白和えの魅力を再認識―和のスーパーフードで作る「白和え」と「テリーヌ&ディップ」!
白和えって、これまであまり気に留めたことがありませんでした。
母が作る白和えにどんな具が入っていたのかもうろ覚えで・・・確か人参とこんにゃくが入っていたような・・・。ひじきやほうれん草入りも、どこかで食べたことがある気がするのですが、いずれにしても、ペースト状になった豆腐の中に、くたっとしたほうれん草や柔らかく煮た人参やフニャっとしたこんにゃくが入っているのが、私としては食感的に??という感じ。
私もごくたまに固めの柿で白和えを作ることもありますが、それはそろそろ食べ頃かなと思って切った柿が思いのほか固かった、という時の消極的な消費レシピに過ぎませんでした。
そんな私の白和え観を変えてくれたのが、ある日本料理店で食べた白和え。お品書きには「柿の白和え」とありましたが、柿のほかにも人参、枝豆、コーン、キノコ、三つ葉・・・そのほか覚えていないほどのたくさんの具材が細かく刻まれて入っていました。
それは、私の知っている「ぐにゃっ・くたっ」とした白和えではなく、異なる色々な食材の様々な味と食感が先に来る感じ。甘い、しょっぱい、コリッ、シャキッ・・・豆腐はそれなりの割合を占めているにもかかわらず、さまざまな食材をまとめるだけの控えめな存在に徹していて、一口ごとに異なる味と食感を楽しんでいるうちに、白和えの小さな器はあっという間に空に。早速、家に帰って白和え作りに挑戦したい気分になったのでした。
もちろん、長年の研鑽を積んだ料理人が計算し尽くして作った繊細な白和えには足元にも及びませんが、家にある食材の中から、豆腐のペーストに入れたら楽しそうな食感のものを入れて作ってみたのがこちら。
柿の代わりとして、いくら置いておいても一向に柔らかくなる気配のない固い洋梨を使ってみました。ほかに入れた具材は、ニンジン、コーン、枝豆、オクラ、くるみ、三つ葉。
枝豆とコーンは加熱しますが、人参、オクラ、三つ葉は小さく刻んで生のまま使います。具には醤油をほんの少しだけまぶしておきます。
クリーミーに仕上げたいので豆腐は絹ごしを使用。敢えて言うまでもないですが、豆腐の水切りは重要。水っぽくなったら台無しなので、備忘録として記載しておきます。
白ごまは買い置きがなかったので、ピーナッツペーストと隠し味に白味噌少々。水切りした豆腐に加えてクリーミーな状態になるまで混ぜます。
後は、全ての具材を加えてざっくり混ぜたら完成。
食材の歯ごたえがいい感じに仕上がったので、普段の夕食のレパートリーにしたい!そのためには、もっとぱぱっと作りたい!ぬか漬けの野菜なら下味をつけなくてもいいかも・・・ということで作ってみたのがこちら。
野菜は全てぬか漬けなので、加熱不要、下味不要、手間なしで作れるのがポイント。ぬか漬けの野菜は、なす、人参、オクラ。全て細かく刻みます。
しっかり水切りした絹ごし豆腐を潰して、ピーナッツペーストを少量加え、クリーミーになるまで混ぜて、刻んだぬか漬け、そしてこちらも固い洋梨を刻んで混ぜています。
写真では飾りに三つ葉を添えていますが、細かく刻んで入れると美味しいです。和の食材であるぬか漬けに合わせて、松の実も散らしてみました。
松の実の代わりにクルミでもいいですが、味見した家族によると、「松の実が美味しい!」とのこと。
食べていたら、これってディップにしてパンに付けても合うかも、と思いつき・・・白和えを洋風にアレンジしてディップを作ってみました。ドライいちじくを追加、三つ葉ではなくパセリを刻んで入れています。
ぬか漬け入り白和えディップは、バゲットを添えて洋風のオードブルとしてもおススメ。
サンドイッチにしても美味しいです。
こちらのサンドイッチのポイントは、きゅうりのぬか漬け。
