実は僕の原点であるお方・・・手数王・菅沼孝三
前回記事で、村上ポンタ秀一さんを紹介させていただいた。
当時、ドラムスにはそんなに興味がなく、パーカッション(特にラテンパーカッションとマーチングドラム類)に興味が向いてた僕は、ポンタさんの衝撃的なサウンドを聴いたことで急にドラムスに興味が向いた。
しかし、前回記事で紹介した「打楽器キングス」のビデオは、ドラムスの奏法についてはまったく触れていなかったので、ドラムはほぼ初心者と言っていいレベルだった僕にはレベルが段違いすぎてレクチャー無しにはわからなかった。
それでも、しばらくはなんとなく耳コピしていたのだが、ある日それにも上達の限界を感じ、ちゃんと奏法レクチャーが入ったビデオが欲しくなったのだ。
加えて、「打楽器キングス」は当時の吹奏楽部の顧問の先生からの借り物だったので、どうせなら「自分でビデオを所有して気の済むまで何時間も見たい」と思うようになった。
そういう流れで「自分にとってお気に入りのドラム教則ビデオを探す」ことになったのだが、なにしろ当時の僕はまったくポピュラーミュージックには興味がなくて(実は今もあまりないのだが)、好きな音楽と言えば吹奏楽オリジナルかマーチングミュージックばかり。音楽好きという感覚はあるもののその感覚はまったく世間の流行音楽とは離れていた故、そういった音楽フィールドで活躍するドラマーの名前など、知る由もなかった。
どうしたもんかと思いながら「打楽器キングス」のビデオを見ていると、巻末にこのビデオの販売元であるリットーミュージックの他の教則ビデオの販促デモが付いていたことに気づき、それを見た。
その中に一際、僕の目に留まるビデオがあった。
「菅沼孝三・手数王」
(注:この動画は菅沼さんの3作目の教則ビデオ「帰ってきた手数王」より。このnoteで紹介しているのは初作の「手数王」のことだが、ネット上には公開されていなかった。)
「手数王」という、よく考えるとミョーーーな日本語だが、たった3文字でどんな方向性の教則ビデオかわかる秀逸なタイトル(※1)に、そのタイトルそのまんまのたった十数秒のすさまじいデモ演奏。
(※1 うろ覚えだが、大人になってから知った情報によると、当初のタイトル案は「菅沼孝三ハイパードラミング」だったが、ある日突然本人も知らない間に「手数王」というタイトルになっていたらしい。その日から菅沼さんは手数王の通称で定着した。)
なんか、ツーバスだし、タム4つあるし、シンバルがラックで上から釣ってあるし、、、このわけのわからない多点セットを縦横無尽に叩きまくる菅沼さんは僕にとって天にいる人のように見えた。
「この人の教則ビデオ、きっと難しいんだろうな、、、今の僕が買っても挫折するだろうな、、、。」
と思い、購入することを半分諦めていたが、どうしても心が惹かれたのである。
というのは、菅沼さんのドラミングには中2ゴコロを掴む要素が多分に含まれていたのだ。
ツーバスだし(※2)、4タムだし、シンバル上から吊ってるし、ヤマハドラムスだし(※3)、ラックシステムだし(※3)、テクニックすごいし、、、
(※2 当時、X japan が人気絶頂だったこともあって「すごいドラム=Yoshikiさん=ツーバス」という方程式が成り立っていた。)
(※3 僕が当時一番憧れていたドラムメーカーがヤマハで、吹奏楽部のドラムもヤマハだった。そして、当時のヤマハドラムカタログに、いわゆる「やぐら」と言われていたタイプのラックが載っていた。)
菅沼さんの名前が「こうぞう」さんなのか「たかみつ」さんなのか「孝三さん」なのか「考三さん」なのか、呼び方さえわからない状態で、僕の菅沼さんへの妄想は膨らむのであった(キュン。えっ!今思うともしかしてこれは恋だったのか?!)。
そして、ビデオ「手数王」を買おうか買わまいかウンウンと悩みながら、いつものようにヤマハドラムのカタログを開いた・・・当時の僕の愛読書はドラムのカタログだった・・・そして、巻末の方にエンドーサー(メーカーの広告塔となる代わりにそのメーカーを専属で使用する契約をしているドラマー)の写真を見ているとき、「あっ?!?!?!」となった。
ひときわ数多くのタムを並べ、トラディショナルグリップの左手を振り上げているところを映されているドラマーが居た。僕は数多くのエンドーサー写真の中でも、彼のグリップや構え方、そしてドラムセッティングが格好良いと感じ、お気に入りだったのである。
ローマ字表記の名前を読むと、「Kozo Suganuma」。。。
あっ!!!
手数王って、この人のこと?!?!
こまごましいことを言うが、当時の僕はマーチングドラムにはまっていたことも関係し、トラディショナルグリップ(いわゆる鼓笛隊の左手の持ち方)でのプレイを重視していた。なので、トラディショナルグリップについての情報がとても欲しかったのである。
「手数王と呼ばれるほどのテクニシャンがトラディショナルグリップで構えた写真でカタログに載っている!きっと、手数王のビデオではトラディショナルグリップでの実演がたくさん載っているはずだ!」
と想像した瞬間、購買欲はMAX、心の中で購入決定済みになった。
あとは、お金と、どうやって購入するかだ。
お金は、、、残っていたお年玉を使うことにした。
ビデオはたしか6,000円くらいしたと思う。当時の僕はけっこうゲーマーだったので、ゲームソフト一本分の値段に肉薄するその出費はなかなか覚悟がいるものだった。
購入方法は、、、どうしたんだっけか。
そもそも、ドラムの教則ビデオはどういうお店で売っているか知らなかった(札幌の大きめ楽器屋に行けば売っていたのだが当時はそんなことさえ知らなかった。)ので、「打楽器キングス」のビデオ付録のビデオカタログを見て、通販で購入したと思う。
そして、僕は中学生だったので、通販なんて一度も使ったこともなく、加えて、なんと親も通販は一度も使ったことがなかったはず(たぶん現在においても未だ親は通販を使ったことがない!)。
『通販なんて危険なもの、信用できない!』という思想を持った、今思えば奇妙な一家だった(通販ばかり利用していた僕の12歳上の姉を心配していた。)。20数年後には、Amazonをはじめとする通販が幅を利かせて小売店がバンバン潰れて行く世の中になっているなんて思いも寄らなかったろうに。
どうやって注文したんだっけか?
電話するのがあまりにも怖くて(電話をする度、深呼吸して、喋ることをメモして、ダイヤルを回す(←現代の若者よ、「回す」の意味がわかるか?)練習をして、、、くらいやらないとかけられないほどの電話嫌いだった。。。実は電話嫌いは今でもあまり変わらない。)、ハガキ送ったような気がするな。で、返信されてきた振込用紙で料金を払った気がする。
今、思えば、電話注文してすぐ振込で払えば2~3日で届いたものを、そんな手間かかるっことをしたので、実際にビデオが手元に届くまで数週間かかった気がする。リットーミュージックさんも、北海道の田舎から怪しい中学生からハガキが届いて困惑しただろうな(イタズラだと思われていたかもしれない。真面目な顧客だと信じてくれたリットーミュージックさん、ありがとう。)
はい!菅沼さんの話じゃなくて、ただの僕の中学のときの思い出話になっちゃいましたが、今日も疲れたのでここで終わります!!!
ごめんなさい!!!次、菅沼さんの記事を書く時は、ちゃんと奏法にも触れます!!!