介は控えることにします。
 また、なぜ同系列の薬の一方が脳関門を通過して、一方が通過しない(使用OK)のかが、ちょっとわかりませんでした。

 とはいえ、幼猫の場合、シェディングが原因で急死(突然死)するという話もあります。
 イベルメクチン以外では、グルタチオンがいいという話も聞きますので、猫用グルタチオンサプリをあらかじめ入手しておかれるのも良いのではないかと思います。

 いろいろと難しいところですが、飼い主さんそれぞれにご判断いただいて、少しでも後悔なく、小さなご家族とともに健康でいてくださることを願います。


いいなと思ったら応援しよう!