しっかり漬けて少し酸味が出たきゅうりのぬか漬けは、ピクルス代わりになります。人参のぬか漬け、ドライいちじく、クルミも細かく刻んで加えました。パンに合うように、白ごまではなくヘーゼルナッツペーストを少々混ぜています。
挟み込む野菜はミニトマトとケール。バルサミコを少々振りかけて。バルサミコとザクロビネガーで漬けたラッキョウも添えてみました。
白和えディップがパンに合うので、調子に乗ってテリーヌにも挑戦。
なす、人参、オクラのぬか漬けは少し大きめにカット。くるみ、洋梨も入れて。ピーナッツペーストの代わりにヘーゼルナットペーストを加え、隠し味に白味噌少々。はったい粉(麦こがし)も少し加えることで固めやすくしました。きな粉でもOK。
全て混ぜたら、ラップをしいた型に入れて、冷蔵庫で少し冷やし固めます。
柔らかいので、ラップをしいておかないと取り出す時に崩れてしまいます。ラップをしいておけば、型をひっくり返して綺麗に取り出せます。
ぬか漬け入り白和えのテリーヌには、全粒粉バゲットを添えて・・・
刻んだオレンジピール(サマーオレンジと金柑のハチミツ漬)とバルサミコを振りかけたレタスのサラダ、バルサミコとザクロビネガーで漬けたらっきょうも添えてみました。
バルサミコとザクロビネガーのらきょう漬けについては、こちらの備忘録もご覧頂ければ嬉しいです!
*大葉の話がメインですが、自家製のらっきょう漬けについても語っています。
こうして、すっかり白和えに魅了されてしまった私ですが、最近作って家族に好評だったのが、さつまいもの白和え。
材料は豆腐、ピーナッツペースト、さつまいも、松の実だけ。調味料も不要で簡単に作れるのですが、美味しく作るコツがいくつかあります。
まずは、蒸し器でふかしたさつまいもを一口大にカット。さつまいもの半量は、水切りした豆腐とピーナッツペースト少々を混ぜたところに投入して完全にマッシュ。さつまいものホクホクした食感も欲しいので、あとの半量のさつまいもは潰し過ぎずに形を残します。ホクホクが美味しさのポイントなので、敢えて滑らかになり過ぎないように、ピーナッツペーストは控えめに。
さつまいもの皮を入れるのもポイント。ポリフェノールが豊富な皮を捨ててしまうのはもったいない!細長くカットして混ぜ込むことで、栄養も彩もUP! 最後に松の実を散らして、ざっくり混ぜ合わせたら完成。さつまいもと松の実って本当に合うんです!
そして、いつもの柿の白和えにもぬか漬けを入れてみました。
今回はゴボウのぬか漬け入り。ゴボウは食感を活かしたいけれど、泥臭さは繊細な白和えにはちょっと合わないので、超薄切りに。庭の三つ葉も彩として加えて。もちろん松の実も忘れずに。そして、ポインは秋ミョウガ!
最初は柿と三つ葉とゴボウのぬか漬けで作ってみたのですが、それぞれの食材の味と食感がバラバラに主張している感じがして、それを上回る存在感のミョウガを敢えて投入。ミョウガのシャキシャキとした食感と風味のおかげで、全ての食材がいい感じにまとまりました。
今回も味付けは特にしていません。しいて言うなら、白ごま代わりのピーナッツペーストとごぼうのぬか漬けくらいでしょうか。それぞれの食材の味や食感を楽しめて、自分で言うのも何ですが、美味しい!
ということで、白和えって、加える具材次第で意外にも簡単に作れることに改めて気づいたのでした。私の場合は、白胡麻を摺る代わりに、常備しているピーナッツペーストを使うことでほぼ定着。急いで何か1品作りたい時には、ぬか漬けを刻んで入れるだけ。そこに香味野菜やナッツやドライフルーツまたは果物をぱぱっと刻んで加えれば、彩も食感も楽しい。しかも、和風にも洋風にも使える万能選手!
考えてみれば、豆腐とぬか漬けって、日本が世界に誇るスーパーフードの組み合わせ!これからも旬の野菜のぬか漬けを使って、私の白和え探求は続きそうです。